こんにちは、タカオです。
あなたは、コテンラジオをご存じでしょか?
本記事は【歴史を面白く学ぶコテンラジオ_COTEN RADIO】をシーズン毎にまとめ、紹介している記事になります。
テキストにまとめているので、気になるけれど聞く時間がない人の時短になります。
また、既に聞いたことがあるけれど耳だけでは理解しきれなかったという人にもおすすめです。
- 【まだ知らないあなたへ】この記事を読んで興味を持って貰えたら嬉しいです。
- 【既に知っているあなたへ】テキストにまとめています。復習やリピートの際に活用して貰えると嬉しいです。
※なお、タカオはコテンメンバーとは関係のないラジオ視聴者の1人です。
【今回紹介しているのはこちら】本編YouTubeで公開しています。
動画で確認したい方はどうぞ
今回シーズン5から収録の様子が見られるので、普段はPodcastで聞いている方は動画で見るのも面白いかもしれません。
シーズン毎にテキストでまとめているので気になる方はコチラをどうぞ
♦シーズン1 吉田松陰♦
♦シーズン2 スパルタ♦
♦シーズン3 コミュニケーション史♦
♦シーズン4 天皇♦
♦シーズン6 諸葛孔明♦
♦シーズン7 世界三大宗教♦
♦シーズン8 ヒトラー♦
♦シーズン9 フランス革命♦
♦シーズン10 ガンディー♦
♦シーズン11 アレクサンドロス大王♦
♦シーズン12 お金♦
♦シーズン13 三蔵法師・玄奘♦
♦シーズン14 高杉晋作♦
今回のテーマは「映画『キングダム』を10倍楽しむ為の予備知識、始皇帝中華統一への道」です。
2019年4月に実写映画化していました、(2021年2月時点)累計発行部数7000万部を記録している原 泰久先生の中華歴史漫画『キングダム』。
愛読者の方はもちろん、これからキングダムデビューしたい方も、これを見れば本作品をより楽しんでいただけるのではないだろうか。
以下、全5回構成で「キングダムの時代背景」「始皇帝という人間について」学べる内容となっております。どうぞ!!
1. #20キングダムSP 奏の始皇帝ー『キングダム』を10倍楽しむ予備知識
2. #21奏はどのように成長していったのか(約20分)
3. #22 奏を盛上げた男達(約19分)
4. #23 暴君?始皇帝ってどんな人(14分)
5. #24 不老不死を求めたわけ(約18分)
6. 参考文献
7. 最期に
#20キングダムSP 奏の始皇帝ー『キングダム』を10倍楽しむ予備知識
- 春秋戦国時代とは、大規模戦争を繰り返し思考回路のスケールがデカイ、凄まじく尖った天才・変態達が凌ぎを削りあう常識では考えられないカオスティックな500年。
- 大陸を起源とする東洋思想の殆どはこの時代に生まれ、その後の学問や思想、知見は焼き直しであるといえる。
- 始皇帝の凄さ➀「中華統一」これは今のヨーロッパを統一するくらい難しくて凄いこと。
- 始皇帝の凄さ➁「法家思想」という「仕組作り」により、これまで存在しなかった中華統一国家の運営法を考え、運営していること。
ラジオのパーソナリティーで歴史のプロフェッショナルである2人から見ても『キングダム』は魅力的な作品であるそうです。
これからキングダムデビューしようと思っているけれど、歴史が苦手な僕たちがより楽しむ為に、まずは時代拝見から確認していきましょう。
春秋戦国時代
- 凄まじく尖った天才・変態達が凌ぎを削り合う、常識では考えられないような人達がたくさん出てきた時代
- 諸子百家(孔子、老子、孟子など)といった思想家や、孫子の兵法などの出てきた時代
- 今の東洋思想の8割が形成される時代
- 紀元前500年(2200~2700年)位前の約500年間の時代。
大体こんな時代です。以下もう少し具体的に見て生きましょう。
この時代は約500年間あるわけですが、日本で例えると100年でも長いと言われている江戸時代(1600~1868年)で約250年間。
その倍以上もの長い期間全員が凌ぎを削り続けるという時代です。
また、広大な土地に人もたくさんいて、戦争の規模も当然大きい。国という言葉が日本の何十倍という中で、極端さや尖り方が笑えるレベルで思考回路のスケールが大きい人達が出てくる。
要するに、日本でも伊達政宗や織田信長など有名な偉人が出てきますが、単純にもっと大きなスケールで倍以上の期間なのでもの凄い人達がたくさん出てくるわけです。
始皇帝の凄さ➀中華統一
「秦が統一した」文字にすると簡単な一言になりますが、これは相当凄いことです。
当時の中国というのは、現在のヨーロッパのような感じでたくさんの国があり、それぞれに言葉も文化も文字、貨幣という様に全部違う状態です。
それを統一して1つの同じ中国人としてまとめていったのが、この奏という国が1番最初にやったことです。
なので、奏が無ければ現在の中国という概念もないし、当然中国という広大な国も無かったかもしれない。もっと小さい国がたくさんある大陸で現在のヨーロッパのようになっていてもおかしくない。
今を生きる僕たちからすると、既に中国という国が当然のように存在しているので凄さがピンとこないかもしれませんが、これが秦の凄さです。
諸氏百科出現の背景
