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雑記ブログ。【歴史を面白く学ぶコテンラジオ_COTEN RADIO】をまとめ、紹介したり、FreeCADを使ったモノづくりについて発信しています。

歴史

まとめ【歴史を面白く学ぶコテンラジオ_COTEN RADIO】 シーズン3 コミュニケーション史

投稿日:2021年2月14日 更新日:


こんにちは、タカオです。

あなたは、コテンラジオをご存じでしょか?
本記事は【歴史を面白く学ぶコテンラジオ_COTEN RADIO】をシーズン毎にまとめ、紹介している記事になります。

テキストにまとめているので、気になるけれど聞く時間がない人の時短になります。
また、既に聞いたことがあるけれど耳だけでは理解しきれなかったという人にもおすすめです。

  • 【まだ知らないあなたへ】この記事を読んで興味を持って貰えたら嬉しいです。
  • 【既に知っているあなたへ】テキストにまとめています。復習やリピートの際に活用して貰えると嬉しいです。

※なお、タカオはコテンメンバーとは関係のないラジオ視聴者の1人です。

【今回紹介しているのはこちら】本編YouTubeで公開しています。


動画で確認したい方はどうぞ

シーズン毎にテキストでまとめているので気になる方はコチラをどうぞ

♦シーズン1 吉田松陰♦
♦シーズン2 スパルタ♦
♦シーズン4 天皇♦
♦シーズン5 キングダムSP 秦の始皇帝♦
♦シーズン6 諸葛孔明♦
♦シーズン7 世界三大宗教♦
♦シーズン8 ヒトラー♦
♦シーズン9 フランス革命♦
♦シーズン10 ガンディー♦
♦シーズン11 アレクサンドロス大王♦
♦シーズン12 お金♦
♦シーズン13 三蔵法師・玄奘♦
♦シーズン14 高杉晋作♦

今回は「人物」や「国」ではなく「コミュニケーション」ということで概念的な所の話となっています。

テクノロジーの移り変わりと共に、人間の思考や社会も変わってきたのだということが分かる興味深い内容となっています。

過去にはスマホはもちろん電気さえ無いという時代があったわけだが、そんな中で過去人類、我々の祖先はどのようにコミュニケーションを取って生活をしてたのかを掘り下げます。

技術が出てきた結果、コミュニケーションがこう変わるので人間の思考と社会はこう変わっていきました。という所に注目です。

#12 インターネットの本当のすごさ(約13分)

ポイント

  • SNS(ネット)登場時代の特徴について
  • これまでは「偉大な発言者<多数の受信者=トップダウン型のコミュニケーション」だった。
  • 膨大な数の「発信者」の出現。
  • 史上初!!匿名性のある発言が社会に影響を与えはじめました。

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早速ですが、コミュニケーションはテクノロジーの歴史ともいえるところがあり、LINEやTwitter、clubhouseといったSNS(ソーシャルネットワークサービス)が今、当たり前のように流行っていますが、「インターネットの登場」というのはまさに、現代の大転換点でインパクトのある出来事です。

そして、それによる1番の変化点を端的に示すと「自分が発信者であるという人の数が圧倒的に増えた」ということです。

発信者の増加
もともとは、軍事目的と大学間で研究データを共有するために開発された学術目的で開発されたものでした。なので、それまでは圧倒的に受け取る側が多くて、発信者というのは下記の通り。

  • 社会的にある程度地位がある人
  • 自分がしゃべっている領域に関する何らかのスペシャリストである
  • 何かを代表する人がしゃべる

要するに上記の通り、発言とその人の地位や俗人的な属性が結びついた状態でしゃべっていたわけです。

匿名性の登場

インターネットの登場から結構たつけれど最初は匿名性はなかった。
そして、初めて匿名性が出てきてその情報に価値があるみたいになったのは現代が初めて。

ブログやnoteのようなモノがでてくるのも現代の特徴で、匿名性という概念が出て以降はだいぶ人間に対しての影響力が変わった。

たとえば提示版、mixiの登場もインターネットの特徴である。
これまでは基本的には出来なかった年齢や土地を越えて同じ趣味で集まるとか、同じ考えで人が集まるということが出来るようになった。

