あなたは、コテンラジオをご存じでしょか?
本記事は【歴史を面白く学ぶコテンラジオ_COTEN RADIO】をシーズン毎にまとめ、紹介している記事になります。
テキストにまとめているので、気になるけれど聞く時間がない人の時短になります。
また、既に聞いたことがあるけれど耳だけでは理解しきれなかったという人にもおすすめです。
- 【まだ知らないあなたへ】この記事を読んで興味を持って貰えたら嬉しいです。
- 【既に知っているあなたへ】テキストにまとめています。復習やリピートの際に活用して貰えると嬉しいです。
※なお、タカオはコテンメンバーとは関係のないラジオ視聴者の1人です。
【今回紹介しているのはこちら】本編YouTubeで公開しています。
動画で確認したい方はどうぞ
シーズン毎にテキストでまとめているので気になる方はコチラをどうぞ
♦シーズン1 吉田松陰♦
♦シーズン2 スパルタ♦
♦シーズン3 コミュニケーション史♦
♦シーズン5 キングダムSP 秦の始皇帝♦
♦シーズン6 諸葛孔明♦
♦シーズン7 世界三大宗教♦
♦シーズン8 ヒトラー♦
♦シーズン9 フランス革命♦
♦シーズン10 ガンディー♦
♦シーズン11 アレクサンドロス大王♦
♦シーズン12 お金♦
♦シーズン13 三蔵法師・玄奘♦
♦シーズン14 高杉晋作♦
今回のテーマはずばり「結局、天皇ってなんだっけ?」です。
天皇陛下のご退位と皇太子殿下のご即位という皇室儀礼を経ることで、平成から、新しい元号(令和)を迎えました。
当時は日本全体で、関心や注目が高まっていた一方で、軽はずみに天皇についての話をする人は多くはおらず、なぜかは分からないけれど感情的になっていしまうなど簡単には口に出来ない。そんな、静かに熱狂しているような不思議な空気感に満ちていた感覚をだったのを覚えています。
しかし、なぜあのような空気感があそこまで伝播したのかその正体を知りません。
なぜなら、私たちは天皇のこと、皇室のことを知っているようでよく知らないからなのではないでしょうか。
すごく長い天皇の歴史の中で、今は象徴天皇の初期ステージとして大きな転換点であり、新しい天皇の時代に一緒に生きているのは間違いないかと思います。
だからこそ、改めて、今一度「天皇」とは何か考えるきっかけとなり、その理解の一助となれば幸いです。
※本記事は、「天皇陛下や天皇制度などについて何か物申す」といった感情的・批判的なものではございません。「客観的に理解・勉強してみよう」というスタンスで大らかな気持ちで読んでいただければと存じます。
1. #16 結局、天皇ってなんだっけ?ー世界一特殊な日本の皇室(約19分)
2. #17 天皇っていつ生まれたの? 神様の子孫ってどういうこと?(約19分)
3. #18 天皇と日本史ー天皇と将軍どっちが偉いの?(約18分)
4. #19 現代の天応ー象徴って何?(19分)
11. 参考文献
12. 最期に
#16 結局、天皇ってなんだっけ?ー世界一特殊な日本の皇室(約19分)
- 昔は殆どの国に王様が存在していたが、時代の流れの中で徐々減少し、第一次世界大戦を機に世界の王室は一気に消滅していったが、敗戦国の中で”日本”だけ残っている。
- 現存する27の王様がいる国の中で、1番歴史が長く続いており1番大きいのが”日本”です。
- 皇室が続いてきた【理由】日本列島での権力と権威の獲得及び証明コストは、打倒よりも利用する方がリーズナブルだったという側面がある。
早速ですが、タイトルの通りすごく特殊なのでそれがどういう風に特殊なのかというところを見ていこうと思います。
実は、天皇のことだけ解説しても天皇とはなんなのかを理解するのは難しい。
そこで、まずは海外の王様はどういう人達で、どのような歴史を持っているのかという所から他国と比較しつつ、じゃあ日本だとどうなるのかというところを見ていきます。
特徴:敗戦国の日本で皇室が続いている。
古代や中世の時代には王様の存在が普通で、むしろ王様がいない国のが特殊でした。