諸子百家という人達が出てきた背景としては、ずーっと戦国時代時代だったので実力社会になっていったことが上げられます。
春秋戦国時代が始まった時には200あった国が最後に選ばれた国は戦国七英と呼ばれる7つのみです。それくらいに国同士の争いが激しかった。
それまでは普通に貴族が上にいて平民が下にいるヒエラルキー状態だったけれど、あまりにも競争が激しすぎた結果強い者が勝っていくという実力社会になった。
争いは単純な勝敗ではなくて、負けると死や奴隷を意味するので皆必死に戦いました。
そうして実力社会になっていった結果、身分を問わずに実力さえあれば自分の思想や政策を国に反映させていくような時代になっていきました。
こうして思想が発達することで、
- 人間の在り方を考える人
- 国の統治の仕方を考える人
- 富国強兵をどうすればできるかといった生産力を考える人
- 戦争の勝ち方を考える人
- 王の説得の仕方を考える人
様々なことを考える人達が出てきた。
たくさんの人達が500年間ずっと考えた結果、あらゆる思想とハウツーがこの中から出てきた。
そして、適材適所で外交の戦略を考える人など、あらゆる課題は全てこの時代である種殆ど出尽くして答えも全部出し尽くしました。
よって、その後の中国の学問や知見はその焼き直しといえるだろう。
奏が最後に勝つ
キングダムの主人公の国である奏。元々は後進国でした。200あった国の中で中堅くらいの大して全然強くない国で、もちろんキングダムにも出てきます。
奏は西の果ての方にあるちょっとはずれた、中心地の人達から見たら野蛮な国というみられかたをしているのですが、そんな田舎の奏が最後に勝ちます。
ちなみに、斉や魏といった所がいわゆる中国のメインストリーム。文化の中心地です。
キングダムの中にも7カ国出てくるのですが、
- 斉は学術都市
- 魏は経済都市
- 趙は軍事都市
といったように、それぞれに特徴があり最初からキャラ付けされた漫画のようなことになっている。
そんな、実力社会の中で諸氏百科が活躍し、その中の法家と呼ばれる人達が国を強くすることに貢献していきます。
具体的には、法律を作りそれを持って国を治めることを第一にしなさいという事をいう思想家です。
現在は殆どが法治国家なので当然と思うけれど、当時は貴族や王様の裁量で色々な事が決められていた。
そんな裁量により曖昧だった所に、きっちりとルールを決めて全員がそれに従うベきだということをいったのが法家です。
そして、この法家の採用に成功した国がどんどん強くなっていくというのが、戦国時代の後期に起こっていく。
これに、最も成功したのが奏。だから奏は統一出来たという風にいわれています。
要は、単純に筋力など力だけではなくて、知力によりシステムを作ったということ。
始皇帝へバトンを繋いだ先人たち
実は始皇帝の100年前からバトンを繋いでいて、最後にゴールを決めたのが始皇帝です。始皇帝が凄いだけで統一したわけではないということです。
具体的には、始皇帝の100年前から奏はどんどん確変していき→1番最初に商鞅という法家が国のシステムをガラリと変えて→そこからキングダムにも出てくる白起将軍という神レベルの将軍が出てきて…という様に奏の統一までバトンを渡していきます。
その間ずっと7ヶ国の情勢は変わらずの状態だった所で、最後一気に始皇帝の代で7カ国を滅ぼします。
なぜ、一気に滅ぼせるかというとこれまでの商鞅や白起といった先人がバトンを繋いだからです。
諸子百家が売り手市場
始皇帝にはどの人材を使うかの決裁権があり、優秀な人材の採用合戦の時代です。なので、王様は自分がへりくだってでも採用しないとけない。
相手が優秀であれば頭は下げないけれど、先生扱いして是非アドバイスを頂きたいというようにしないと優秀な人が採用できない時代です。
なので、採用される側はみんなめちゃくちゃ偉そうです。
例えば、会社が伸びるかどうかというのは、社長より伸びる人材を押さえつける社長は伸び無いと言われていて同じことを孟子もいっている。
孟子が空気を読まずに王様をディスりまくった結果、王様が落ち込んでしまう。それを見かねた家臣に「偉そう過ぎる」と注意を受けるのですが、
それに対して孟子は「王様が自分より偉い人がいないと思う国の方がやばいだろ」と「だから俺は偉そうなままで良い!」という。
それを聞いて「あれっ?」と思うけれど、「確かにっ!」みたいな「おぉ?おおう…」みたいになるというお話。
ここまで大まかな時代背景を理解した所で、以下、奏という国がどのように成長し強くなっていったのかを深掘りします。
#21奏はどのように成長していったのか(約20分)
- 秦の成長の要因は、法家の「法の前で平等の概念、法律・ルールによる国家運営、KGI設定」を取り入れ、フルで活かすことができたから
- ”商鞅”が秦の国家システムを根底から革新した。商鞅は死ぬがシステムは残る(始皇帝の100年ほど前の出来事)
- 秦が法家思想を最も導入できのは後進国だったため、イノベーションにより既得権益が潰れることに対し反発する貴族などが他国ほど成熟していなかった背景がある。
ここまで、キングダムの大まかな時代背景を見てきましたが、今回は奏という国がどのようにして成長したのかについてみていきます。