匿名性の登場による変化、影響

これまでは、ある事柄についてその人は何か意見をしていて、しかるべき団体・組織にも入っていてしゃべっている。
要するに、連続的文脈がある中で意見が出てくる事以外に意見の出し方は基本的には無かった。

それが今は、俗人性から離れた発言が増えた。
具体的には下記の通り

誰か分からない人がいきなり意見を言って、その言葉のみが先行して走っていき、まとめサイトにまとめられて世論になっていく。

要するに、これまでは誰が言ったかが大切だったが、今は言ったことが先にありそれを誰が言ったか。というように順番が逆になってきている。という変化が起きた。
この変化によりどのような、メリットとデメリットがあるのかを以下にまとめたので確認しましょう。

メリット

・会社における社長の意見が1番強かったり、自分が尊敬する人の意見が強いなど、立場など本質ではない説得力を排除した

・皆が自分の地位や立場に関わらず言いたいことを言える

・誰々が言ったからではなく、本質を見極めて言葉や内容を見て貰える

デメリット

・その事に対して別によく知りもしない、基礎知識を持たないのに感想で発信することでそれが広がり世論になっていく

・誰が言ったかではなく、面白かったり、言い回しが上手いなどの言葉自体のテクニックが上手いと強くなる

・深見が薄くなった。

これまでは、偉い学者や宗教家の人がある種、社会的な立場をもってリスクを背負って発言している。

それが今は、自身の発言に責任を取る必要がなくなり、自分の発言が炎上しても自分は匿名性によって守られている。
今は特定されるかもしれないけれど、なかなか罰則されることがない。

それが良いか悪いかは別として意見が検証される機会が失われいったために、意見に対する深みが薄くなった感がある。

あとがたり

コミュニケーションというもの自体が、すごく人の思考回路を司っており影響を与えている。

今回はSNS、インターネットの事例を話したが、実は人類にとって1番大きな衝撃(影響)を与えているのは「文字の出現」である。

文字の出現により人類の考え方、思考が変わっていきます。
その後、印刷・飛脚・モールス信号というような、情報をどうやって伝えて行くかという技術が登場するのだが、それらは全て「文字による思考の変還」の延長線上であり、その変還のようなものが、文字の出現から何千年も経った近代になってやっと完成してくる。

近年やっとその文字による変還が終わってきて、そこから新しい動きになってきているのが、まさに現代!!
インターネットやマスメディアの出現から、いきなりもっと新しいステージになってきている。
というわけで、以下項目立てて1つづつ見ていきましょう。

#13 文字爆誕(約14分)

ポイント

  • 文字の出現は人類の思考回路を圧倒的に変えました。
  • 情報の「記録」・「分析」が出来るようになりました
  • メモによる「数学」の発達
  • 「数字」用いて世界を量的に把握し記述することができるようになりました
  • 文字は国家・法律・道路など全てに密接に関わっている

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文字の出現というのは、人類の思考回路を徹底的に変えています。
現在、僕たちは当り前のように文字を認識して読み書きしているけれど、人類史でいうとそういうことが当たり前に出来るようになったのはまだまだ最近の出来事なんです。

これまで数万年の間、人類は読み書きせずに、声によるコミュニケーションをしていました。

  • 文字を1度も見たことが無い、読めたこともない人
  • 文字を1回でも読んだことがあって、それを出来る人

そして上記のような人を比較すると、思考回路が徹底的に違うという研究がある。

「記録」と「分析」ができる

まず、文字の誕生により「記録」・「分析」ができるようになりました。
人間が情報のストレージを外部ストレージとして記録することが出来るようになりました。
要するに、メモが出来ることで、覚える必要が無くなったということです。