しかし、時代の流れの中で徐々に王様の存在が消滅していき、結果、今の世界で現存している王室は約27しか残っていません。その中で1番大きく1番長い歴史を持つ日本について、まずは継続の特殊性についてみていきます。
以下、王様の存在がスタンダードだった古代から、時代の流れの中で消滅していく過程を表にまとめたので確認しましょう。
(主な流れ) | (主な特徴) |
古代、王様がいるのがスタンダード | ・王様や皇帝のことを君主という。 ・王様がいない国もあったが特殊で少ない ・大統領は国家元首です。(世襲じゃないので王様ではないです) |
絶対王政 | ・フランスのルイ16世など ・王様の権力が高い時代 ・王様の言うことは絶対 |
共和国ができる | ・絶対王政の反動で共和国ができる ・17~18世紀頃、フランス革命などで王様の処刑など、王様がいなくなるさきがけとなる事件が起きる |
そもそも王様がいない国が出現(アメリカなど) | ・大統領の国なので王様がいない |
徐々に王が消えていく | ・フランスが1回王様を無くしてその後にナポレオンなど出てくるけれど結局いなくなる ・王のいない国が増えていく ・世界では「王様の政治なんて古いわっ」て感じになる。 |
第一次世界大戦で王が一気に消滅する | ・戦争によって末端に至るまで全員が疲弊 ・疲弊の不満が国家権力へ行く ・共和制でない場合は王様1人に集中して責任をとらされる ・皆の反感を買っていなくなり、革命が起こりまくり一気に減っていった。 |
現在 | ・世界に現存する王室は27(イギリス、サウジアラビア、日本など) ・王様がいる国の中で1番大きくて1番歴史が長いのが日本です |
大きな流れでまとめると、王様の時代があり、その権力が高まった反動で王様のいない国が出現し、その後どんどん減っていく。この流れの中で、日本の皇室は今も続いています。
日本は敗戦国なので、当初はGHQも昭和天皇に責任を取らせて処刑しようと考えていたようです。当然、これまでの世界の流れでいえば責任を取らされていなくなるはずです。でもそうならなかった。
戦争に負けた敗戦国なのに、日本では残っているという特殊性を理解していただけただろうか。
以下、その理由などを紐解いていきましょう。
特徴:他国と比較した際にダントツで長い歴史を持っている
そもそも、天皇の特徴とは何かというとすごく古いことです。
世界の王室の中で比較するとダントツで長い歴史を持っています。
例えばイギリスのエリザベス女王、この王室で300年位続いています。対して日本の天皇は2600年前から続いている。
具体的には、2600年前にはまだ日本という国は有りません。
実在は証明できないけれど、1番最初の天皇は2600年前の神武天皇という話があります。
そして、文字が無く口伝・言葉で伝わってきている情報なので客観的に残っている証拠のようなものも有りません。
客観的事実、証拠が無いので1500年位前の天皇しか実在が証明できない状態です。
ちなみに、実在証明出来る最古の古墳が雄略天皇説などあるのですが、1000間位分からない期間があるけれどそれぐらい続いているということです。
なぜ、これほどダントツに長く続いているかというと、天皇を倒して自分が成り代わろうという風な強い力が働かなかったからです。
以下、具体的な要因などをみていきましょう。
続いた理由:権力獲得コストが低い
これほどダントツに長く続いている要因は、おそらく日本が島国だったことが1つ大きな要因として考えられるのではないだろうか。
要するに、日本は大陸と違って海に囲まれていたため民族の侵入が圧倒的に少なかった。長く他国が来ないということは、天皇の権威を一切利用する必要がない、権威を持った他国の潮流の人が攻めてこないということ。
【結果】外的要因が来てとって代わるみたいなことがあれば早くに王朝交替が起きているはずだけれど、中の人達からすれば日本の中で天皇を倒すよりも天皇の権威を利用して自分達の権力を補償して貰った方が圧倒的に権威獲得のコストが低い。なので、取って代わる必要が無かったというわけです。