成長の要因は法家をフルで活かすことが出来たから
成長の1番の要因は法家をフルで活かすことが出来たのが奏だった。
実は他国も法家の採用をしている。しかし、秦ほど上手く活かせなかった。
具体的には、商鞅という人がいるのですが、この人が秦の国家システムを根底から覆して革新させていくということをした結果、秦の国力が一気に上がっていきます。
ちなみに、これは始皇帝が生まれる100年位前の出来事なので直接会っていません。
以下、法家(商鞅)がどういう改革としていったのか見てきましょう。
法家の改革
まず、法家は「ルールで国家を運営しましょう」ということを言っている人です。
これまでは、法律やルールで運営していなかったわけです。王様や貴族がいるので、彼らの裁量や才分に任せられていました。
それを、「貴族も含めて全てルールで縛りましょう」ということを言ったわけです。
この人が目指したゴールは何か、一言でいうと「富国強兵」です。
まず、民衆の生産力を上げ戦争に行って強くして、それで貴族の権力を落としつつ君主の権力だけを上げていくという中央集権を実現しようというのが、この商鞅という人がやった改革です。
色々行ってますが少し例を紹介すると以下のようなことをしました。
- 愚民政策。農業への従事を推奨する。
- 中間管理職の設置。中央集権にしていく
- 法律の制定。人事評価のルールを作った。
以下、具体例を3つ確認しましょう。
当時は農業が産業として1番国力を上げる要になるので、みんな農業に従事しなさいということを言った。
この時代は、話合うことや学問・思想活動に意識が向けられている時代でなので人類史上初、頭が良いことに価値がある状態です。
しかし、商鞅はむしろ知力とかどうでも良いから全員農業しろといっているわけです。
要は、愚民政策を言っているわけです。
学問は与えない、教養は無くていいからひたすら全員農業しなさい。次男三男いるのなら分家して新しい田んぼを開拓しなさい。これらを法律で定めて開拓しないなら罰金などです。
ではなぜこうのようなことをしたのかというと、
ある種のちのヨーロッパ産業革命もそうだったが、要は1つの大きな組織、国の中でそれぞれが歯車になって分業した方が全体としては効率や生産力が上がるからです。
手足が命令していないのに勝手に走り出したら困るわけです。
当時は貴族がそれぞれの土地を治めていたのを、中央から官僚を派遣してその官僚に管轄させるということもこの人が奏で始めたことです。
要は中間管理職を置いたとわけです。それによりその地方の豪族を押さえつけて権力を剥奪して、皇帝の命令が全部に行き届くようにしていきました。
現代で例えると、各地に知事がいます。彼らは選挙によって選ばれていますが、その知事を中央から派遣させているようなイメージです。
そういう制度にすることで地方の権力を削いで全ての権力を中央に集中させることで命令が全部に行き届くようにした。
ではなぜこのようなことをしたのかというと、利害が相反しないようにするためです。
例えば地方に知事がいて中央に王様がいる状態にしてしまうと、その地方の知事と中央の王様の利害が一致しないということが起きる可能性が当然ある。
要は、全体にとっては良いけれどその地方にとっては良く無いので反対されるということを強制的に排除し命令できるようにしていくために中央集権にしていくわけです。
中央集権にして、愚民政策で勉強させない。娯楽もさせずに農業に従事させているのである種の奴隷のような状態です。
この状態で、戦争に行かせます。そして、そこで相手の首をとってきた者(成果を上げた者)はいかに身分が低くて昇級でき、一方でどれだけ身分が高くても成果を上がられなかった者は、その身分を落とします。
というような法律を制定し、人事評価のルールを作りました。
商鞅は人事評価のルールについて、末端の民衆でもそのルールを理解し自分で判断できるレベルの明確さで伝えるということをしています。
商鞅と天下統一の概念
商鞅のやってきたことは一見すると、民主主義の真逆なので今の僕たちの感覚からすると悪いやつに思われるかもしれません。
しかし、彼は別に正しと思ってやっているわけではない。時代毎にそれぞれ即したやり方があり、今の時代ならこのやり方で富国強兵が出来るといっているだけなんです。
これは凄いことです。
商鞅はこれを100年後続けたら統一できると言っていて、結果本当に100年後に始皇帝が統一している。
さらにこの時代、誰も統一なんて考えていない。そもそも統一という概念がない。7カ国は自分の国を強くしたり領土獲得していこうという思いはあるが、統一という概念までは至らない。
例えば今ヨーロッパを統一しようとはならないともいます。これと同じで当時も統一しようというような壮大なことは考えないのが普通だったが、商鞅は自身の本で”出来る”と書いている。
こういった誰も思いつかなかったことをイメージ出来たのは凄い。
要するに、「ここまでやれば出来る」というフレームワークを作ったことで、それを見た始皇帝が天下統一は出来ることなのかもしれないという風に思って、実行に移しているのしれない。