それまでは、声で覚えやすいことしか覚えられませんでした。
具体的には、昔の古代文学というのは文字の文化ではないので、声でコミュニケーションしていた時の文化です。

  • 繰り返し同じ事をいうような韻を踏むことが多い。
  • 「兵士」と言わず「屈強な兵士」とか「勇猛果敢な兵士」といったような華美な形容詞を付けた表現をする

上記の通り、耳で聞いてインパクトがあるように演出する。
なぜなら、覚え安いようにするためです。
そういった記録の仕方しか人類はできなかったから。

それが文字の出現により、もっと本質的かつ事象を客観的に記述するやり方で記録できるようになった。

現代人との認識の違いと変化

当時の人達は、ある事象、物事を詩などで韻を踏んで記録しています。
現代人とは認識が全く違います。例えば、「新聞」を仮にこの方法で書かれたとするならば「真面目にやる気あるのか(笑)」と僕たちは感じるわけです。
なぜならこれは、事実をリアルに伝える。そのためには5W1H(いつ・どこで・だれが・何を・どうやって・どういう風にしているか)が大切で、私達にとっては当たり前ですが、当時の人達にとっては当たり前では無い、そういう認識の仕方で世界を認識していない。

丸の概念
他にも、「丸」という概念も、文字を1回も読んだことのない人たちは認識できないと言われている。
今の僕たちは文字が当たり前なので正直想像しづらいけれど、例えば、「丸=お皿」であり、お皿という物は認識出来るけれど、それを丸という概念では認識出来ない。
要するに、図形を図形としてそのまま捉えられないということ。抽象的な概念を概念として認識することに長けていないということです。

思想活動の変化
文字の認識による変化は思想活動にもみられ、人間の思考も変化してきました。例えば、文字文化が浸透する前までの思想家たちは、基本的には対話によって思想を先へ進めていく。しかし、文字が浸透してくると、自分1人ですごく深い所まで考えていけるようになります。これも、文字の認識による変化です。

突然ですが、矢野兵動さんという方をご存じでしょうか。
すべらない話などに出演している話術が上手な方がいるのですが、

Q「なぜあなたはトークがうまいのか」という問いに対して、
A「書くのだ」という回答をされたそうです。
要はトーク全体の流れを、俯瞰して図形的に捉えているという事です。
このように、客観的に自分がしゃべていることを認識するということも文字を書けないとできないわけです。

ポイント
文字を書けるかどうかよりも、書く技術をもっているかどうかが重要。
要するに、それを使うかどうかは関係ない。先ほどの兵動さんのように、書いていようがなかろうが、書いたことのある人間は、そういう思考をできる。
一方で書いたことがない人には、その疑念が無いから出来ない。ということ。

「記録」による「分析的思考」の発達。

文字による「記録」ができるようになるまでは、分析的思考が発達しなかった。
なぜなら、分析するにはデータベースが必要だからです。

具体的には下記の通り。

  • これまでは音声のみだったので、その場限りで終わってしまう。
  • 人間の記憶の留めるだけなので消えてしまいます。
  • その記憶は寿命によって制限されるので約100年で終わってしまう。

これら、「記録」「分析」の思考が発達することは、国の仕組みに関わってきます。
文字の発明は衝撃的な出来事であることが、なんとなく分かって貰えてれば嬉しいです。

文字の発明以降、印刷・電信・モールス信号などといった発明が登場するが、それらは延長線上であり原点(出発点)となるのが文字の発明でした。

以下、国の仕組みにも関わるこれら技術・発明の過程を見ていきましょう。

紙の発明

文字の次に紙の発明があります。(正確にはパピルスなど色々あるけれど)約1900年前に蔡倫という中国人が発明しています。(正確には発明者というより改良者だったらしいです)紙の良さは、コストが低いことです。ちゃんと生産体制を整えられれば、コストが低くて気軽に使い安い。使い安いので数学が発達したという話がある。

メモと数学、国の統治の関係

メモ出来ることにより数学が発展しました。また、大きな国を統治する為に数学は発達せざるを得なかった。
なぜかというと、国が大きくなればなるほどに、扱うべき情報、管理すべき情報が膨大になるからです。
そして、当然ですが人間の記憶だけでは覚えられない。

