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雑記ブログ。【歴史を面白く学ぶコテンラジオ_COTEN RADIO】をまとめ、紹介したり、FreeCADを使ったモノづくりについて発信しています。

未分類 歴史

まとめ【歴史を面白く学ぶコテンラジオ_COTEN RADIO】 シーズン8 ヒトラー

投稿日:2021年5月7日 更新日:

こんにちは、タカオです。

あなたは、コテンラジオをご存じすか?
本記事は【歴史を面白く学ぶコテンラジオ_COTEN RADIO】をシーズン毎にまとめ、紹介している記事になります。

耳だけでは理解しづらかったという人やもっと知りたくてリピート再生している方に向けて、視覚的に理解できるようテキストでまとめているのでおすすめです。
そして、約2時間16分(1エピソード#当たり平均17分)を記事にまとめているので、これからコテンラジオデビューしたい人や迷っている人は試しに読んで見て下さい。

※タカオは皆さんと同じ視聴者の1人で、コテンラジオを応援する者です。

【今回紹介しているのはこちら】本編YouTubeで公開しています。

動画で確認したい方はどうぞ
収録の様子が見られるので、普段はPodcastで聞いている方は動画で見るのも面白いかもしれません。

シーズン毎にテキストでまとめているので気になる方はコチラをどうぞ

♦シーズン1 吉田松陰♦
♦シーズン2 スパルタ♦
♦シーズン3 コミュニケーション史♦
♦シーズン4 天皇♦
♦シーズン5 キングダムSP 秦の始皇帝♦
♦シーズン6 諸葛孔明♦
♦シーズン7 世界三大宗教♦
♦シーズン9 フランス革命♦
♦シーズン10 ガンディー♦
♦シーズン11 アレクサンドロス大王♦
♦シーズン12 お金♦
♦シーズン13 三蔵法師・玄奘♦
♦シーズン14 高杉晋作♦

今回のテーマは「ヒトラー」になります。

独裁者としてのイメージが強いヒトラーについて、彼はどんな人生を歩んだのか、そして世界にどんな影響を及ぼしたのかといったところに触れながら学びます。
勉強という意味では悲惨な歴史を知ることには価値があると思いますが、今回の内容は、人の生死や争いなど、心が破滅的に暗くなる内容になっています。ご注意下さい。

映像記録が比較的残っている時代になるので、そちらも紹介しています。客観的に歴史を学び事実として心に刻みたい人は映像も確認することでより深く学びや得るものがあるのでは無いかと思います。

#39 独裁者ヒトラー!破滅へのカウントダウン(約14分)

ポイント

  • ヒトラーはオーストリア人であり、ドイツ人では無かった。
  • ヒトラーは政治家というより、芸術家基質の偏屈者。実績が無いのに首相になってしまう.
  • ヒトラーは30歳まで落ちこぼれのニートで家族のすねをかじっていた。
  • 第一次世界大戦とその経験がヒトラーの人生に多大な影響を与えた。
  • ヒトラーの自己確信力と怒りによるエネルギーの扱いは極めて優れていた。

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ヒトラーの人生について

ヒトラーは1880年頃に、オーストリアで生まれます。
厳密にはオーストリアとドイツの国境付近でドイツに超近い所ですが、オーストリアで生まれており、その後に引っ越したりしているわけです。

以下に、ヒトラーの人生をざっくり表にしたので確認しておきましょう。

子ども時代・特に能力も無く、落ちこぼれる。

・父は自分と同じように公務員にしたかった。

アーティストを目指してホームレスになる・30歳頃までニート。家族のすねをかじって生活している。

・絵を売って日銭を稼ぐが生きて行けずにホームレスになる。

従軍・第一次世界大戦勃発。

・戦争での経験とドイツの敗戦が彼の人生に多大な影響を与える。

政治家になる・怒りのエネルギーで、人の怒りを煽る才能があった。

・自己確信力が強い。

自己確信力と怒りによるエネルギー

ヒトラーはどのような人だったのか、各エピソード#毎に順を追って見ていくわけですが一言でいうと、彼は芸術家基質の偏屈者であり、政治家という感じでは無い。
結果からいうと彼は画家になれず、ひょんなことから政治家になって行く人生を歩むのですが、当初は画家を目指しておりそこそこ上手な絵を描いています。
そして、彼は性格が偏屈で基本的に「怒り」によってエネルギーを生み出しています。

彼は子ども時代から基本的に落ちこぼれで能力が無い。
しかし、怒りによるエネルギ-で、人の怒りを煽るという点においては才能が凄まじかった。
そしてもう一つ、彼は「自己確信力=自分を信じきる力」が強い。
要は、自分が言っていることを疑わず、間違いとも思わない。人の意見に迎合する事も無く、自分の意見を曲げて妥協することもしません。
視野が狭く一方向に対して突き進む力と人の意見を受け取らない力がすごくあるわけです。

このように彼は、実力やシステムでは無く思想で人を動かすタイプという、宗教家の様な側面を持っている。
しかしシーズン7 世界三大宗教、に出てくる仏陀たち教祖は自分の思想を持っていたのに対して、ヒトラーには自分の思想が有りません。
『我が闘争(マインカ)』の内容では、同時代の少し前の人の思想を継ぎ接ぎしており彼自身のオリジナリティが無いわけです。

2つの疑問に注目

ヒトラーは、この時代でなければ有り得ないキャリア形成をしています。
彼は30歳まで落ちこぼれのニートで、何の実績も無く突然政界に現われて、第二次世界大戦を起こして世界中を巻き込んであらゆる大惨事を起こします。
それほど社会に影響を与えた人間が、なぜ何の実績も無く突然現われ首相になったのか。

そしてもう1つ、大量虐殺で有名なユダヤ人の迫害について。
これは、近代国家、民主主義国家であるドイツで国家的に起きておりヒトラーが自分で殺しているわけでは無い。
要は、国全体に仕事としてユダヤ人の大量虐殺をするという仕事を渡してそれを忠実に遂行した結果である。
では、なぜそのような事が民主主義の近代国家で起きたのだろうか

以上2点に注目して、各エピソード#毎に順を追って解説しているので見ていきましょう。

#40 ヒトラー、30歳・無職・自称芸術家(約18分)

ポイント

  • 幼少気は、叩き上げエリートの厳しい父と、過保護な母の間で育つ。
  • 厳しい父が亡くなり、落ちこぼれのまま学校を辞めてニート生活、そしてホームレスになる
  • 第一次世界大戦が勃発。その経験が彼の愛国心を満たし、軍隊で初めて生きがいと居場所を見出した。
  • ヒトラーがナチスを創ったわけでは無い。敗戦後の反動、怒りのエネルギーからナチスが生まれてくる

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ヒトラーの子ども時代の生い立ち~重要なターニングポイントとなる第一次世界大戦をきっかけに彼が居場所を見つける所までみていきます。

ヒトラーの生い立ち、厳しい父と過保護な母に育てられる。

早速ですが、子ども時代のヒトラーは落ちこぼれでした。
叩き上げエリートで厳しい父と過保護の母の間で育つという幼少気を過ごします。

以下に、父と母について簡単にまとめているので確認しておきましょう。

父親・小卒で学歴はないけれど優秀。恵まれない環境から頑張って公職についた人。

・税官吏という税務を担当する役人として出世して厳格で厳しい人

・体罰もしており、ヒトラーを公務員にするため実務系の学校に通わせる

・ヒトラーは『我が闘争(マインカプ)』中で尊敬していると言っているが色々なコメントを集めたものをみると嫌いらしい。

・ヒトラーが16歳頃に亡くなる

母親・愛情深くめちゃくちゃ過保護な人

・ヒトラーの前に3人の子どもが居たが、1年間の間に3人とも病気で亡くなる

・ヒトラーも母を愛しており、『我が闘争(マインカプ)』にも記録されている。

・ヒトラーは最期に地下壕で自殺するがそこに母の肖像画を飾り、別荘にも飾っている。

学校を辞めてニートからの、ホームレス生活。

彼は元々芸術系に興味があったのだけれど、父の影響で無理矢理実務系の学校へ通っており、ヒトラー自身、学校に興味が無いし家からも遠いなど様々な理由から、友人が作れ無かった。
こうして小学校から成績が悪く落ちこぼれで人間関係も作れない状態の中で、彼は教師のせいであるという風に責任転嫁していたらしいことから、既に彼の特徴である「怒り」の片鱗を示してる様に感じます。