もう少しかみ砕いた表現をするならば、
天皇より自分の方が権力を持っていて、基本的には自分の思い遠りになっている。その状態にokを出してくれていて保証してくれている人を殺す必要はない、取って代わる必要が無い訳です。
むしろ、その人がok出してくれているのでみんなが従ってくれている状態でその人を倒してしまうと、全員に自分がナンバーワンであるということを改めて証明し直す必要がでてくる。それはめんどくさいし、下手をすると権力が無くなるリスクがある。
要するに政治的権力を持っていない状態の天皇が邪魔にならないので権力者にとって倒すメリットが無い。倒すメリットが全くない訳ではないかもしれないけれど、デメリットの方が大きい、一方で、立場が外部の人の場合には倒すメリットの方が大きくなる。
だから、島国で外的要因が少なかったというのは、歴史が長く続いている1つの大きな要因なのではないだろうか。
#17 天皇っていつ生まれたの? 神様の子孫ってどういうこと?(約19分)
- 天皇が政治的な強い権力を持っていた時代は殆どなくて短い。
- 天皇は天照大御神の子孫と言われている。
- ゆるふわ文化の日本では「天皇=”神”というより”神の様に神聖なモノ””リスベクトの対象”」神と人との境界も常に曖昧である感覚が存在する。
- 外的要因が少ない日本ではルール化へのニーズが無く、阿吽の呼吸で伝わる村社会的な判断が古代から続いているのではないだろうか。
前回の続きで天皇の特徴についてみていきす。前回は歴史が長いということでしたが、もう一つの特徴として政治的な権力をもっている時期が殆ど無いという特徴があります。
以下詳しく見ていきましょう。
特徴:政治的権力を持っている時期が短い
政治的権力を持っていたのは平安時代初期位まで。それ以降は武士の時代なので持っていません。
平安時代中期にも、藤原の道長などが出現しその人達が持っていました。実際には将軍が持っていたということ。
もちろん武家政権時代には将軍が持っていたので、ずっと権力が無い状態が続いていました。
これが、前回の長い歴史を持つという所に影響してきます。
なぜなら、もし権力をもっていたらおそらく誰かに倒されていた。或いは奪われていたと考えられます。
要するに、邪魔になってしますので利害が生じないからです。メリットが少ない。
特殊:防備が無い住処
解説している特徴と繋がってくるのですが、特殊な点として「王様が住む所に防備がない」という他国と比較するとありえない状態があります。
具体的には、武家政権時代の天皇は京都に住んでいます。そこには掘が有りません。
要するに、ちゃんとした防備が無いため、倒そうと思ったらいつでも倒せるような所に住んでいるわけです。
守らない理由は、彼ら天皇を倒そうという発想が誰にも無かったからです。
むしろ、下手に掘など防備を建てると幕府に睨まれます。「なんで急に防御力高めるの?」となるわけです。権力的には武家政権が上に立っていたからと言われています。
特徴:天皇は天照大神の子孫といわれています
天皇は神様である天照大神の子孫といわれており、祭祀(神道のお祈りをしているという役割)をされています。
現在、他の国では自分が神の子孫だと言っている人はおそらくいません。
まず、日本だけでなく他国の海外でも同様ですが、何かすごい人がいると歴史を経てそれが神格化されるということがある。
なので、古代における他の海外の王も先祖は神だったりするわけです。しかし、そういう古代の神様が先祖だった王達は交代していて全然残っていない。
そして普通は途中で交代しているので、その際に違う権威付けになっている。
例えば、神様ではなくて「昔のローマ帝国の●●のルーツがあるから俺はすごいんだ。」という話になったりする。
しかし、日本では最初の神様がずっと残っている。
日本にそれだけ古いルーツの話が残っているというのは、やはり交代していないからであり、特殊なのだということが分かります。