具体的には下記の通り、

  • これまでは「木の下にキノコが生えているだとか、どこどこに獣の群れがいる」という程度の認識で良かった。
  • 国が大きくなるほどに「税金の納税や人口管理、どこでどの程度の生産物があるのか」というように扱い、管理する情報が膨大になった。

上記の通り、人間が認識する”数字という情報”がものすごく大きな意味を持つようになってきた。
それで、紙に記録して管理できる様になったことで、大きな国を回せるようになったわけです。

大きな国の統治と発達

古代中国で官僚制というのが出てくる。それを1番最初に体系的に形作ったのは中国王朝で、そこで紙が活躍します。要するに紙の上に成り立っているといっても過言ではないということ。

以下、紙と統治の関係について順に確認していきましょう。

  • 情報管理と伝達
  • 客観的証拠と法律
  • 道路網の整備

まず、自分の目で見えなかったり、届かないところまでも管理出来るようになりました。
それと同時に、紙の方が木簡より運び安いので、文章により大量の情報を遠隔地に指示して伝えるという事がやりやすくなっていきます

たとえば、これまでは使者に伝えて馬を走らせるという伝言ゲームのようなやりかたをしていた。当然、ニュアンスが違うなど若干間違って伝わるということも可能性としては充分にあるし、規模が大きくなれば自分が直接関わらない人も出てくるわけなので、国家運営としてはよろしく無かった。これらが、大きく改善されました。

また、紙の発明のよって記録出来るようになることで、「客観的証拠」が生まれ、法律が発達したと考えられる
例えば、これまではお互いが同じ土地の所有権を主張した際に自分の記憶しかないので証明することが難しかった。これが紙の記録により確認、証明が可能になった。

国が大きくなると、それだけ人間も情報も増えて行くので意見の食い違いや争いが当然出てくる。そこを上手く処理する為のシステムとして、紙による記録が大きな役割を果しました。

ローマや秦の始皇帝、モンゴル皇帝など古代の大きな帝国は道路網を整備しています。なぜなら、道路を整備することで、行政文書を届けるということが出来ないと広大な土地を統治することができないからです。これができていないと、指示が届かず、何が起きてるかの把握が出来ないので何千kmと離れた所を統治使用とした時に必要になってくるわけです。

#14 炎上の元祖、活版印刷(約13分)

ポイント

  • 「写経」と「功徳」・「漢字」と「アルファベット」
  • 技術が広がるきっかけは「ニーズ」と「コスト」!!儲けられる良い商売は経済が後押しする。
  • 活版印刷はマスメディアの出発点!!議論の共有と人類史上初の炎上
  • マスメディアにより。「国」という目に見えないコミュニティの概念を想像、共有できるようになった。

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印刷技術の登場

紙の次に活版印刷という印刷技術が登場します。
版印刷とは、文字を一個一個ハンコの様にしてその組み合わせで刷りたい文章に合せた版を作って刷る。印刷機のようなモノ。それを、発明した有名人がグーテンベルクという神聖ローマ帝国の人で、歴史の教科書にも載っているそうです。

しかし、実はグーテンベルクが発明する700年前に中国では既に発明されていました。

以下、発明のきかっけと広がりについて確認していきましょう。

発明のきっかけは写経

発明のきっかけは、仏教にニーズがあったからと言われています。宗教上、仏教の経典を複写していくことには功徳を積むという意味があり。それ自体が良いことであるという風に考えられています。いわゆる写経ということですが、手で写すしかなかった。

それが、紀元前700年前後くらいの時に木版印刷というモノが発明される。
これは木の版に彫って、それにインクを付けて紙に押しつけていく大きなハンコのようなモノで、大量に刷れるようになりました。
大量に刷れるということは、これまでより功徳が積めるということなので、中国で印刷技術が発明されました。

ニーズはあるけどコスパが悪い

中国は漢字文化です。漢字での活版印刷を作るのは難易度が高い。

なぜなら、一個づつパーツを組み合わせるので文字盤が大量に必要になる。さらに、何千個も必要なのに、同ページに同じ文字が2回でてきた場合には、その文字のハンコが2個必要になるため、1文字ずつ持っていれば良いわけではない。結果、ハンコを大量に持っていないとけないのでコストが高く、全部集める必要があるのでどこの引き出しに収納してあるのかなど、所有するハンコの管理が難しい。