そして、16歳頃の時に父が亡くなり、学校に通う理由が無くなった彼は学校を辞めて母や叔母さんのすねを囓りながら2年間程ニート生活を送ります。

彼は学校を辞めた後に、元々は芸術に興味を持っていたので絵を描いたり劇場に行ったりする生活を送るのですが、訓練では無くて赴くままに描いて辞めるなど努力をしません。
なので、好きだから描くので上手にはなるけれどそんなに上手くならない。また、幼少気に人間関係を築けなかったからだろうか人物画が描けず建物を描いているという特徴を持つ。
また彼の人生の特徴として、母以外から愛情を注がれるという経験がとても少ない。そして、恋人や愛人のゲリやエヴァとの歪な恋人関係を築いていたりする。

以上の様な感じで、働きもせずに人の金でオペラなどを見に行っては、芸術の評論をします。
自分は何も出来ないくせに、評論家気取りで頑張っている人をボロクソ言って非難するということをしていて、落ちる所まで落ちた結果ホームレスになります。

以下、ウィーン芸術アカデミーでのエピソードを紹介します。

エピソード
ヒトラーは学校を辞めた後にウィーン芸術アカデミーという所に入りたいと思い、ウィーンに行きます。
受験するために叔母さんのお金で事前にそこに住み、絵を描きながら叔母さんにお金を借りて暮らします。
※ちなみに、借りているのが¥1000万位で2年間程度自由二暮らせるような状態です。この時のヒトラーは、ウィーンアカデミーに絶対受かると確信しています。
要は、自己評価では能力が高く才能に溢れているので落ちる訳が無いと思っているわけです。しかし、結論から述べると2回落ちます。
彼の人生において数少ない友人クビツェクと共にウィーンアカデミーを目指しますが、ヒトラーだけが落ちて、クビツェクは受かる。
そして、プライドの高いヒトラーはクビツェクと縁を切るに至り。2回目の挑戦も落るわけです。
※ちなみに、この時も自分ではなくてウィーンアカデミーがダメだと責任転嫁している。

こうして、自分は出来ると信じているけれどそれを認めてくれない世の中が悪いという典型的ニート発想(既に述べた彼の特徴である自己確信力の強さ)で20代を過ごし、友人無し・学校落ちて仕事出来ない・家が無いというホームレス状態にまで落ちます。
ちなみに、お金の問題ではなく兵疫を逃れるために意図的だったので無いかという説など色々あるが今となっては分かません。

このまま何も無ければ、歴史に残るような人物にはなっていないはずですが、ここで彼にとって転機が訪れます。
それが、皆さんご存じの第一次世界大戦です。
世界史上すごく重要なターニングポイントとなるこの大きな戦争はヒトラーの人生に多大な影響を与えました。

重要なターニングポイント、第一次世界大戦に突入。

まず始めに、第一次世界大戦と第二次世界大戦という連綿と続く1つの大きな戦争について、戦争突入時の人々は当然かもしれませんが皆これほど長く大量に人が死ぬ戦争をすると思っていなかった。
なぜなら、それまでの戦争といいうのは騎馬部隊などがぶつかって1~2割死んだら解散する。こういう戦争のしかたでした。
要は相手が全滅するまで戦うという概念では無かったわけです。

しかし、この世界大戦から機関銃(マシンガン)など大量殺戮兵器の開発に技術が追いついてしまった。
これにより、1師団を数分で壊滅させてしまうことが出来るという、それまで有り得なかった事が可能になり、戦争の規模・概念が大きく変わってしまったわけです。

世界大戦が始まるまでヨーロッパでは100年位戦争が起きていないため戦争を知る世代がおらず、世界大戦が起きているような教育も受けていないので、祖国のために頑張るというある種お祭りのように楽観的感覚で戦地に赴いていたそうです。
しかし、当然ですが戦地では悲惨な現実が待っています。
まずは、塹壕戦により戦争が長期化し泥沼化します。
要は、機関銃により人が死に過ぎるので塹壕といって穴を掘って隠れながら少しずつ進むようになります。
これにより戦争が長期化し、塹壕の中で寝泊まりするので湿気の高い泥の中で寝てしまい足が腐ったりします。
そして、戦争の長期化と大量死という状況を世界が初めて経験しているので皆辞め時が見つからず、辞められないわけです。
そして、塹壕戦を終わらせるためにもっと人を倒すため、戦車・飛行機による爆撃・毒ガスといった大量殺戮兵器がたくさん出てきて泥沼化していくわけです。

ヒトラー初めての成功体験

第一次世界大戦の経験と敗戦という結果は、ヒトラーの人生に多大な影響を与えました。
ヒトラーは戦争で初めて共通の目的を持って友人やチーム組織で働くというように、何かに帰属するという経験をここで初めてします。
そして、彼は祖国の為に頑張るという事に対して凄く志向性が高く、命がけで頑張るので、昇進するには至らなかったけれどこれまでと比べると初めて認められます。
要は、彼にとって初めての成功体験が第一次世界大戦だったわけです。
これまで、ずっと虐げられ・認めたれず・結果も出せずにいた彼にとって初めての成功体験が第一次世界大戦であり、
軍隊の中で戦争で頑張れば自分が自分でいられると自己肯定してしまい、そこに自分の居場所を見出してしまう。

敗戦と怒りのエネルギーからナチスは生まれる。

結論からいうと、戦争においてドイツはフランス、イギリスに負けます。
フランスはドイツを2度と戦争の出来ない国にするために、国力を削れるだけ削ろうという思想で、ベルサイユ条約をドイツに課します。
そして、ドイツは帝国から共和国になり共和制(民主主義)になります。
具体的には、ヴィルヘルム2世という皇帝がいるドイツ帝国でしたが、ワイマール(ヴァイマル)共和国を作り、そこで共和制にして民主主義する。
そこで、物凄く不平等で凄まじい賠償金を課してドイツを再起不能にしようとしてめちゃくちゃにしてしまいます。

これに対して、当然ドイツ人は怒るわけです。そして、この反動から生まれるのがナチスです。
ヒトラーがトップなのでナチスはヒトラーが創ったと誤解されているようですが、ヒトラーが創ったわけでは有りません。
ヒトラー7番目位のメンバーで、は途中からナチスのトップになっており創ったのは別のでした。

ナチスは世論に支えられて権力を握っていく。
要は、民主主義の中でナチスは独裁政権になっていくわけです。
具体的には、順番に以下エピソード#で解説しているのでぜひご覧頂ければと思います。

タイミング良く時代背景が絡むことでヒトラーだけが歴史の重要な要素として捉えられるけれど、必ず時代背景もセットになっています。
その時代背景があるからこそ、ヒトラーが歴史の中でその存在に役割を持たされているという考え方もあるわけですので、歴史を知る時は時代背景もおさえておくと良いでしょう。

#41 ヒトラー。開花する演説の才能(約19分)

ポイント

  • 第一次世界大戦の敗戦国ドイツは領土や植民地など国力を削られ、凄まじい額の賠償金を課された
  • 戦後のドイツはハイパーインフレによって経済システム、社会保障が崩壊して希望が見えない状態に追い込まれる
  • 終戦後ヒトラーは弁舌(スピーチ)の才能を見出され、軍隊の中で教育将校としての役割を担い才能を一気に開花させる。
  • ヒトラーの人生における特徴は私利私欲の無さ(全体主義的な思想)
  • ホロコーストに至る要因には、反ユダヤ主義思想・優生学・社会ダーウィニズムが学究的領域から取り入れられ理論武装されてしまった事がある

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前回は、ニートだったヒトラーが自身の居場所を見出す所までをみてきました。
その続きになります。

全体主義

世界大戦自体は終わりますが、

  • 敗戦という事実
  • 国として不平等で莫大な賠償金を課してくる戦勝国に対して
  • 新しいドイツ(ワイマール共和国)という政府が不甲斐なく平等条約を結ばされ文句も言わず、絶望的状況に突入していく中で何も出来ないこと