天皇はいつ生まれたのか、その成り立ちについて
既に解説している上記の特徴から、大統領や首相とは全然違い代々伝わっているモノでありそのルーツがあまりにも古いという特徴は分かっていただけたかと思います。
じゃあそのスタート地点となる「成り立ち」は何ぞや、という所を解説します。
【結論】誰も分かりません。だって記録が残って無いんだもん。
ということで、以下に今の天皇に繋がると言われている説を表でまとめたのでその成り立ちを確認しましょう。
(主な流れ) | (解説) |
豪族による統治 | ・まだ日本という国は無く、天皇も最初からいるわけではない ・色々な地方に色々な豪族がいて、それぞれに統治していた ・要するにまだ日本という1つの国ではなかった |
豪族連合のリーダー | ・豪族毎に連合を作っていく(お互い仲良くしましょうね) ・連合の中で力を持つ人や話合いで抑えの利く調整の上手な人を大王と呼んだ ・大王の中からリーダー的な人が天皇となっていく |
大和政権の誕生、最初は大王間での役回り | ・今の近畿地方から大和政権が生まれた ・そこでは大王の間で天皇の役回りを持ち回りしていた (次の課長はあなたで、次の社長はあなた。というような今の組織のリーダーと似た感じになっていたと言われている) |
段々と今の天皇へとつながっていく | ・天皇を持ち回る中で、力を持ち尚且つ先進的な大陸とルートとかを持ってた人達が段々と力を付けてきた。 ・それが今の天皇に繋がっていくという説 |
要は、天照大神という太陽の女神が日本の神道の中にいて、その神道から繋がる子孫が天皇家です。
そして、その神様とういうのは上記の流れでいうと元々はリーダーシップがあるという所から生まれているということ。
僕たちが軽はずみに口にしたがらないのはなぜか
冒頭でも述べているように、僕を含めなぜか軽はずみに天皇について多くを語る人は少ないように思う。その理由や感覚はどこからきているのかについて、以下、成り立ちを深掘りすることで考えてみようと思います。
まず始めに、昔の人達は別に自分達が認識している世界を神話だと思っていません。
なぜなら、おそらく今の神話は我々後世の人達が後付けしたものだと思うからです。
日本では神と人に区別をつけていない曖昧さがある。
例えば、キリスト教などの世界では神というのは1人しかいないわけです。人間を含め全てのモノを創った創造主としての唯一神。
一方で、日本は八百万の神です。人やモノも神になることがあるし、言霊といって言葉にも魂が宿るという様な思考感覚がある。
要するに、神様と人との隔絶が一神教ほど無いので、日本人にとってはどっちでも良いということ。
すでに記述している「天皇は天照大神の子孫といわれている」に繋がるのだけれど、古いルーツの話が残っているという特殊な特徴をもっている。
けれど、今の日本人は別に本気で、最初の神がずっと残っていて天皇陛下は神様なんだと思っているわけではないですよね。
要は、本当はそうじゃないけれどそういうことにしておこうみたいなことで、あまりこだわりがないということ。
ちなみに、このような感覚は一神教の世界ではありえないそうです。
日本人特有の感覚で「それって信じてないけれどあるものとして普通に従っている」というのがあります。
例えば、死後の世界や天国と地獄。これも本気で信じているわけでは無いけれど、でもなんとなく死後に地獄に行きたくないと思って、なんとなく悪いことをしないという、行動に現われている。
他にも、明治憲法の中に天皇は神聖にして侵すべからずというような一条があり、何を表わしているかというと、天皇は尊いもの神聖なものであるという表現をしており、神だとは言っていない。
要するに、みんな別に神だと思っていない。けれど、凄く神聖なもので凄くリスペクトすべきものである。そうやって曖昧になんとなく感じているのではないだろうか。
この曖昧さが日本の感覚であり、誰がどうする訳でもなく何となく出来た雰囲気にずっと従っている。事実それがずっと続いている。