こうしたコスパの悪さから、中国では印刷により社会が変容するほどまで爆発的に広がら無かった。

グーテンベルクさん

西洋では700年後くらいにグーテンベルクという人が、活版印刷を中国とはまったくの別ルートで考え始めて、完全に自分1人で考え始めて実用化して行きます。

なぜ、700年も遅れて発明された西洋で先に実用化されたのかというと、言語の違いが影響しています。西洋はアルファベット文化なので26文字しか有りません。なので、漢字に比べ比較的難易度が低かった。

結果、グーテンベルクの活版印刷の登場により、自分達で印刷所を持つコストが低くなりました。
そして、コストが下がると良い商売になると目を付けて印刷所が立ち上がります。重要なのは儲けられると思うと、経済が後押しするので発展するということ。

全ヨーロッパを巻き込んだ大きな社会運動、プロテスタントによる宗教改革

印刷ができるようになると、同時期にカルバンルターが起したとされるプロテスタントによる宗教改革が起こります。これは、宗教が全ヨーロッパを巻き込んだ大きな社会運動です。

以下、宗教と印刷の関連性について解説するので、確認しておきましょう。

まず始めに、全ヨーロッパを巻き込むという事は皆がそれを議論するようなモチベーションにならないといけない。
そのためには、それだけたくさんの広い地域に、論点や課題があるということを知らせる必要があります。
要するに、印刷という技術がマスメディアや新聞のような使われ方をすることで、皆がそれを認知して同じ話題に対して議論がなされていくというような議題を共有する土壌があったことで、宗教改革が一気に進んだということです。

人類史上初の炎上

具体的エピソードとしては、、ドイツの宗教師であるルターという人から事は始まりました。

彼は、1枚のビラを教堂のドア前に貼りました。その内容は「私は今のキリスト教に対して、こういう論点に対して皆で議論したい」というものでした。
それをみた学生達が勝手に印刷してばらまいて配った結果、一気に広がってしまった。ある種の史上初の炎上です。

要するに、当時のインフルエンサーが勝手に拡散したということです。ここで面白いのは、彼は自分で印刷しようとしておらず、いつの間にか自分の書いた文章が話題になっている勢いに乗っかったところです。

カトリック教の免罪符に対するアンチテーゼとしてルターが出てきたので、印刷は当時のプロパガンダ的な使われ方をしていた。ただし、この当時の技術では議論の結果こういう意見が出ましたというようなことも紙で広がるわけではない。冒頭の【#12 インターネットの本当のすごさ】のように、ここではまだ発信者と受信者が別れているので、議論が出てきて「そうだそうだ!」となることはあっても議論にこれを乗せるまでは至ら無かった。

マスメディアの出現と影響力

今でも物凄い影響力を持つマスメディア。これが、活版印刷の次に出現します。
マスメディアが上記のようなプロパガンダ的な形で出てきたことにより、まず新聞が先に出現する。

ただし、新聞が出るということは皆が読めなくてはいけないという課題があった。
なぜなら、文字の識字率は近代まで低く、知識層か貴族しか読めない状態だったからです。基本的にはどの国も20~30%で推移しており50%をきっていました。今の先進国でさえ義務教育が始まってから文字が読めるようになっていきます。

「国」という目に見えないコミュニティの概念を想像、共有できるようになった

識字率が上昇し、新聞がマスメディアとして機能できるような土壌ができてくることで、そこで印刷速度が技術として上がってきて、ここで新聞が出てくることで世論形成や国民という意識が生まれてきます。

それまでは、自分はこの街の出身者であるという認識しかない。国や国民という概念がそこまで広がらない。マスメディアの登場までは、外国とのコミュニケーションが頻繁に発生しない限り自分の国という単位で固まらない。