これらに対してヒトラーは物凄く怒ります。

主語が国になっており、ヒトラー個人としての感情ではない所に彼の全体主義的思想の特徴が見られます。
彼は国と自分を同一視して行くので全体主義と言われるわけです。
要は、国と個人がないので国のために全て奉仕しなければいけないという考え方なので、資本主義の逆です。
資本主義はもう少し自由にそれぞれが私有財産を認めているので、この逆が全体主義に当るわけです。

敗戦国ドイツの絶望的状況

戦争に負けたドイツはハイパーインフレにより経済システム、社会システムが崩壊し、大量の失業者、自殺者が出る。そして、賠償金額が莫大で払えない。
こうした状況が続き、どんどん希望が失われていってしまいます。

ハイパーインフレの影響、具体例
パンを1個買うのに¥1億円が必要になったりします。要は円の価値がほぼ無くなり紙くず同然になるわけです。
なので、年金なども元々の額が決まっているので貰ってもほぼ意味が無い状態となり、経済システムが崩壊しており、失業者や自殺者が大量に出る絶望的状態。

こうした、絶望的状況を生きた子ども達が後にナチスに入っていくわけですが、第一次世界大戦収束直後の彼らの経験というのが、

  • 父は戦場に行き亡くなります。
  • 戦争中は貧しくなっていくので、約3割の人が栄養失調になるほどご飯が食べられません。
  • 自分が子どもの頃にいざ戦争が終わったと思ったら負けてます。
  • 莫大な賠償金を課されてまともに仕事が出来ません。
  • 自分が大人になっても就職できません。

こうした人生を歩まされていくわけです。

こうした彼らの世の中に対する怒りが全てナチスの中で昇華されていくわけです。

ヒトラー弁舌(スピーチ)の才能開花

上記のような状況(時代背景)の中で、終戦後もヒトラーは軍隊に残ろうとします。
終戦後に軍隊は解散されるけれど、軍隊自体が0になる事は無いので1部残ります。
その際に、辞めても仕事が無いからなのか、彼が唯一認められた職場だったからなのか、理由は分からないけれどヒトラーは軍隊に残るという選択をするわけです。
そしてこの選択が彼を後に政治家にしていきます。

軍の中で上司がヒトラーの弁舌(スピーチ)の才能を見出します。
そして、終戦後の軍隊で兵隊にナショナリズムを叩き込む教育将校(軍隊の中での教師)としての役割をヒトラーは担わされることになり、そこで才能が開花する。

この時、彼は「戦争に負けた不甲斐なさ、敵は誰か、なぜ自分達がこの様な状況になっていて、それは誰のせいで、誰を攻撃すべきなのか」こうした話をします。
既に述べたようにドイツの若達は絶望的状況を強要されてきた時代背景があるので彼らにとって、希望も何も無い所で虐げられている中で、どこにぶつければ良いのか分からない怒りの矛先を示してくれたのがヒトラーというわけです。
こうした彼らの気持ちを代弁してくれて自分達が本当は優れた民族であるとヒトラーは言ってくれる。そして、これが誰のせいかという話から不平等なベルサイユ条約を守る必要は無いので無視しようという事をヒトラーが言ってくれるわけです。

この時と完全に一致するわけでは無いが、似た事を様々な演説で言っており動画で見ることができる。
以下、確認したい方はこちらを参考にどうぞ。(1分27秒~ヒトラーしゃべり出します)

ヒトラーの特徴、私利私欲の無さ

彼の人生のを通しての特徴は私利私欲の無さです。
既に述べているように、彼の思考は全体主義的であり、国家の為に義務感で行動しています。
詳しくは後に述べますが、ユダヤ人の殺戮なども国家の為に義務感で行っているからこそ危ないわけです。楽しんでやっているわけではありません。

これまでの歴史の人物は権力を握ると自分の私利私欲の為に金を使ったりする。
しかし、ヒトラーは首相になり権力を握っても給料も貰わず『我が闘争(マインカンプ)』の印税だけで生活しており金や物に対する執着が殆どない。

まさに、彼の人生は政治だけであり全てがドイツの為にある。
彼は一般的には悪者として解釈されることが多いけれど、一個人として改めて見ると彼の正義は貫いているのが分かって貰えたかと思います。

そして、善悪や正しさとは後にどう捉えるかという解釈であり、現時点での正しさとは何か非常に難しく分からない複雑なモノであることが理解できたのではないだろうか。

身近な出来事で例えるならば
甲子園を目指し努力する野球部で「自分達はダメだ」というようなネガティブな発言や空気が流れた際に、監督が「こらっ!お前達!!」と叱咤激励する。
そして、結果として勝てればその叱咤激励はプラスに働いたといえるが、負ければ怒鳴り散らしマイナスへ働いた改善の余地ありと解釈される。

こうした状況の中でヒトラーは教育将校として弁舌(スピーチ)の才能を開花させていきます。
彼が授業の中でナショナリズムを語り、自身が普段から思っている事を話し兵隊を教育する。
そこには、いわゆる右派的な考えを持つ教授達もおり、その考え吸収していき『我が闘争(マインカンプ)』の中に書いてある思想の根幹になっていきます。

それまでヒトラー自身も色々な説を持っていたけれど人の考えを吸収することで、彼は自身が最期に亡くなるまでの理論を殆ど確立したのではないかという風に言われている。

以下では彼の考えについてどんなものがあるのか深掘りしていきます。

ヒトラー思想(人種差別と優生学)

彼の考えの中でまず特徴的なのが「ドイツ民族アーリア人種に対する信仰」要は人種差別です。
これは、人種的差別で血に対する差別なので人の能力に関係無く、生まれつき既に生きるに値する人間かどうかが決まっているという判別の仕方をします。

そして、当時は優生学という学問があり、人間には優劣がありそれは遺伝子によって決まっているという風に学問的に勃興してきてしまった。
要は学究的領域から取り入れてしまい理論武装されてしまい、理論的に反論することが当時は難しかった(出来なかった)。
なので、ヒトラーはアカデミック(学究的)な文脈でユダヤ人を差別します。

これは相当にまずい状況です。
なぜなら、組織や教育が良く無いということであれば、それを変えれば良いので絶滅させる必要は無い。
しかし、ユダヤ人という人種(血)に対する差別であり根拠があってしまうので、ユダヤ人に何を施しても改善出来ない。
だから追放するしかない。けれど追放するには限度がある。だから殺すしか無い。
こうして、最終的にホロコーストに至るわけです。

とはいえ、当時の人達でも最初に賛成してる人は1~3割程度しかおらず、流石におかしいと思っていたようです。
当然、ユダヤ人と共に普通に生活しており、友人や親戚がユダヤ人であるという人もたくさんいるので「差別はしもいいかもしれないけれど、絶滅までは行き過ぎではないか」ということになるわけです。
しかし、なぜかどんどん主要な意見になっていきます。

以下その流れの可能性を詳しく見ていきましょう。

社会ダーウィニズムという考え方

後に詳しく述べますが、従来から元々ユダヤ民族に対する差別はヨーロッパ中で行われていました。
そして、以下3点が全てアカデミック(学究的)領域からきていることがホロコーストに至る主な要因と考えられるので確認しておきましょう。
・反ユダヤ的思想(後に詳しく解説)
・優生学(反ユダヤが遺伝子によって既に決められているという考え方。上記参照)
・社会ダーウィニズムという考え方(以下解説)

社会ダーウィニズムとは、社会というのは発達段階があり優れた社会と未発達の優れていない社会があるという考え方です。
これは、植民地支配するヨーロッパが持っていた考え方である。
例えば、アフリカ民族などが日本人に対してアジア社会が進んでいないので植民地にすることで発達させてあげるという上下関係のある考えかたです。

現代では社会人類学の領域の中で否定されており、それぞれがそれぞれの発達をしているという考え方になっていますが、
当時は社会ダーウィニズムという考え方が主流であり、これが侵略により植民地化していく事を正当化する考え方に繋がっていきます。

ちなみに、優生学ではスラブ民族(ロシア人)も差別しており、劣ったスラブ民族を奴隷にして植民地にするとう考え方をヒトラーは持っていたようです。
要は、ロシアに領土を拡大してそこにドイツ民族を住まわせてスラブ民族(ロシア人)は奴隷にするという考えです。