冒頭に話が戻るけれど、こうした曖昧さという所が良くも悪くも「触れてはいけないタブー」のような形となって皆何となく簡単に口にしない、触れないという行動に表れているのではないだろうか。
日本人の根底にある価値観や基質
既に述べたように客観的証拠がないため、天皇がいつ生まれたのかは結局のところ分かりません。
そのため、限られた証拠をもとに想像するしかない部分もあり様々な説があります。
想像にはなりますが、どうやら他の国とは違い武力で征服した様な性格が薄いように感じます。何となく皆をまとめられる人が天皇になっていったイメージ。
例えば、会社のトップでも2種類のタイプがいて「その人自身がまとめるタイプ」と「周囲がなんかあの人を助けたいよねとなるタイプ」
日本人の根底にある価値観はおそらく後者のタイプのイメージなのかも知れませんね。
結局日本は村社会、ルール化へのニーズが無かった
日本では、中国が国を治める為につくった律令というシステムを導入し、法律とルールによって組織としてやっていこうとしたけれど、結局は大宝律令は後々になくなっていき衰退する。
日本は結局のところ村社会で、ルールや法律といった客観的なものよりも、その場その場で形成される空気感や雰囲気でリーダーを決めたり、物事を判断するということがずっと古代から続いている。
では、なぜこのような凄く複雑で概念的な難易度の高い組織作りをしていて続いているのだろうか。
それは、明文化して全員に周知して厳密に決めなくては前に進まないというような深刻な課題が日本には無かったからだと思われる。
例えば、多民族がいたり・コミュティー内に文化が全然違う他民族がいる・徹底しないとまとまらない。こうしたことがあるとルール化しておく事が大切になってくる。
しかし、日本ではこのような多民族国家の性格があまりなかったため、文化が統一していて阿吽の呼吸で伝わるために、ルールがあまり必要無かった。
こうした根底にある価値観が日本人の曖昧さを含むゆるふわ文化を形成し、天皇の成り立ちなどに影響を与えていたのではないだろうか。
#18 天皇と日本史ー天皇と将軍どっちが偉いの?(約18分)
- 天皇の血筋で権力レースに不利なポジションにいた源氏や平氏が武士となり、その武士達が長きに渡って権力を握っていた。
- 天皇(権威)・将軍(権力)とそれぞれに分かれた支配構造をしている。
- 天皇(権威)と将軍(権力)はそれぞれに「偉さ」の意味が異なるのでどちらが偉いかではない。(会社で例えるならば、会長と社長)
天皇がどういう風に生まれたかの続きで、日本の歴史と天皇がどういった関わり合いをしてきたのかをみていきます。
以下、天皇の権威の推移について、主な流れを表にまとめたので確認しましょう。
(主な流れ) | (出来事、解説) |
飛鳥~平安初期 | ・墾田永年私財法 ・天智天皇、天武天皇などが出てくる辺り |
平安中期 | ・摂関政治 ・天皇の親戚が貴族になって実質的な権力を握る時代となる ・この時点で天皇自身の権力がだいぶ無くなる(全盛期は藤原道長) |
平安後期 | ・院政 ・上皇(引退した天皇)の方が権力を握っている時代が来る |
鎌倉時代 | ・承久の乱 ・権力の回復を目指し鎌倉幕府を倒そうとして失敗する ・朝廷の権力が落ちる ・六波羅探題 ・武家政権の権力が東西に伸びて鎌倉幕府として武家政権が成立していく |
室町時代 | ・建前上、征夷大将軍は家臣なので天皇の方が当然偉いという感覚があった |
戦国時代 | ・実力社会となる ・大名達の天皇へのリスペクトが弱い |
江戸時代 | ・さらに権力が下がる時期がある ・長州、薩摩、土佐の出現 ・これまでの長い武家政権が崩れて徳川幕府の権威が下がり、黒船という海外勢力に上手く対応できない ・「これから日本をどうしようか」、「あっ、俺等には天皇がいる」 ・相対的に将軍の力がなくなったため再び権威を取り戻すというイメージ |
武士は元々貴族だった説