要は、マスメディアの登場によって、仲間感やコミュニティ感が想像できるようになったということ。

たとえば、スポーツのサポーターのようなもので、サポーター同士はお互いの顔も何も知らないけれど自分達は同じチームのサポーターで、家族なんだ、ある種の同胞なんだというようなイメージです。

難しい話をすると、
自分の能力や目の及ばない部分での国家という概念でそこまでまとまるようになった。
自分の生活や身体の範囲を超えた上位概念なものを全員で共有できるようになったという点で、マスメディアの登場は人類の社会変容に対して大きな影響を与えた。

次回に向けた あとがき

活版印刷のあと、新聞の登場によってマスメディアが登場できるようになって、人類の社会変容に対して大きく影響を与えた。
ちなみに、新聞登場の前段階の技術に電信というのがある。なぜなら、電気通信で情報を伝えることができないと、毎日新鮮なニュースを各地から集められないため、新聞が登場できないためです。

それができること自体が、技術の発達を待たないと出来ないので、それが出来る様になるとやっと新聞がメディアとして稼働し始める。稼働し始めると、識字率が上がっている土壌の中で世論を形成していく。

#15 マスメディアの誕生と電気通信(約16分)

ポイント

  • 電信技術のよって情報の伝達速度が人間の移動速度を超えた
  • 広告業が発達して、大量生産大量消費時代へ突入していく
  • 情報の伝達速度が上がり、情報量が増えると社会の変化も加速する

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電気通信

今回のキーワードは「電気通信」です。
電話やインターネット・テレビ・ラジオ・モールス信号などが当ります。今は殆ど無線ですが、これらは最初、有線による電気通信でした。

それができる前までは人間が情報を伝えていました。
具体的には、飛脚や駅馬制の馬に乗って使者達がリレー形式で乗り継いでみたいなことをやっていました。電気通信が出る前のコミュニケーションの伝え方はそれしか有りません。
ちなみに、馬や徒歩による伝達なのに僕たちの想像を超える速度で移動しています。

Q、インカ帝国も飛脚を活用していたのですが、その情報の伝達は1日に何㎞進むと思いますか?
(ヒント)
現代のマラソンだと42、195kmが約2時間でヘトヘトになります。そしてインカ帝国へは山道なども走ります。

A,答えと解説を表示

1日に280kmです。(42,195kmのペースの約7倍に当ります。)

なぜかというと、1人で行くわけではないからです。中距離走のリレーをしています。
その地域に住んでいる足の速い人達がその駅に就職してリレーするという仕事です。

当時は、山道も今のように舗装されていないので途中で足を踏み外して死んだりもしています。

大帝国の情報通信も基本的にはずっとこれでした。その後、郵便などが出てきても基本的にはこのやりかたでした。
その次に、フランス革命の時くらいに腕木通信というのが始まります。

腕木通信とは

腕木とは、ちょっとした木の機械で、木の棒の傾きによって色々なメッセージを伝えるという仕組みです。それを、何km毎に一基づつ置いて、それぞれに通信士がいて傾きを次へ伝えていくということをやり始めた。

要するに、望遠鏡を使って目視でリレーすることで伝達速度が速く行えるようになったわけです。狼煙と似たような仕組ですが、腕木の方が情報量を多く扱えたようです。

また、傾きなどで伝えるため現在のHTMLと似た性質を持ち、情報の優先度や伝える内容毎にサインが決まっていた。そのため、暗号的な側面も持ち合わせていました。

電気通信

フランスが腕木を使い。その後遅れたイギリスやアメリカが電気通信を発明していきます。アメリカがモールス信号を発明して、優線が無線になっていきます。

モールス信号が画期的だったのは、合理的に情報を伝えるためのルール設定が上手い所です。ルールを作って、広めて無線が出来るようになったので船にも送れるようになった。

ちなみに、タイタニックが沈んだ原因も、無線通信が原因だそうです。
通信機が故障して、海上で直したが受信するメッセージの処理に時間がかかって、他の船からの氷山の警告を見落としたそうです。
だから、本来機能していればああいうぶつかり方をしなくて良い技術をタイタニックは持っていたし、それこそ無線でSOSを出した1番最初の事例らしい。