根拠無き支持の暴走

優生学や社会ダーウィニズムという考え方による差別について、今聞くととんでもない事だと思うけれど、当時は真面目にそう思っていた人達がたくさんいた。
今でも都市伝説レベルの事に対して根拠を見出すことが出来ないにも関わらずに、絶対そうであるというような人達がいるけれど、当時もこのような感じだったのだろうと思う。

当時の例でいうならば、
「ユダヤ人が世界を牛耳っており、戦争を起こしたのもユダヤ人である。ユダヤ人のせいでドイツは敗戦し、それは彼らに既に仕組まれていたことであり、賠償金が莫大なのもユダヤ人がそうしたからだ」
当時、こうしたことを言っている人達がいてその一派がヒトラーだったわけです。

もちろん、全ての事柄に対して絶対的な根拠を求めるのは難しく、可能性としてはあり得るのならばそれを想定すること自体は悪くないと思う。
しかし、それらしい根拠が無い状態で鵜呑みにしてしまうということは、信じたいから信じているという願望であり現実を直視できていない状態だということは理解した方が良いのではないだろうか。

現代の例でいうならば、
ホリエモンや西野さんなどです。彼らの意見や発信に対して批判や賛同など色々あるだろうけれど、彼らが「未来はこうだろう」と示していることに対して絶対的な根拠を求めるのは難しいわけです。
要は世界はこうなのではないだろうかという説を持つ事は良いけれど、それを根拠の無い状態で熱烈に支持しすぎると暴走していますよ。というお話。

つまりは、今も昔も人間というのは自分の感情やエネルギーのはけ口を求めており、その拠り所が必要なのではないだろうかと思う。
(シーズン7三大宗教でも少し触れているが)それが昔は宗教によるお墨付きであり、現代では科学や尊敬する人、メンターといったモノに置き換えられてきた。
形は変化したかもしれないけれど、本質的にはあまり変わっていないのではないだろうかと思いました。

#42 ヒトラーが弱小政党ナチスに加入したわけ(約14分)

ポイント

  • ヒトラーはナチスの前身となるドイツ労働党に入党することになり、軍人からインフルエンサーになっていく
  • ヒトラーの加入により、小さな政治団体に過ぎなかったナチスの支持者が増える。
  • ドイツ国民の世論(絶望や怒り)がナチスの台頭を支え、そこそこの人気を獲得する
  • ヒトラーの演説は計算されたパフォーマンスであり、聴衆の怒りや愛国心を刺激するための戦略的に作られた雛形に沿って行われていた。

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前回は終戦後のヒトラーが才能を見出された所から、彼の思想について深掘りしました。
今回はその続き~彼がナチスの党首になる所まで見ていきます。

ヒトラーはナチスの前身ドイツ労働者党に入党する

まずは、元々軍人として教育将校をしているヒトラーがこの後ナチスの前身となるドイツ労働者党に入党します。その経緯について以下みていきましょう。

ヒトラーには軍人として2つの任務を任されます。1つは既に述べている教育将校としての役割。2つ目がスパイ的活動です。
どういうことかというと、右派団体や左派団体など色々な団体がミュンヘンという場所で活動しているので国家としてそれらを監視するよう指令が出たわけです。
こうして、ヒトラーは監視するスパイのような立ち位置でドイツ労働者党を見に行きます。

ドイツ労働者党の党首はアントンドレクスラーという人です。
そして、彼の思想に準ずる人達を集めて講演などの活動をしているで当然ヒトラーも監視を目的に行くのですが、そこである出来事がおきます。

出来事
集会にて議論をしており、党首側の(右派)の誰かの意見に対して、左派の人が反論しました。
これに対して、スパイとして監視目的で訪れていたはずのヒトラーが反論し議論してしまいます。
そして、ドイツ労働党側で左派の人を論破します。

この出来事をきっかけに、ヒトラーはアントンドレクスラー(党首)にスカウトされます。
そして、ヒトラーは上司と相談の上でスパイといいう立場のまま内部に入ることになり、そこで頭角を現した結果ドイツ労働党の党首になっていきます。

軍人を辞めてインフルエンサーへ

ベルサイユ条約により軍隊を減らすように言われておりヒトラーもずっと軍隊には居られません。
1~2年後には辞めなくてはならないので次のキャリアを考えている時、ゴットフリードフェーダーに出会います。

ゴットフリードフェーダーはユダヤ人を批判する学者です。彼の講演でヒトラーは才能を見出されスカウトされる。
そこでヒトラーはしゃべる仕事をします。ここでも、政治は喋るのが仕事なのでヒトラーの才能にマッチしていました。
彼は喋りで寄付を募るというのがうまく、どんどん支持者を集めまさに適任でした。

こうして、ヒトラーが喋るようになってから、色々な人が入党し寄付も集ることで、田舎の小さな政党がどんどん大きくなっていきます。
まさに、フォロワーを集めるインフルエンサーになるわけです。

他の人達が働きながら党の活動をしている一方で、初期段階のヒトラーはまだ軍隊からお金を貰っていたので働かずに党の活動に時間をかけることができた。
こうした環境が揃った結果、ドイツ労働者党におけるヒトラーの立ち位置が強くなります。
要は、人も金も殆どヒトラーが集めているので自然と党首として認められていくわけです。

当時、右翼政党が乱立しており合併する動きがあったので、アントンドレクスラー党首も合併しようとしていました。
しかし、ヒトラーは自分達の政党の考えを一切曲げたくないので合併に反対します。

ヒトラー

もし合併するなら、もう辞めるよ?

合併派

辞めるとか冗談でしょ。合併します。

合併派

マジで辞めちまたよ…あのカリスマ演説家のヒトラーがいなければ、これ以上の人も寄付金も集まらんぞ。

合併派

すみませんでした。戻って来て下さい。

ヒトラー

じゃあ僕に権力頂戴。僕が色々決めても良いなら戻るよ。

合併派

(まさかヒトラーがその後も権力をどんどん握るとは思っていないので)ちゃんと成績出しているししょうが無いな。権力をどうぞ。

ここでナチスとして作り直すわけです。
ナチスを作った時に25ヶ条の網領というものを出します。要はナチスがどういう思想を持っていのかということになるので以下詳しく見ていきましょう。

ナチスの思想について

ナチスがどういった思想を持っていたかというと、既に述べていたヒトラーの思想とほぼ一致しますが大きく分けて3つあります。
以下、簡単に表にまとめたので確認しておきましょう。

➀自立・これはヒトラーが作った思想で、ベルサイユ条約をぶっ壊しましょうという話です。
・ナチスのドイツ民族自決権と領土獲をするというう考え方があり、フランスやイギリス、ベルサイユ条約で結ばれている自分達で色々決める権利が無い現状を脱しましょうということを言っている。
➁国民の新たな定義・これもヒトラーが作った思想で、ユダヤ人は国民では無いと定義しています。
・外国籍の者(外国人)として扱い、同じ権利を与えないということを言っています。
➂奪われた領土を戻す・自分達には植民地を持つ権利があるという話から植民地を復活させろという話をしている。
・領土をいくつか奪われているのでそれを戻すという話です。
ターゲットは所得中間層。金持ちや不労所得は全体主義に反しており批判される。要は不労所得をもっている人はぶっつぶそうという話をしている。

簡単にまとめると、「ベルサイユ条約は不当だ」「ユダヤ人はダメだ」という2つの大きな主張があり、これがヒトラーのやりたかったことです。
そして、ターゲットの中間層については、支持集めの戦略であり手段です。
要は、最初の2つの思想を持って大衆にヒトラーが演説していくわけです。

ヒトラーの計算された演説

ヒトラーの演説は身振りや手振り、喋り方までほぼ全てが戦略的に計算されたパフォーマンスであり雛形があるので見てみましょう。

彼の演説における特徴は世界を善悪の2項対立で捉える。
要は、怒りを煽る喋り方で大衆を魅了するというのが彼の常套手段です。

簡単にまとめると【共感】→【敵の提示、出現】→【怒り】の順で喋ります。
現代風にまとめると【現状・課題→理由→解決方法(結論)】の構成で喋っていると理解すると、ある意味で勉強になるのではないだろうか。