今でも皆それぞれ違い離れている現実がある。その中で普通は出来ないであろう世界統一のイメージを普通に出来ることとしてイメージを与えた商鞅という存在の影響は大きかったではないだろうか。
富国強兵が進み、強くなる奏
当時の民衆は大変だったかもしれないけれど、結果的に富国強兵は進んでいきます。
法律を平等に扱い、偉い人も農民も平等に施行することで、それまでの貴族など氏族を管轄し治めることで国を治める方法から、奏は個人個人が国を管理する時代に先駆けて突入します。
そして2300年位前には、戸籍や人口など国を管理するには大事にすべきことについて、色々書き記しているという事をしています。
結果徐々に国力が上がっていきます。
また、戦争に行かなければ罰せられるという法律を定めているので、農業して戦争するということに集中していき、結果戦争に強くなる。
こうして、白起将軍という神レベルで強い将軍も出現し兵士も強い。
要するに、奏は国全部で最適化できた結果強く成った。
一方で、大きな改革(イノベーション)なので既得権益を壊すことになり、自身の権力が下がってしまう貴族からの反発は当然ありました。
以下、商鞅がこの大改革を成功させるまでを(商鞅が奏に来る所~商鞅の死までに)まとめているので確認しましょう。
商鞅、魏から奏へ
実は商鞅は最初、魏のナンバー2のもとで仕事していました。
魏のナンバー2が寿命で死を迎える時、魏の王に商鞅という天才がいるからこの人を採用した方が良い。自分が死んだら代わりに商鞅を引き立てて貰うように言った。
そして、もし他国へ行ったら他国が強くなってしまうので採用しないならば殺せともいっています。
しかし、王はそんなわけ無いと無視しました。ほっておいた結果、奏は就職活動で奏へ行ってしまいました。魏は採用合戦が下手くそで商鞅は魏にいたのに逃してしまったわけです。
そして商鞅は奏に就職活動に行き2次3次と面接を通過して奏に採用されるというお話。
以下、商鞅が秦にて大改革を成功させるまでエピソードを2つ紹介しているので確認しましょう。
象徴的エピソード1
まずは、商鞅が秦での面接時に「この大改革は王様が本気でやらない限り絶対に成功しないからお前マジで覚悟しろよ!」という所から始まります。
そして、採用された瞬間から、「まず偉いヤツを集めろ」というわけです。「全員集めてその前でやりきると言い切れっ!」と言われ、王様も分かっていてちゃんと言ってくれます。
要するに、わざと皆に議論させるわけです。
商鞅と既得権益の貴族に議論させて、何が正しのか、国はこうすべきだという色々なことを議論させたうえで最後に「じゃあ、商鞅の案を採用!!」といって皆の前で宣言します。
要は、この過程を踏むことで商鞅の地位を確立させたわけです。
なぜなら、もし議論しなければ商鞅は王が連れてきた訳分からないヤツだったからです。
象徴的エピソード2
王様の子ども(次期王様)がルールを破るところから始まります。
次期王様が破ったルールは死刑に相当するものでした。商鞅は王以外は全員に(法律)適用すると言っているので、このままでは次期王は死刑にしなくてはいけません。
この時、さすがに死刑は無理だとなったので、商鞅は次期王の教育係と侍従のような人の鼻を削ぎます。
本来はあり得ませんが、削ぎます。貴族の鼻を削ぐという事は反乱を起したり、罪をおかした人に対してすることです。
要は、商鞅が覚悟を見せたわけです。これを見て国民はまさか王子が罰せられるとは思わなかったので、あの人本当にやる人なんだと、言うこと聞かないとマジでやばいと思わせて皆きついけど聞くようになるわけです。
ここから分かる商鞅の素晴らしい所は、
当時、法の前で平等という概念がない中で、法を作るだけでは無くそれを運用する所に覚悟が必要である事を理解しているのが凄い。
良い仕組を作っても、その運用には経営者や社員に覚悟がないと全然機能しないという点において、これは、現代の会社でも同じことが言えるのではないだろうか。
当然これにより商鞅は恨みを買い命を狙われてた結果、王様が死に次期王が王様になった瞬間に殺されます。
こうして、【結論】商鞅は死んだけれど、システムは残る。
なぜ、奏にばかり優秀な人材が集まったの?
なぜ奏にばかり優秀な人材が集まったのか、それは奏が後進国。いわゆるベンチャー企業だったからです。
奏の王様は歴代頭を低くして優秀な人を外国人でもどんどん採用しています。
例えば僕たちが中国人や韓国人を積極的に採用しているようなイメージです。
地方都市が頑張って中央から人を呼び込んで採用しているような構図で、優秀であれば外国人でも構わず雇っていきました。
一方で、魏などは大企業です。外国人を馬鹿にしているので自国の人を積極的に雇います。
大企業だから優秀な人材を逃しまくりました。
なぜなら、イノベーターを採用できないからです。
要は、優秀な人は最初に魏にいくのだけれど、魏は大企業なので目に見えて安定している、既に実績や成果を出したことのある人を採用してしまっている。
例えば、東大卒だとか、血筋や学歴で判断してしまうため、本当に優秀な人達をどんどん逃しているのが魏というわけです。
商鞅はキングダムに出てくるの?