モールス信号は電波に乗せているので電気通信です。最初は有線だけどその後に電話などがでてきて声が伝えられるようになります。

電話で1対1の次に、ラジオで1対Nになり大量の人間に同時に何かの情報を出せるようになっていきます。これにより、マスメディアが更に発達する。

そして、ここで初めて1つの商品を物凄い大量の人に宣伝するということが出来るようになります。

要するに広告業です。広告の発達により皆が同じモノを買う大量消費時代に突入していきます。また、既に解説したように、同じ文化圏として国民としての意識もそこで構成されていき一体感がでる。

ちなみに、大量生産できないのに大量の人間に向けた広告をうとうと思わないので、、製造技術が上がって同じモノを大量に生産出来るから届けられるという、他の技術との条件的な合致も必要でした。

要するに、蓄積のかけ算で、別々の技術の積み重ねが今の社会を形成しているということ。

発明が先か社会変容が先か

ラジオの後にテレビが出てくるけれど、、文字や印刷の出現と比べると社会に与えたインパクトは小さい。
一方で、インターネットの出現は社会変容に影響を与えるほどにめちゃくちゃ大きなインパクトを持っている。

もちろんテレビの出現もすごいけれど、比較すると小さいというお話。
たとえば、テレビ以前から演劇など他の媒体があって、テレビやラジオというのは音や映像がついた従来の強化版のイメージ。
一方でインターネットの登場は、すでに説明しているけれど、発信者が変わるなどそれによって意識変動が起きている。
人間個人個人にとっての社会変容もあるけれど、個人の意識がかわっている。

具体的には、メール送信やSNSによる書き込み。これは発信行為です。
いつでもどこでも好きなように出来る。でも、これまでは本来あり得ない。
これまでは、コストが圧倒的に高いから気軽にしようと思わない。ラジオ聞く時は該当のラジオのある所へ皆が集まって聞くようなぐらいだから。
このコテンラジオもそうで、YouTubeやpodcastが無かったらできない。

どちらが先かという話がある、
例えば、AIの出現によって社会は変わるのだという話。
これはもしかしたら、逆なのでは無いだろうかというお話。
要するに社会のその条件が整っていった結果AIが作れる土壌がまじこの社会にはあって、その土壌の中でそういうモノがあったらいいなと思う人がいて、社会にニーズがる状況で発明が出てくる。必然的に出てくるという考え方。
だから、いきなりAIが出現して社会がそれによって変革させられるという考え方ではなくて、元々社会は変容を始めていてその過程として然るべき発明がでてくるという考え方。
必ず需要が先で発明が後からついてくる。

そして、その需要は人間が望んでいるかと言われるとそこは少し違う。難しい話をすると、偶発的な面が大きい。
例えば、コテンラジオもそうだけれど、僕たち一般市民が自分の考えをしゃべろう、発信しようと思うのはYouTubeの技術とは全関係なくしゃべりたい、発信したいという思いがある。関係ないことはないけれど、そういう社会に変容してきている。
理由は人それぞれに色々あるけれど、1人1人に発信者としてしゃべりたいという欲求を持つという土壌ができている。そこに、インターネットがあるからそうなっている。
そこにインターネットがあるからそういうサービスが出来上がっていくというお話。

エピソードトーク

今回は発信するというところはキーワードになっていて、現代社会にてスタートアップが増えてきているのも、個人が個人として自立して何か出来る時代になってきている。
個人が発信出来る社会というのはその一環で、今はそういう時代となってきている。

マスメディアの登場によって全員が同じように知識的教養が底上げされるような前段階があり、皆が同じような事を考える時代から、今はその同じ様なことを考えない時代に突入していて、再度それぞれが少しづつ考える時代に突入している。
さらに、それを発信するコストがすごく低いので発信するのが当たり前になってきている。
この時代が今後どうなっていくのかは、今を生きる僕たちにしか分からない。