【共感】
まずは静かに喋り始め、怒りを見せません。
「何でこんなことになってしまったのか、何でこんな苦境に陥っているのか、どうすれば未来を取り戻せるのか。」こうした話をします。
【敵の提示、出現】
その原因について触れる最中に、誰のせいなのかという風に敵を提示します。
このタイミングで少しずつ怒り始めヒートアップしていきます。
そして世界を善悪の2項対立で捉え、「悪い奴がいて自分達は正義側である、悪い奴を倒すことで世界は良くなる」という話をします。
【怒り】
世界を善悪の2項対立で捉えて話す事で、聴衆も自ずと悪い奴に対する怒りが沸いてくるわけです。
実体験として聴衆は大変な状況にあり、当時はこうした教育をちゃんと受けられていない人が多く収集できる情報も少ない。
こうした中で理論立ててアカデミックな裏付けも示しながら悪い奴は●●だと言うので、聴衆もそうなのかもしれないと思ってしまうわけです。

これら戦略的に考えられた身振りや喋り方、構成について理解した上で動画で確認したい方は以下を参考にどうぞ。
※参考動画内でヒトラーはちゃんと聴衆が聴く姿勢になるまで待つので1分25秒程度まで無言です。

こうした演説をしていった結果、ナチスの人気が上がってきます。
その後、ナチスが第一党になっていくのですが軍事力による暴力やクーデターではなく、民主主義的な選挙によって民衆の心を動かし独裁政権を築きます。
以下では、どういう風にナチスが第一党になっていくのかその様子を見てきましょう。

#43 ヒトラー・民主制が生んだ独裁者(約18分)

ポイント

  • クーデターに失敗したヒトラーは反省し、民主主義的な選挙による政権奪取に方針転換する
  • 弁士養成学校を作り演説スキルに力を入れたり、メディアを使ったプロパガンダ戦略などによりナチスは支持率37%まで上げていく
  • 民主主義に反対の立場をとるヒンデンブルク大統領の選択が、ヒトラー独裁へ押し上げる要因となった。

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クーデタ-を起こすが失敗する

早速ですが、既に述べているようにドイツはフランスから莫大な賠償金の支払いを命じられています。
しかし、これをドイツが支払えないのでフランスが怒り、ドイツの工業地帯という稼ぎ頭のような所を無理矢理奪います。
要は現物で差し押さえしたわけです。

最終的な結果としてヒトラーは民主主義により権力を獲得するのですが、元々はクーデターを起こすことが党の目的です。
なのでヒトラーは、フランスによるルール工業地帯占領という大事件で皆が沸き立った時にクーデターを起こしました。

この時、そこそこ支持者もおりボランティアで1000人の軍隊を持っていたので、ミュンヘンという場所でミュンヘン一揆というクーデターを起こします。
※フランスではなく、政府に対してクーデターを起こしています。

結果クーデターは失敗に終わり。当然、国家に対する反逆罪としてヒトラー投獄されます。
ちなみに、ヒトラーの有名な著書『我が闘争(マインカ)』は投獄されている間に書かれています。

投獄されるが、人心掌握術により右翼をまとめる

こうして、ヒトラーが投獄されている間にインフレも治り失業率も一度良くなったりしています。
そして、投獄が決まる裁判が行われアントンドレクスラーなど一緒に首謀した当時の党幹部の人達は、判決結果によっては自分の身が危うくなり死にたくないので怯えています。

こうした状況の中で、本当は色々な首謀者が一緒に共同しているクーデターだったのだけれど「全部自分の責任でやった」とヒトラーは言います。

ヒトラー

「全て俺の責任でやって、全く悪いと思ってないし、本当にこれが正しいと今でも思っています。どうにでもしろ!」

これによって彼はクーデター自体は失敗したけれど、バラバラになりかけていた右派政党全員の英雄になります。
そしてヒトラー投獄されている間、右翼はバラバラで皆それぞれの考えがあって分裂している状態なので共同活動が出来ない状態でしたが、ヒトラーが戻った瞬間一気に全員がまとまるわけです。

今回の、彼の人心掌握術というかナショナリストをまとめる才能は、一見すると組織としてのトップの在り方として優秀に見えるけれど実はそうでも無かったりします。
なぜなら、当時の環境や時代の流れにマッチしたので成果が出ているけれど、彼のやり方には永続性が無い。
要は、このような危機的環境において皆がしんどい時は人心掌握でまとめられるけれど、皆が幸せになってくると難しい。
環境が変わっても彼がずっとトップでいられるかと問われるとおそらく出来ないわけです。

民主主義的な選挙による政権奪取へ方向転換

『我が闘争(マインカ)』の中で人種差別や社会ダーウィニズムの話など、ヒトラー達は元々は民主主義に反対の考えを持っているけれど、現実は共和国(ワイマール共和国)なのでクーデターをしたが失敗した。
後が無い中で、ヒトラーは党の方針を民主主義的な選挙による権力剥奪へと完全に方向転換します。
要は、ちゃんとルール上で勝とうという事になったわけですが、当然反対意見がでます。
これまではまとまりが無かったので当然難しかったが、ヒトラーが戻ってきたことで1つにまとまり反対意見を全部押さえ込みます。

ナチスを支持率37%まで上げる。

ナチスは主に2つの戦略的な選挙対策で支持率を上げていった。以下、簡単に表にしたので確認しておきましょう。

プロパガンダ戦略・プロパガンダとは嘘なども使いながらメディアを使って洗脳していくこと。
・ゲッベルスという文学青年が企業の広報担当のような感じで、映画やポスターなどエンタメ、アートを使って実行していく。
・当時は映画やラジオが出始めた時なので、こうした発信媒体を積極的に活用していかにして民衆達に自分達の考え方を浸透させるかというのが初めて出て来た時期であり、これを凄く効果的に使ったのがナチス(シーズン3コミュニケーション史)
弁士養成学校を作る・全体的に演説能力を鍛えた。
・実体験として、ヒトラー自身が喋りで現在の立ち位置まできた感覚があり、政治では喋る力が重要であるという認識を持っていた。

この他にも中間層だけで無くもう少し貧乏な人にも訴求したり細かい施策をうったりしており、世界恐慌のタイミングで既に述べている戦略的演説によって怒りや不安を煽ることで聴衆を魅了し、ナチスは支持率を大きく上げて数年間でナチスは支持率37%得票数が第一政党まで成長します。

以下では、支持率が3割しかないナチスが、なぜ合法的に独裁権を得るに至ったのかについて見ていきます。

ヒンデンブルク大統領という抜け穴

まず始めに、ワイマール共和国にはヒンデンブルク大統領という人がおり、大統領の持つ権力が大きかった。
具体的には、「国家が非常事態の場合には法律と憲法を無視して大統領が指示を指すことが可能であり、その指示が法律となる」という権利を大統領が持っています。

そして結論からいうと、大統領では無いヒトラーがこの仕組を悪用することで大統領の権利と首相の権利を手に入れ独裁件を得ていきます。
以下、その流れを見ていきましょう。

まず背景として、元々ドイツ帝国は民主主義国家ではありませんでした。共和国になったばかりなので役人なども元々貴族だった人も多く、必ずしも皆が民主主義に賛成してるわけではありません。
ヒンデンブルク大統領は第一次世界大戦時に将軍として活躍しており、国民投票によって選ばれた大統領だったのですが彼は民主主義に反対の立場の人間でした。

当時はまだ民主主義としても未熟で、ワイマール共和国ではヒトラー以前から大統領権限は悪用され議会を通さずに抜け穴のような形で使われていた。
ひどい状態になったドイツでヒンデンブルク大統領は、自身の立場や民衆から1番支持されており人気のヒトラーへの信頼などを理由に独裁権を渡してしまうことに至ったわけです。

大統領権限を悪用し独裁権を得る

大統領権限を手に入れたヒトラーは、ナチス以外に党が作れないようにしたり、一党独裁状態にしたりと色々なことを積み重ね。
最終的には、授権法(全権委任法)を制定することで全権をヒトラーに渡し憲法に反する法律でも制定できる状態にします。
※「全権委任法」は歴史の教科書にも載っていたりする。