【結論】100年前に人なのでおそらく出てきません。
ただし、商鞅の意志を継いだ”李斯”というキャラクターが出てくるので、話には出てくるかもしれません。
李斯という人は法家で、商鞅の意思を多分に受け継いでいる人です。
直接、商鞅は登場しないかもしれませんが、こういう流れがあって李斯というキャラがいるのだと思うと、よりキングダムを楽しんで頂けるのではないだろうか。
【余談】速すぎる古代中国の発達
商鞅が採用されたのは30代前半です。
それで、当時の人口1000万人位の人達の生活を一変させる法律を作っているので、物凄い影響力を行使しています。
ちなみに、2300年位前なので日本ではまだ縄文時代辺りでしょうか。
古代中国の圧倒的発達の早さが分かります。
#22 奏を盛上げた男達(約19分)
- 百里奚という遅咲きの宰相が人徳のみで、奏を強国へとのし上げる。
- 戦闘力が神クラスの白起将軍が登場。商鞅のルールにより成果上げてまくってどんどん出世する。
- 秦が一強になる要因は、第三勢力の小国・燕に楽毅将軍が登場したこと。彼が二大強国の1つである斉を滅亡寸前まで追い詰めた。
前回に引き続き奏がどのように成長して強くなったのかについて、
今回は個々の人物に焦点を当てていきます。
商鞅の他にも始皇帝までバトンを繋いだ、たくさんの先人達がいるので以下、確認していきましょう。
奏の宰相、百里奚の人徳
まず始めに奏を強国にのし上げた人物が百里奚という人になります。『キングダム』では五羖大夫と呼ばれる人で、1コマか2コマだけ一瞬出ているそうなのでぜひ探してみて下さい。
百里奚は奏の宰相(総理大臣)です。では何をしたのかというと、楊端和という異民族を仲間に入れた人になります。
奏は西の果てにあります。そして奏の更に西にはたくさんの異民族がいました。
なので、秦は東にある中国の中心地を攻めたいのに、西の異民族に攻められるのを平定するのに手一杯で、東を見る余裕が無い状態でした。
その状態から、百里奚は人徳のみで7つ程ある西の異民族を全て仲間にします。
「百里奚が総理大臣するなら、僕たち秦に入ります」となった結果、秦の領土が突然2倍位大きくなります。
こうして一気に秦は東に目を向けることができるようになりました。
スロースターターで大器晩成だった彼は100才まで生きたそうです。
以下、百里奚が奏の宰相になるまでを表にまとめたので確認しましょう。
年齢 | 出来事 |
~40歳 | ・奏と全く違う国にて必死に就活するが認められない |
40歳~ | ・やっと認められるが、戦国七雄に入っていない凄く小さい国の官僚から始まる |
50~60歳 | ・国が滅びて仕事を失い奴隷になる |
60歳 | ・奏の官僚が百里奚を見つける ・たまたま奴隷として雇われしゃべる内に頭が良いことを評価される ・奏の王様が優秀な人なら全員と面接するということで王様に会える ・面接の結果、優秀だったのだ奏で採用される |
60~90歳 | ・順当に出世して90歳で宰相になる ・いきなり出世したわけでは無い ・30年位かけて徐々に出世した |
ちなみに、彼は五羖大夫と呼ばれるようになります。五羖とは羊の皮5枚という意味で、彼が奴隷だった時に羊の皮5枚で買われた為そう言われている。
優秀な人材を羊の皮5枚で買えたというエピソードが生きている間に広がり五羖大夫と呼ばれるようになるわけです。
要するに、価値爆上がりの生きるビットコインだったというお話。
戦闘力が神クラス!?白起将軍の登場
次に白起将軍が出てきます。『キングダム』では回想シーンで出てくるそうです。
白起将軍は、世界史を通じて天才的な将軍の代表格に数えても良い位に激烈に強い、戦闘力神クラスの将軍です。
ちなみに、彼に並ぶ戦闘力の楽毅将軍が同年代に登場します。白起将軍は奏・楽毅将軍は燕の人になります。
この時は既に述べているように、商鞅のルールにより成果(実績)を出した者はどんどん出世できる時代です。そして、白起将軍は結果を出しまくりどんどん出世していきます。
当時、商鞅のおかげで既に奏はだいぶ国力が強くなっています。兵士もたくさんいて、食料も確保できている状態です。なので奏・斉・楚の三大強国になっており、その下に魏や韓があるという時代に突入しています。
そんな時代に楚の首都を陥落させるなど、全戦全勝みたいなことをするのが白起将軍です。
『キングダム』では強い将軍が一人でめちゃくちゃ倒すイメージですが、実際には色々なタイプがいるので以下紹介します。気になる方はどうぞ。
項羽将軍 | ・漢の時代の人 ・自分が強い。漫画っぽいタイプ ・先頭に立ってバンバン倒すので仲間の士気が上がる |
孫臏 | ・足の腱を切られているので馬や戦車に乗れない。 ・諸葛孔明みたいな感じで。全部戦略で相手の裏をかいて全員術中にはめて全滅させる倒し方をする |
白起将軍・楽毅将軍 | ・知将で猛将。 ・どっちもあるから超強い |
小国・燕に楽毅将軍が登場する
白起将軍が楚の首都を陥落させたので、この時点で奏・斉の二大強国となり、ほぼ一騎打ちの状態で睨み合っていました。
そんな情勢の中で燕に楽毅将軍が現われて、斉を殆ど滅ぼします。
楽毅将軍は燕という弱小国家の将軍でありながら、超巨大国家である斉の72個あった城の内70個を壊します。
残り2個だという時に、楽毅将軍に不幸が訪れます。