ちなみに、インターネットや電気通信、印刷の登場により情報の伝達速度が速くなった。そして、速くなると伝達量が増える。そうすると歴史の進む速度が速くなります。そして今はそれが物凄く速い、速すぎる。そうなると、過去の歴史を学んでそれを活かすとうのが良くも悪くも難しくなってきます。歴史の変化が早すぎて、50年前の世界で生きてきた人の話を聞いても参考にならないような事が出てきたりする。

では、そういう時のために僕たちは何ができるのかといえば、何でもやっておいて何でも出来る様に対応力を付けておくということになるのではないだろうか。
要するに、色んな経験をするとうことで、楽しいと思うことを何でもやってみたら良いのではないだろうか。

まとめ

今回は、人物や国というような具体例ではなく、コミュニケーション史ということで情報伝達技術の発達や発明といったテクノロジーの歴史ということで概念的な話でした。

最後にどのような順で発明、発達したのか改めて表にまとめたので以下確認しましょう。

技術、発明特徴
「文字」爆誕

・人類の思考回路に大きな影響を与えた

・記録と分析が出来るようになった

・数学が発達した

「紙」の発明と「印刷」

・遠隔地の情報伝達がしやすくなった。

・客観的な証拠の誕生により法律が発達

・全てが密接に関係していて大きな国を統治できるようになってきた

・議題を共有出来るようになり、全ヨーロッパを巻き込む宗教改革が起きる

・史上初の炎上、マスメディアの走りとなる

目視リレーで伝達速度が加速「腕木通信」「モールス信号」

・情報伝達の速度が人類の移動速度を超えてきた

・情報伝達の速度と量が上がったことで社会変化も加速してきた

電気通信とマスメディア「ラジオ」「新聞」

・広告業が発達して大量消費社会へ

・マスメディアが登場

・「国」という目に見えないコミュ二ティ概念を想像し、共有される

・識字率が上がってきて世論を形成してい

まさに世は大変革時代「インターネット」「SNS」

・匿名性という概念が登場する

・発信者の数が圧倒的に増加

感想

これまで、歴史は人物など具体的なテーマで学ぶ機会が大半だったのっでコミュニケーション史という概念的なテクノロジーの歴史を見られたのが新鮮で楽しかったです。
歴史を学び考える時、国や制度自体を学ぶより人物の生き様を知る方が好きだったので、今回のように人類の思考の変化や影響についての話など非常に興味をそそられる内容でした。

面白かったのは、「文字」の出現です。
文字が与えた影響としては当初「記録・分析」が可能になった程度の認識だったが、思考回路にまで影響を及ぼしていたという解説が新しい気づきとして非常に面白かったです。

今回の話の中で出てくる、発明の与える影響と社会変容どちらが先かについて「需要が先で発明が後からついてくる。社会の変容の過程でしかるべき発明がでてくるという考え方について」若干違和感があったので書いておくと、どちらが先というのは後付けであり特にないのではないかと思っています。
需要と発明はかけ算の関係なのではないだろうか、要するにどちらかが0なら0なのである。
偶発的に発明が出て需要が生まれることもあれば、需要の中で発明が生まれることもある。どちらが先かではなくてマッチした結果社会が大きく変容したという、結果に対する後付けでどちらが先かはどうでも良いのでは無いだろうか。
例えば文字が生まれたことで新しい思考が誕生した結果数学が発達したことや、SNSの匿名性の誕生により発信者が増えたなど、偶発的か必然かはどちらにせよ発明により生まれた新しい価値観や思考、概念が需要に影響を与えた可能性を考えると、発明によって社会が変わったともいえるのでは無いだろうか。

参考文献

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情報と戦争-古代からナポレオン戦争、南北戦争、二度の世界大戦、現代まで

情報と通信の文化史

IT全史

中国明末のメディア革命』(世界史の鏡)

声の文化と文字の文化

情報の歴史を読む

情報の歴史 増補

グーテンベルクの銀河系

インフォメーション

物語創世

情報がつなぐ世界史』 (MINERVA世界史叢書)

参照先へhttps://www.valuebooks.jp/shelf-items/folder/d3e4ae9af67b461

最後に

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以下、本編動画を添付しておくので気になる方はどうぞ。


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