要は、法律を監視するための憲法なのにそれを越権して良いということは憲法の意味が無くなるわけです。
大統領命令によってそれを成し遂げることで、君主制のようになりヒトラーが独裁権を得るに至りました。

#44 そしてヒトラーは救国の英雄となった(約12分)

ポイント

  • 失業率の低下やアウトバーンの整備、強気の外交姿勢など目に見える実績を積み上げることでナチスはドイツ国民からの支持を集めた
  • 第二次世界大戦に突入。(動機はベルサイユ条約に繋がる=第一次世界大戦から続く1つの大きな戦争ともいえる)
  • やはりヒトラーは能力が低く感情で戦っており、政治のプロではなかった。
  • ドイツがソ連へ攻め込む過程でホロコーストが起きてしまう。

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ナチス前期は高評価されている

ヒンデンブルク大統領が亡くなった後、ヒトラーは独裁権を得てフェーラー(総統という役職名)となり、大統領と首相どちらも権力を持っており憲法を越権できる状態になります。
この状態になった後にナチスがいくつか政策を打っていくわけですが、ナチス前期について国民からは高く評価されていたようです。

なぜなら、ヒトラー政権が誕生した後に5~6年かけて、失業者を500万人から12万人程度まで減らします。
また、アウトバーン(高速道路)を作り、ナチスはベルサイユ条約に対して強きの姿勢で色々言っていうなど目に見える成果を上げるので国民からは頼もしく見えて、希望が見え始めるわけです。

実際にはヒトラーの功績ではなく前の政権が既に打っていた施策だったが、ゲッベルスのプロパガンダ戦略によりヒトラーの功績として広がりナチスの人気はどんどん上がります。

既に述べたようにナチスの思想の1つ「自立」を目指した活動をする流れで、第二次世界大戦に突入してしまいます。
以下、主な流れを見ていきましょう。

第二次世界大戦突入

まず始めに、第一次世界大戦と第二次世界大戦は1つの大きな戦争であるともいえる。
なぜなら、戦争の動機はベルサイユ条約にあるため動機がずっと続いている為です。

以下、今回はヒトラーにフォーカスしながら第二次世界大戦の主な流れを表にまとめたので確認しましょう。

ドイツ&ソ連VSポーランド・既に述べているように、ヒトラーはソ連(ロシア)を攻めて植民地を作りたい。
・そのためには途中にあるポーランドを通る必要があるので鉄道を作らせてもらうようにドイツがお願いする。
・しかしポーランドはイギリスと集団的自衛権のような条約を結んでいるため、バックのイギリスをちらつかせて強きの姿勢で断わります。
・これにヒトラーが怒って攻撃します。
・騎馬対などの旧式軍隊のポーランドへ、軍備増強し戦車を持つドイツとソ連で両側から削ります。
望まない戦争・暴走するドイツ・ドイツの動きに対してイギリスとフランスは警戒します。第一次世界大戦があまりにも悲惨だったので2度と起こさないための国際連盟をドイツが脱退して暴走する。
・イギリスのチェンバレン首相(チャーチルの前)は戦争だけは避けるためにドイツを刺激しないようにドイツの要求を許し下手にでることでなだめる温和な対応を取る
・しかし、ドイツが調子は調子に乗ってポーランドを攻めてしまったので、イギリスのチェンバレン首相は失望しポーランドとの集団的自衛権のような条約もあるので戦争を避けられなくなって行く。
・イギリス政権が交代しチャーチル首相になる。チャーチルはドイツと戦う派の人、後に歴史を変える。
フランスVSドイツ・ポーランド占領後にドイツはフランスに侵攻し短期間でパリを陥落させる。
・パリの凱旋門の道をヒトラーやナチスの征服を着た人達が歩き、第一次世界大戦で敗戦し虐げられたドイツが同じ場所で、今後は逆にドイツが有利な条約を結ばせるという報復を行う。
イギリスVSドイツ・次にドイツはイギリスを攻め空爆などを行うが、イギリス(チャーチル首相)は徹底抗戦の構えを見せる。
・イギリス国内では降伏も視野に宥和政策など弱気な姿勢だったが、チャーチルが全て抑え徹底抗戦を貫き、当時世界一のドイツ空軍を追い返します。
・これにより第二次世界大戦の戦況が変化した。要は歴史を大きく変えた瞬間なわけです。

ヒトラーがもし、能力が高く政治のプロであれば自分達が勝手いる状況で講話を結ぶべきでした。
そうすれば、有利な条件で戦争も止める事ができたはずです。しかし、彼は感情で戦っており、政治家ではなくやはりアーティストだった。

こうして、イギリスを攻めきれないドイが次にソ連に攻め込み、攻め込む過程で起きるのがホロコーストになります。

映像紹介

この時代の歴史は比較的映像が残っているので、動画など探してみるとより理解が深まるのでおすすめです。
当時の悲惨な様子を直接見るのに抵抗がある方や、白黒映像では画質が悪く気になる方は見なくても問題無しです。

多少の脚色は入りますが史実を元に映画化されていたりする場合があり、こうした作品をみることで人物の葛藤など内面にフォーカスするきっかけにできたり、視覚的にカラー映像で楽しめたりするのでおすすめです。

以下では参考映像を紹介しているので気になる方はどうぞ


YouTubeにて無料で見れます。
短く音声でも解説しており視聴しやすいのではないでしょか。約3分程度の動画4本でポーランド戦について見る事ができます。

イギリス戦におけるチャーチルの徹底抗戦は歴史を変えたポイントになるので映画になっていたりします。
戦争映画ですが政治やチャーチルの人物像がメインの作品です。派手な戦闘が苦手な人にはおすすめです。
ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男 [DVD]

#45 ホロコーストの悲劇・使命感でユダヤ人を虐殺したヒトラー(約21分)

ポイント

  • 史上最悪の大虐殺ホロコーストは恨みや復習ですらなく「使命感」によって機会的に行われ、人種の根絶を目指していた。
  • ユダヤ人差別はヨーロッパ中にあり、その要因は「優生学」以外に「マイノリティーで優秀」な存在だったことも挙げられる。
  • ソ連がドイツを巻き返し領土を獲得する過程で初めて世界に露呈した。
  • 社会心理学の実験で証明されている内容では、状況によってはホロコーストは実現しうるのかもしれない。

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ホロコーストについて

前回は第二次世界大戦に突入した所を解説しました。
今回はその後、おそらく史上最悪の大虐殺であるホロコーストがなぜ起きてしまったのか、どのようなものだったのかを見ていきます。

前回述べたように、イギリスの徹底抗戦により攻めきれないドイツは、元々植民地を作ろうとしていたソ連(ロシア)へ攻め込みます。
その途中にはポーランドがあり、ドイツ国内ないしソ連への侵攻過程で存在するユダヤ人を強制収容所に送り虐殺していくのがホロコーストなので、ポーランドに強制収容所がたくさんあります。
※ホロコーストはドイツ国内よりポーランドで行われていました。

既に述べていますが、「優生学」に基づいたナチスの考えによりユダヤ人は差別され追放されます。
では、どこに追放するかというと、主に2方向あり1つはアフリカ、2つ目がロシアです。
2方向へ追放しようとしますが、アフリカ方面は企画段階で企画倒れてしまい、ポーランドへゲットーと呼ばれる隔離居住区を作ることになります。

ホロコーストについての図解

こうして、ゲットーにユダヤ人が送られるのですが、彼らからすると普通に生活してたらある日ドイツ軍が攻めてきて占領され突然ゲットーに行くよう指示されるわけです。
ちなみに、ユダヤ人の財産を名ナチスが徴収するためゲットーへは鞄1つ持って行くような状況です。
そして、ゲットーでは強制労働をさせられ、食事の制限をされます。
具体的には、当時の成人男性で1日2400㎉必要とされる所を177㎉に制限されます。
衛生環境も悪く、栄養失調により亡たくさんの人が亡くなります。
なぜこのようなことをするかというと、元々ナチスの方針は追放でしたが、それ自体に移動のコストがかかるので数を減らそうとしているからです。