諸説ありますが 、実は武士は京都にいた貴族です。田舎の百姓が武士になってきわけではありません。
どういうことかというと、
平安時代に、奥さんをたくさん持った天皇が何人もいて、末端の方の子どもには将来天皇どころか貴族にもなれるかわからないようなポジションの子どもがいた。
彼らは、兄が何人も消えなければ出世できないので、そうした血筋があまり良く無い人達で権力レースに参加出来なさそうな人達が墾田永年私財法によりフロンティアを開拓する道を選らんだ。
墾田永年私財法
学校の教科書にも出てくるので覚えている人もいるかと思うけれど、開墾したらその人の土地になるという法律ができた。
これまでは、公地公民といって、誰が開墾しようが天皇の土地だった。
それが、もう少し公地を拡大したいから開墾したらあなたにあげるのでどんどん開墾してくださいとなった。
その時に貴族達が地方に降りて開墾して地盤を築き、その人達が最終的に武士になり、後に政権を握るという説がある、
誰が天皇を担げるかが重要
将軍のような既存の大きな権力(勢力)VSそれに対抗する人達が出てくる。
この時に、どちらが天皇を担げるかが重要になってきます。なぜなら、担げた方が勝つからです。
要するに、日本の主勢力が交代する時には一貫して、天皇の座を取りにいくのではなくて、天皇に認められるという座を取りに行っているということ。
天皇と将軍の意味と関係性について、結局どっちが偉いのか
天皇(権威)と将軍(権力)の関係性が理解できると分かり安いので、以下、会社でたとえてみました。
基本的になんの仕事もしない、1日椅子に座っている上司がいます。仕事をしないけれど新規計画などを提案すると承認してくれて全部事後報告でもokですという事を言ってくれる。
一方で実務は全部その部下がやっていて、部下が凄く有能で1人で全部こなして、最後に上司に承認を貰うだけ。もちろん上司はokを出す。
【ココでいう上司=権威、部下=権力となります】
創業者にあたる会長。
会長は経営能力は別として創業者です。たまに株主総会に出てきて全部okを出してくれる。しかし、意外とその一言で皆がゾワッと動く。
要するに、建前上偉いのは会長。
しかし実質、中の構成メンバーから見た時に誰に1番気を使っているかで言うと、本当の経営をしている社長に対してである。
【ココでいう会長=権威、社長=権力となる】
色々例えたけれど、結局じゃあ天皇(権威)と将軍(権力)どっちが偉いのかというと、「偉さ」の領域が違うのでどちらが偉いかどうかではないという結論になるわけです。
#19 現代の天応ー象徴って何?(19分)
- 明治維新後に天皇は再び国家元首的立ち位置に戻ったが立憲君主制的システムが続き、敗戦というターニングポイントを迎え「日本国の象徴」と明文化された。
- ”象徴”その解釈は難しく「あまり意味はなさそうにみえるけれど、それでなければ違和感が半端ないモノ」なのかもしれない。
- 今の天皇陛下も皇太子殿下も、象徴天皇の在り方についてご自身でずっと模索されているのではないだろうか。
ここまでは過去の成り立ちなどを紐解いてきました。
今回は江戸時代以降のお話になります。正直答えは無いけれど、現代の象徴天皇とはなんぞやというところを考えるきっかけになるかと思います。
主な流れ
大きな出来事をまとめると、
天皇の権威が江戸時代には落ちていた。
→その後、明治維新の時に日本が自国を近代国家に再構築する必要が出てきた。その際に束ねるために天皇にいて貰うということになる。
→近代国家に変える為に大日本帝国憲法を作る。
立憲君主制
大日本帝国憲法の中では天皇には権力があるように書いてあるが、国務大臣による輔弼が必要であり単独では動けないというようなことがかいてある。
要するに、権力があるようで無いという事です。
結果的には、明治・大正・昭和天皇は単独で色々決めてどんどん動くみたなことは当然出来ない体制だったので、これを立憲君主制という。
ただし、これには色々な意見がある。