楽毅将軍と人間関係を築いていた燕の王が死んでしまい、次期王に変わった時、次期王は楽毅将軍があまりにも功績を挙げすぎているので、王様の座を取られる事を恐れ彼を更迭します。
そして、更迭された瞬間70の城を取り戻されてしまいます。
要するに、将軍が変わった瞬間に全部取り戻されているので楽毅将軍が強かったというのが分かるわけです。
ただし、70個も落とされた斉は国力減退しており回復に時間がかかります。
この時に秦が一強の時代となりキングダムが始まります。ここまできて1巻スタートです。
ここまでの流れを知っておくことで『キングダム』より楽しめるのではないでしょか。
以下、ここまでの主な流れを表にしたので振り返りましょう。
主人公の国、奏は後進国(ベンチャー)スタート | ・最初から強かったわけではなくて、成り上がっていく |
商鞅の登場 | ・国家システムを根底から覆して大改革する |
百里奚の登場 | ・人徳のみで異民族を仲間にして秦の領土を拡大する |
白起将軍の登場 | ・三大強国の1つ楚を倒す |
小国・燕で楽毅将軍の登場 | ・二大強国の1つである斉を滅亡寸前まで追い詰める |
キングダム1巻のスタート | ・奏一強の時代へ突入 ・キングダム1巻が始まる時 |
要するに、1番弱かった国が、構造改革によって結果的にどんどん強くなっていき、元々いた斯存勢力達を全部滅ぼすというお話。
【ネタバレ】歴史なので問題無しです。
元々あった秦という国強くなかったけれど成り上がって行く→その過程には百里奚や白起将軍、楽毅将軍というバトンを持った人達がいて→その前に先代の王の頭が良くてなどがあり。
といったように連綿と続くストーリーがあるのがこの時代の魅力です。
最後に斉が滅ぼされて、秦の始皇帝が統一します。
斉は無血開城のような形で戦わずに負けます。ネタバレになりますが歴史なので問題無しです。
史実では蒙恬将軍や王翦将軍が強く、漫画に出てくる六代将軍達がどんどん倒していきます。
ちなみに、主人公の信(李信)はあまり強くない。
名家の生まれの蒙恬が後に有名な将軍になり、王翦も史記に王翦伝と特出して書いて貰えるなど、そうした人達がいて徐々に倒して統一していく。
白起将軍と同じ時代に笵雎という人が出てます。
笵雎は秦の外交戦略を支えている人です。漫画では始皇帝がやっているように描かれているが、実は笵雎の外交戦略が斉の無血開城に繋がっている。
魅力的なポイントは、始皇帝が皇帝になるまでのバトンの繋ぎ方。
今回紹介している人達以外にも色々な人が活躍しているので、気になる方は調べてみてはいかがでしょうか。
始皇帝の凄さ
始皇帝の凄さは統一したことも凄いけれど、実はその後が凄い。
彼はそれまで存在しなかった中国統一国家の運営法を考えて運用している。
以下、そんな始皇帝のパーソナルな部分について見ていきます。どうぞ。
#23 暴君?始皇帝ってどんな人(14分)
- 始皇帝は、中華統一に向けて繋がれてきたバトンを受けてゴールを決めた人。
- 弟の反乱や暗殺により人を信用しない人になるが、自身があまりにも優秀だったので他者へ採決権を渡さず全部自分で仕事をこなす。
- 中華統一後も勤勉でストイックなハードワーカーだった彼はワンマンでやれるほど能力が高く属人的だった。
- 秦の始皇帝もまた漢にバトンを繋ぎ、次世代の帝国が反省を活かしつつシステムを濃厚に受け継いだ結果、400年以上続く案奏の国を作って行く。
ここまでは、キングダムの時代背景についてみてきました。
ここからは以下、始皇帝という人そのものについて見ていきます。
特殊な生まれ方と育ち方
始皇帝は非常に優秀な現実主義者という印象の人です。
漫画でも描かれているが、彼の出自が特殊なので以下具体的に見ていきましょう。
彼は、生まれた時から人質でした。
父が趙の人質に出されていた。当然、王位からとても遠く君主になれないようなポジションからはじまります。
そして、漫画にも出て来ます呂不韋という商人と始皇帝の父が出会います。
呂不韋は趙にいた時点では、ビジネスに成功したお金持ちです。普通のビジネス界隈を極めたので、ある意味で次のステージとして政界に進出しようとしていました。
呂不韋は始皇帝の父に自分の財産をフルベットすることで、父を王様にして自身も成り上がろうとするわけです。
ちなみに、当時の始皇帝の父に特別才能があったわけではありません。
呂不韋が王様にするという所に対して多額の賄賂を使いまくって王様にします。
要するにラッキーゴールへの道が始まったというわけです。
以下始皇帝ラッキーゴールの過程を表にしたので確認しましょう。
年齢、出来事 | 解説 |
7~8歳 | ・これまでは人質だったが、いきなり自分父が君主になる |
13歳 | ・父が死んで、君主として即位することになる ・即位したがまだ若いのでナンバー2の呂不韋が代わりに政治を行う ・漫画ではこの状況で始まる |
呂不韋から王権の奪取する | ・史実では、あらゆる産業など全部に呂不韋の息がかかっており相当権力をもっていた。 ・呂不韋が国のすべての財力や物流を支配していたので戦い王権を奪取する |
弟の反乱、暗殺されまくる | ・漫画にも描かれている弟の反乱や暗殺により、始皇帝はあまり人を信用しないようになっていく ・人を信用せず決裁権も渡さないが、あまりにも優秀だったので全部自分で仕事をこなしてしまう。 ・伝説では毎日30kg分の書類を捌いていたらしい(※当時は紙でなくて竹だけど多い) |