エピソード
特に、子どもは栄養が足りず生きていけなかったらしい。
乳幼児の死亡率が高く、配給制だったのでミルクをあげる為に母親も必死に並びますが、朝5時~夕方17時まで3日間並び続けてやっと少量のミルクが貰えるような状況。

その後、ソ連に攻めるドイツは快進撃を続け領土をどんどん拡大させるのですが、彼らはそこのユダヤ人を全員追放しようとする。
当然ゲットーの収容人数にも限りがあるので施設の限界に対してどう対処するかナチスで会議が行われ、強制収容所での大量虐殺が決まります。
これは、いかに数を減らすかという概念であり、恨みによる行為でさえ無い。いかに数を捌くかという機械的に処理する方法として出て来たのが大量虐殺だったわけです。

毒ガスによる機会的処理

ナチスの優生学の考え方では、障害者も遺伝子的に劣るとされていた。
そのためナチスは、障害者施設で大量射殺なども行っていた。
不適切かもしれないが、この時のノウハウが後のアウシュビッツでのガス室大量虐殺につながり、毒ガスの開発と大量虐殺に活かされたわけです。
最終的にはガス室でユダヤ人が600万人(千葉県総人口程度)が犠牲になりました。

当時生き残った人のエピソードによると、生き残り自体が殆どおらず脱走できてもPTSDで自殺してしまう人もたくさん居た。
また、ガス室で殺された仲間を埋葬する仕事をさらにユダヤ人自身にさせる。屍体の山の中から妻や子どもが出てきたりするため心が折れるという話が出てきたそうです。

ユダヤ人差別について

ユダヤ人の虐殺はナチスだけで無く、ヨーロッパ全体で行われていました。
なぜ、ユダヤ人だけがこれほど差別されたのか。
色々な説があるけれど、「マイノリティで優秀」な存在だったことは1つの要因だったのではないだろうか。
ユダヤ人の考え方にはとても排他的な特徴があった。
要は、自分達は選ばれた民族であり、それ以外は救われないというような考え方が基本としてあり、それがキリスト教国の人からすると受け入れがたい。
また、ユダヤ人が国を持っておらず流浪の民であるためあらゆる国に少数派として存在していた。そのため、どこの世界でも少数派は嫌われるという現象が起きていた。
そして、ユダヤ人の文化では教養をとても大切にしていたので教育水準が高く、社会的地位の良い出世しがちな人が多かった。
これにより、マイノリティーで優秀という嫉みの対象になりユダヤ教の考え方に対する反発が大きくなっていったのではないだろうか。

世界に露呈してやっと終わる

ホロコーストは、おそらく史上最悪の大虐殺の1つです。
そして機械的に殺していくので、ユダヤ人を憎み過ぎている人は逆に強制収容所の職員にはなれなかったらしいです。
なぜなら、無駄に苦しませたりしてしまい脱走者が増えペースが落ちるからです。
要は、いかに効率的にそれをやるかを重視していたわけです。

そしてしばらくして、ドイツがソ連に反撃され巻き返される。
その過程で今度は逆にソ連がポーランドまで領地を拡大するので、ドイツ軍が強制収容所のある場所から撤退することで初めて世界に露呈することで、ようやく終わりを迎えます。

社会心理学に領域における実験、ホロコーストは実現しうるのか

ここまでご覧頂き、ホロコーストがいかに悲惨な出来事だったか理解できました。
以下では、「当時のドイツ職員や現場の兵隊がどのような気持ちで実行していたのか」「ホロコーストが実現しうるのか」ということを見ていきます。

早速ですがまず質問です。
Qあなたは公務員です。ある日いきなり「強制収容所でこのように、出来るだけ効率的に数を捌いて殺すための仕事をして下さい。」と言われたとして、どのような気持でするのでしょうか?

仮にそんな事が起きたとしても、当然そんな仕事は断わると判断する人が多いかと思います。
しかし残念な事にホロコーストという過ちを犯した過去があるわけです。

社会心理学の領域の中でミルグラム実験というがあり、これら過去の過ちを理解する参考になります。
詳細はこちらをご覧下さい♦ミルグラム実験-Wikipedia♦

実験内容を簡単にまとめると
➀被験者は電気を流す側と受ける側。
➁科学者の指示を受けて電気を流し、電圧を上げて行く。
➂受ける側の悲鳴など電圧上昇に伴いリアクションするが、最終的には沈黙まで用意されている。
※本当の被験者は指示を受けて電気を流す人のみであり、他は音声のみなど使用し被験者を観察。
➃被験者はどこまで科学者の指示に従うのか観察する。

事前調査では「みんな途中で辞めると思います」と殆どの人が思っていました。当然、僕もそう予想していました。
しかし結果は違いました。「命令者が別にいる場合には、電気を流します」
要は、とても官僚的な責任転嫁をするわけです。「自分が意図した行為では無く、そのプロセスの中の1つを仕事としてやらなくてはいけない立場にあってやるだけである」となったわけです。

大きな組織においてホロコーストのような出来事が起きた時に殆どの人が途中で拒否せずにやってしまい、いくところまでいってしまった。というのはこのミルグラム実験で示されている内容がまさにそうであると思う。

認められはしないが、理解はした方が良い。
要は、人間心理として自分が悪いことをしていると思っていても、最終的に責任を問われるのが自分で無いと思った時に、倫理観すらも自分のせいでは無いと思っている。
これは行為に対して自分が責任を持っていないけれど行為をしている状態である。電気を流しているけれど、その主体者として自分を認識しておらず、「言われたからやっただけ、仕事だから、相手は上司だから、拒否したら…」と言い訳してしまう。
そして当時はナチスの教育でユダヤ人は良く無いという風に植え付けられている。こうした状況下において、ホロコーストは起きしまった(実現しうる)のではないだろうかと思う。
認められはしないけれど、過去に起きた過ちが分からないよりも、その反省を活かすためにも理解はすべきであるだろう。

#46 晩年は薬物中毒・ヒトラーの最期(約20分)

ポイント

  • 第二次世界大戦後半のヒトラーは、覚醒剤の薬物中毒で不安定な状態だった。
  • 独裁体制は危機的な状況下では最大パフォーマンスを発揮するが、1度成立してしまうと独裁者自身が止めない限りその状態が続く性質を持つ。
  • 民主主義は最高の政治をするためでは無く、最悪を起こさないように作られているリスクヘッジ思想である。
  • 今回の大規模な史上最悪の過ちは、現代社会の中でも単位は違えど小規模な状態で見られる。歴史は誰にでも起りうるのかもしれない。

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前回は、ホロコーストという重たいテーマでした。
以下、その後ヒトラーがどうなっていくのか見てきます。

晩年のヒトラーは薬物中毒

最期のヒトラーがどうなっていくのか、ドイツはソ連に巻き返されベルリンまで攻められます。
この時、地下に隠れて数日過ごすのですが全部後手後手に回り打つ手も全然ダメな状態が続きダメな方に収束して行き最終的には愛人エファと自殺します。
そして、ソ連が攻めてきてベルリンが陥落し略奪やレイプなど悲惨な状態でドイツが降伏する。その数ヶ月後に原発が落ちて日本が降伏する。これがご存じ第二次世界大戦。

もう少し具体的に解説します。
第二次世界大戦後半のヒトラーは精神が不安定になります。
元々破滅思想があった人らしく、もう勝てないのでドイツ滅んでしまえというような言葉が節々に出てきたり、彼には何の経験も実績も無いのに優秀な陸軍の将軍を降ろして自分で代わりにやろうとしたりめちゃくちゃします。
そして彼は晩年、覚醒剤で薬物中毒になる。
しかしこれはどうやら意図的ではなかったそうです。彼の主治医が無能で、ヒトラーは着付け薬のような感覚で注射を打っていてそれが覚醒剤だった。

無能を主治医にしているのも問題だが、独裁政権になったドイツはヒトラーのいうことが全部なのにそいつが薬物中毒だった。
こうした中であらゆる悪い事が起きて行くわけです。