- 「天皇機関説」・・・天皇というのは国を統治するために一機関であるという、立憲君主制に似た考え方。
- 「天皇主体説」・・・天皇に主権があるという考え方。
考え方があるというのはシステムでは無く、実際に解釈としてどちらとも取り用があるということで、政治家や学者の中でも意見が分かれる。
ちなみに、戦争の責任有無についても分かれている。
昭和天皇に責任があったという意見もあれば、立憲君主的なシステムの話からしたら無いのではないかという意見もあるし、むしろ戦争を止めるようにやらない方向で話を仰っているなど。未だに意見が分かれています。
ポツダム宣言
昭和天皇がポツダム宣言を受託した時に、そこには天皇は残さないという風な条文が入っていた。
なぜなら天皇自身が自分がどうなっても構わないという風に思っていたからです。実際、他国の王も第一次世界大戦でいなくなっていることを考えると、本当にどうなるか分からない状態です。
それでも自分でそこは受け入れるということ仰っていたということです。
模索の先にある、象徴天皇の在り方とは何か
明治維新があった後に天皇が国家元首的な立ち位置に戻ったとはいえ、立憲君主制的なシステムなので単独での権力行使は出来ない状態が続き、ターニングポイントとなる敗戦を迎える。
太平洋戦争で負けてしまってアメリカ主導で今の憲法が創られ、その中に「日本国の象徴」と書いてある。
そして、それが何かという解釈がとても難しい。
そしておそらく天皇陛下自身が今だに考えて模索されているのではないかと思います。
そして、おそらく定義とまではいかないけれど”象徴”とは何たるかという所に関して「国民が楽しい時も悲しい時も寄り添ってくれる存在」みたいな感じで形成されているのではないだろうかと思います。
具体的には、天皇陛下になられてから凄く変わったのが災害時に被災者の所へ行き膝をついて話をされたという行為でしょうか。これまでは膝を付く行為など有り得なかった、そして被災地の国民と直接話をして下さる隔たりを埋めるような距離の近さ。
”象徴”とは何たるかという所に関して、天皇陛下なりの模索され続けた結果としてこうした行為に現われており、定義とまではいかないけれど「国民が楽しい時も悲しい時も寄り添ってくれる存在」みたいな感じで形成されているのではないだろうかと思います。
そして、今後も模索し続けるのではないでしょうか。
天皇の仕事
皆さんは天皇陛下に対してどのようなイメージをお持ちでしょうか。
いつもニコニコ笑顔で落ち着きのある印象をお持ちなのではないだろうかと思います。
しかし、笑顔の裏で天皇陛下はとてつも努力をされているのをご存じでしょうか。
多忙を極める主な仕事がこちらです。
- 皇室祭祀(神道のお祭りごと)
- 公務(署名や判子を押す書類が年間約2万、内閣から届く書類約1000件全部読む
- イベントへの出席など
これらは一部なんので、気になる方は調べてみて下さい。仕事以外の時間も色々なことをされているそうですよ。
まとめ&感想
いかがだったでしょうか。
冒頭に戻りますが、改めて、今回のテーマ「結局、天皇ってなんだっけ?」ということでした。
天皇陛下のご退位と皇太子殿下のご即位という皇室儀礼を経ることで、平成から、新しい元号(令和)を迎えました。
すごく長い天皇の歴史の中で、今は象徴天皇の初期ステージとして大きな転換点であり、新しい天皇の時代に一緒に生きているのは間違いないかと思います。
本記事が改めて、今一度「天皇」とは何か考えるきっかけとなり、その理解の一助となれば幸いです。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
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最後に
最後までご覧頂きありがとうございます。
以下、本編動画を添付しておくので気になる方はどうぞ。
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