像人的な運営は続かない。彼の死と共に奏は崩壊していく | ・ワンマンでやれるほど能力が高かったが属人的な運営続かず、国の統一は15年しかもたなかった。 |
始皇帝の本当の功績
既に述べているけれど、始皇帝の本当の功績はもちろん統一も素晴らしけれど、その後のシステムを運用している所が凄い。
要するに、それまでは統一国家は存在していなかった。
なので、言語や文化、風習が違うそれぞれの国をどうやって1つの国として運営して行けば良いのかという課題が出てくるわけです。
この課題解決に対して、始皇帝は相当な規模と件数のインフラ整備相を行います。
以下、彼が行った具体的な事を表にまとめたので確認しましょう。彼が30kg分もの書類を読む訳が分かるかと思います。
やった事 | <解説 |
高速道路を作った | ・コミュニケーション史でも触れたように道路網の整備 ・馬車の車輪の幅、道を全部揃えた。 ・それまでは国毎に乗り換えていたが、JIS規格のように最適化規格化することで解決した。 |
重さの単位を統一(度量衡統一)した | ・当時は重さでお金を測っていたので、重さを統一することでお金も統一した。 ・インフラ全般に関わることで、同じ単位で計測できつように統一。 |
土木工事のシステム設計をした | ・造船所を作った >・34kmの大運河を作り、流通網を確保 |
文字と交通が統一されていったというのは、この後、中国が中国として機能する為にとても大切なことです。(詳細は【シーズン3コミュニケーション史】参照)
これをすることで、初めて中国という国が出てくる。
要するに、今の中国のアイデンティティの出発点となるわけです。
歴史ロマン
始皇帝は、自分の帝国を未来永劫続けるつもりだったが、出来なかった。
【結果】15年で潰れた反省を活かして、漢帝国という次の世代の帝国がシステムを濃厚に受け継いだ状態でダメな部分を変えて、その後400年続くという安奏の国を作っていく。
要するに、始皇帝は先人から繋がれたバトンを受け取り統一というゴールを決めるが、始皇帝もまた漢にバトンを繋いでいるわけです。
フロンティアを作る先駆者と、それを引き継ぎ守っていく人というのは、必要なスキル・能力・性質、それぞれに求めらる必要なモノが違う。
例えば織田信長や秀吉、家康など先駆者はフロンティアを築きすぐになくなる。一方でそれを引き継いだ者が長い治世を実現する。
ただの出来事として把握するだけで無く、知ることで感じる歴史ロマンがあるのではないだろうか。
出来事の過程における当時の人々の思いやその繋がりを想像することで、新たな歴史の面白さや魅力など見えてくるモノもあるのではないでしょうか。
歴史というモノについて、学校などでは出来事や史実など共通の解釈をするけれど、もっと自由にその過程に思いを馳せても良いのかなと思います。
#24 不老不死を求めたわけ(約18分)
- 始皇帝が不老不死を求めた理由は、属人的に国の運営をしている事を理解しており、自身の死=国が滅ぶ。という不安と、皇帝としての自負があったからではないだろうか
- 奏に滅ぼされ統治されている他国にとって商鞅の法律は厳しすぎた為に反乱が起きる。奏を強くしたのは商鞅の法律・奏を滅ぼしたのも商鞅の法律という皮肉。
- 奏のシステムを継承した漢は徐々に最適化することで400年続く大帝国に発展した。
前回、始皇帝という人そのものについて見てきました。
以下、始皇帝が不老不死を求めたという話があるので紹介します。
不老不死を求めた理由は、皇帝としての自負と未来への不安
中国の歴史は千何何百年間あるけれど、始皇帝の時点でそれまで為し得なかった統一という事をしているので、初めてだったわけです。
王様が自分しかいないという所まで極めた時に、次に何をしよう考えてた時に、不老不死になりたいと思った。そして、始皇帝は色々な胡散臭い人達にその成り方を探させます。
例えば、方士という仙人のような人達に多額のお金を渡して不老不死の方法を探させるという、『火の鳥』のようなSF世界みたいなことをさせる。
当然、誰も持って帰れないので大金を持ち逃げされる形になるという、情けないことをしています。
他にも、伝説によると不老不死の薬だとして信じて水銀を飲んでいるらしいなど、情けないことを色々しています。
不老不死を求めた理由について、一般的な解釈としては、権力が上がりすぎたので私利私欲のために不老不死を求めたのではないかという意見もある。
しかし、彼は統一後にも属人的に国を運営し毎日30kgもの書類を読み捌いている。勤勉でストイックなハードワーカーだった彼の人生を見ると、自身の死は帝国の死を意味していると感じ、自身が不老不死になることで帝国を続けられるという未来への不安があったのでは無いだろうか。
要するに、私利私欲ではなく、国のことを考えており皇帝としての自負があったのではないだろうか。そして属人的な運営の仕方への限界にも気付いていたのではないかと思います。
秦の衰退
当然ですが、始皇帝の不老不死は叶わずしんでしまい、その後に奏は滅んでいきます。
以下、その過程を見ていきましょう。
まず、趙高と李斯というキーパーソンになる人が2人います。
趙高は奏の宦官です。宦官とは去勢された皇帝直属の奴隷のことです。そんな彼が好き勝手してかき乱します。
なぜそのようなことになったのかというと、晩年の始皇帝は胡散臭い不老不死の仙人に、自分の居場所を分からないようにしないと不老不死にはなれないと言われ、誰にも居場所を言わないという訳の分からないことをしていました。