こうしてご存じのように、日本もドイツもイタリアも負けて第二次世界大戦の延長線上に今の世界が続いている。

ヒトラーについてはここまでになります。
オーストリアの外国生まれの1人のニートがドイツに来てめちゃくちゃにするという、ヒトラーの凄い人生が理解できました。

以下では、ヒトラーに限らず独裁者の傾向やどういう時代背景で出現するのかなど見ていきたいと思います。

独裁者の出現と特徴

まず独裁者とは何かについて、具体例も交えて簡単に表にしたので確認しましょう。

・民主主義国家の中で「司法・行政・立法」この3つが混ざると権力が暴走するので、分けて三つ巴の状態にするようにモンテスキューが教えてくれています。
・これらが機能していない場合が独裁状態です。
・これら3つの権力を全部持っていて、それを降ろす機能が存在しない場合に独裁者となる。
・ヒトラー
・ムッソリーニ
・金正恩
・例えば北朝鮮では、金正恩が全部掌握している。
・「司法、行政、立法」が金正恩から独立して、金正恩を裁く事が出来ない。
・中国・組織が独裁している状態
・中国の主席が好きなようにはできないので、どちらかというと君主制に近い状態
・織田信長・殿様なので独裁者ではない。要は君主制である。
・王様がいる国の中で王様が権力を握るのは自然なことなので、それを独裁者としてしまうと全王様が独裁者という事になってしまう。

どういった状況を独裁と呼ぶのか理解しました。
以下では、どのような時に起きるのかその傾向を見ていきます。

傾向としては危機的状況の時に起きやすい。
要は、危機的状況で皆が困っている時に凄く能力の高く頼れる人が出て来て、その人に全権委任した方が危機的状況を脱せられるので皆にとって良いよね思える時に独裁が起きるわけです。

例えば、ナポレオンの場合には彼は戦争に強くて実績があった。
一方で、ヒトラーは特殊な例であったといえる、既にここまで見て頂いて分かるようにヒトラーは実績も無く、能力が高いとも言えない。
彼が独裁の立場まで行けたのは時代による影響力がとても大きい。
要は、メディアの発達でインフルエンサーが必ずしも有能である必要が無くなってきているということ。

今の社会ではメディアが言うことやネットの情報を100%信じる人は少なく抑制できている部分があると思うが、当時は何が嘘で本当かおそらく判断出来ない。
そして、環境が辛い時人の判断力は低下し、人間心理として強くシンプルなメッセージにどうしても人はすがりたくなる。
ヒトラーはまさに戦争やプロパガンダという時代背景とマッチした結果であり、この時代でなければおそらく有り得なかったのではないだろうか。

民主主義国家において独裁者がどういう出方をするのか身近な例が、トランプ大統領です。
彼は独裁者では無い。しかし、民衆が恐怖を抱えているタイミングでそれを克服するリーダーとして出てくる様子やシンプルな発言。敵を設定した喋り方など傾向としてはこんなイメージです。

独裁制のメリットデメリット

以下、独裁制のメリットデメリットについてまとめたので確認しましょう。

メリット・最大パフォーマンスを発揮するのは君主制か独裁政権
・独裁体制の方が決断も早い
・基本優秀な人がなるので、その人が政権を握っている間はもしかしたら良いのかもしれない。
・近代では少ないが、古代はある種で皆独裁だった
デメリット・2代目3代目と優秀な人が続かない可能性があるリスクを孕んでいる。
・1度システムを作ってしまうと独裁者本人が止めると言わない限り続くので途中で止められない。
・上手く機能すれば危機的状況を超えられるが、数世代先に大失敗する可能性がある。

ちなみに、民主主義は今最高の政治をするためではなく最悪の事態を起こさないように作ってある。
要はリスクヘッジ思想である。だからある程度システムがちゃんと機能している限りは何となくやっていける。
一方で、最大パフォーマンスを出すのは君主制か独裁政権であり、それぞれに一長一短があるということ。

感想

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最期まで読んで頂きありがとうございます。
内容が悲惨な歴史についてだったので読んでいてつらくなる場面もあったかと思いますが、何か1つでも、気づきや学びなど得られるモノがあったなら幸いです。

今回のテーマは非常に重く、史上最悪かつ大規模な事例でした。
しかし、こうした状態というのは僕たちの日常生活や社会の中にも規模の大小はあれど起きており、歴史は誰にでも起こりうる事なのだと感じました。

例えば、SDGsのジェンダー平等や学校という閉鎖的集団組織内で発生するいじめなど、場面毎のマイノリティーに対する評価や反応というのは残念ですが今も昔も変わらない。ユダヤ人の迫害やホロコーストほど残酷で悲惨ではないにしろ起きている。
もちろん認められることでは無いけれど、過去の過ちを反省し活かす為にも教訓として理解はした方が良いしすべきである。
こうした意味では、今回シーズン8のような悲惨な歴史も学び知る、勉強する意味はあったのではないだろうか。

また、今回の事例はドイツやイギリス・フランスなど、恐怖や不安・恐れというネガティブな感情から行動している。
今で言えば新型コロナや変異株の感染拡大状態やそれに伴う時短営業などによる収入減など、将来に対する不安や恐怖がこれにあたるだろう。

環境が辛い時ほど人は判断力が低下するし、人間心理としても強く簡単なメッセージや尊敬・支持する人の発言など感情のはけ口や拠り所を求めてしまうのも理解できる。
そして、(シーズン3 コミュウニケーション史)で触れているがSNSなど発信者の急増など、現代は環境が常に大きく変化している大転換の時代である。

薄々気付いていると思うが、ある種ヒトラーの状況と似ている。
環境は違えど人類が過去経験した状態というのは、今を生きる僕たちの日常生活や社会の中にも規模の大小はあれど起きており、歴史は誰にでも起こりうる事なのだと改めて思う。

最期まで読んで頂きありがとうございます。

参考文献

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参考文献の中には、1冊1,000円以上する本もたくさんあります。1冊読むだけでも月額料金の元を取ることができるのでおすすめです。

夜と霧

わが闘争 改版 上』(角川文庫)

わが闘争 改版 下』(角川文庫)

ヒトラーとは何か』(草思社文庫)

日本人のための第一次世界大戦史』(角川ソフィア文庫)

NHKスペシャル映像の世紀 第4集 ヒトラーの野望[DVD]

歴史を動かした「独裁者」』(PHP文庫)

ヒトラーの経済政策』(祥伝社新書)

ユダヤ人財産はだれのものか

ホロコースト・スタディーズ

二つの世界大戦』(世界史リブレット)

誰が第二次世界大戦を起こしたのか

群衆心理』(講談社学術文庫)

第一次世界大戦』(ちくま新書)

ナチズムとユダヤ人新版』(角川新書)

劇画ヒットラー』(ちくま文庫)

意志の勝利 CCP-209 [DVD]

ユダヤ人はなぜ迫害されたか

ホロコースト』(中公新書)

ヒトラーとナチ・ドイツ』(講談社現代新書)

ヒトラー 上 1889-1936傲慢

ヒトラー 下 1936-1945天罰

ドキュメント アドルフ・ヒトラー 狂気の野望 DVD10枚組 ACC-077

参照先へhttps://www.valuebooks.jp/shelf-items/folder/15ddcee7db21492

最期に

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わが闘争 改版 上』(角川文庫)はヒトラーの自叙伝的要素と政治的世界観の表明などで構成されている本になるので、より深く理解したい方はぜひ読んでおくことをおすすめします。

以下、本編動画を添付しておくので気になる方はどうぞ。

シーズン毎にテキストでまとめているので気になる方はコチラをどうぞ

♦シーズン1 吉田松陰♦
♦シーズン2 スパルタ♦
♦シーズン3 コミュニケーション史♦
♦シーズン4 天皇♦
♦シーズン5 キングダムSP 秦の始皇帝♦
♦シーズン6 諸葛孔明♦
♦シーズン7 世界三大宗教♦
♦シーズン9 フランス革命♦
♦シーズン10 ガンディー♦
♦シーズン11 アレクサンドロス大王♦
♦シーズン12 お金♦
♦シーズン13 三蔵法師・玄奘♦
♦シーズン14 高杉晋作♦

参考文献やおすすめ書籍の紹介記事があります。気になる方は以下からどうぞ
♦コテンラジオ参考文献、おすすめ書籍の紹介♦

おすすめの映画作品の紹介記事があります。気になる方は以下からどうぞ
♦【コテンラジオ好きへ】おすすめの映画を紹介♦

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