結果、誰も始皇帝がどこにいるか分からなくなります。その間の伝言係を趙高が担当していた。
要するに、伝言係を趙高がすることで誰も直接始皇帝としゃべらないので、趙高の言葉が始皇帝の言葉となり好き勝手出来たわけです。
これにより、蒙恬というキングダムに出てくるキャラクターも殺されます。
悲しいことですが、せっかく作ったシステムの素晴らしい国が、最後は胡散臭い感じで終わる。
ちなみに、始皇帝の死んだ理由は病死とされていますが、これも怪しい。
暗殺や毒を盛られている可能性も十分にありえる。
そして、始皇帝の死んだ時に2人目のキーパーソンとなる李斯という法家が、勝手に長男ではなく次男を立てる。
勝手に次男が王様になるけれどダメな人でどんどんダメになっていった結果、最終的には農民反乱で滅びます。
奏を強くしたのは商鞅の法律・奏を滅ぼしたのも商鞅の法律という皮肉
続きになりますが、最終的に奏は農民反乱で滅びます。
既に述べているように秦の始皇帝は帝国運営の為にインフラ整備を行いました。インフラを作るのは良かったが民衆の負担が大きかった。
工事には約70万人の農民が導入されていました。これは、当時の日本の人口と同じ位にあたります。
それだけ大量の人間を工事だけに導入していて、商鞅のルールが厳しくて遅刻したら死刑です。
これは、奏の国内で拡大している時は良かったけれど、他国からすると奏に滅ぼされた上に厳しい法律を適用されている状態なので不満が溜まっていきます。
これが、陳勝・呉広の乱へと繋がり滅びます。
以下具体的に見ていきましょう。
陳勝と呉広という農民がいるのですが、彼らは非常に遠い工事現場へ動員されていました。
そこまでは徒歩で向かうのですが、ある日の大雨により川が渡れない状態になり現場へ遅刻してしまいそうになります。
法律により遅刻すると死刑だったので、現場へ行っても殺されるし行かなくても殺されるという状態になってしまい、どうせ殺されるなら反乱を起そうとなるわけです。
結果、反乱を起したら同じことを考えていた人達がたくさんいて、陳勝・呉広の乱という大きな反乱になった。
要は、殺されるというルールがあった為に捨て身になったわけです。
ちなみに反乱を起す中には、後に漢帝国を作る劉邦と項羽という人が出てきます。
彼らの二大決戦になっって劉邦が勝利し漢帝国が出来て、それが滅びて三国志というのが中国の歴史になります。
歴史からの学び
奏を強くしたのは商鞅の法律・奏を滅ぼしたのも商鞅の法律という皮肉.
例えば、戦国7カ国から奏が出て漢に行く。奏は滅びるけれど、出来てから滅びるまでの間にインフラ整備をしていて、漢に受け継がれています。
要するに、奏は滅びたけれどシステムは受け継がれ残っているということ。
当然、この時代の奏にとっては良く無かったので滅んでいるのだけれど、世界にとっては良かった。
なぜなら、それによって中国は中世までぶっちぎりでGDP世界1位の物凄い国力を保った状態で世界に君臨していくわけです。
漢の例をもう少し深掘りしておくと、
奏のインフラ施設などハード面をそのまま受け継いでおり、一方で法律などソフト面は緩和することで柔軟に対応しています。
しかし、後半は奏のシステムと結局一緒になっていきます。
要するに、最初は緩和するけれど徐々に厳しくしていくわけです。
歴史的にみてもどんどんジワジワ最適化するというのが良かった。
感想
全5回の内3回という半分以上使ってやっと『キングダム』1巻に辿り着く構成となっていました。
ストーリーの背景や外観に関する内容だったので、映画・漫画を知っている人も、これからの人も楽しめる構成だったのが素晴らしいと思いました。
歴史に限らず、興味を持つきっかけとして漫画など娯楽が入り口になることは多々あるのではないだろうか。
少なくとも僕自身は、漫画・ゲームといった娯楽と紐付けて興味が沸けば学習して深掘りしていたので、今シーズンの構成は楽しめました。
『キングダム』の映画は鑑賞したけれど漫画はまだなので漫画デビューと共に、改めて映画を見たいなと思います。
始皇帝が不老不死を求めた理由に関するエピソードは興味深かったです。
当初は水銀を飲んでいたエピソードは聞いたことがあり、私利私欲であるのではないかという解釈をしていました。
しかし、彼のハードワーカーな一面を初めて知り属人的な運営からすると続ける方法として求めたという解釈は面白く納得でした。
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最後に
ここまで読んで頂きありがとうございます。
以下、本編動画を添付しておくので気になる方はどうぞ。
シーズン毎にテキストでまとめているので気になる方はコチラをどうぞ
♦シーズン1 吉田松陰♦
♦シーズン2 スパルタ♦
♦シーズン3 コミュニケーション史♦
♦シーズン4 天皇♦
♦シーズン6 諸葛孔明♦
♦シーズン7 世界三大宗教♦
♦シーズン8 ヒトラー♦
♦シーズン9 フランス革命♦
♦シーズン10 ガンディー♦
♦シーズン11 アレクサンドロス大王♦
♦シーズン12 お金♦
♦シーズン13 三蔵法師・玄奘♦
♦シーズン14 高杉晋作♦
おすすめの映画作品の紹介記事があります。気になる方は以下からどうぞ
♦【コテンラジオ好きへ】おすすめの映画を紹介♦