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雑記ブログ。【歴史を面白く学ぶコテンラジオ_COTEN RADIO】をまとめ、紹介したり、FreeCADを使ったモノづくりについて発信しています。

未分類 歴史

まとめ【歴史を面白く学ぶコテンラジオ_COTEN RADIO】 シーズン9 フランス革命

投稿日:2021年5月22日 更新日:


こんにちは、タカオです。

あなたは、コテンラジオをご存じすか?
本記事は【歴史を面白く学ぶコテンラジオ_COTEN RADIO】をシーズン毎にまとめ、紹介している記事になります。

  • 耳だけでは理解しづらかったという人やもっと知りたくてリピート再生している方に向けて、視覚的に理解できるようテキストでまとめているのでおすすめです。
  • そして、約3時間15分(1エピソード当たり平均24分)を1記事にまとめているので、これからコテンラジオデビューしたい人や迷っている人は試しに読んで見て下さい。

会話によるテンポや流れなど、本編ならではの面白さがたくさんあります。
この記事を補助的に使って頂き本編オリジナルをぜひ楽しんで頂ければ幸いです。

【今回紹介しているのはこちら】本編YouTubeで公開しています。


動画で確認したい方はどうぞ
収録の様子が見られるので、普段はPodcastで聞いている方は動画で見るのも面白いかも

シーズン毎にテキストでまとめているので気になる方はコチラをどうぞ

♦シーズン1 吉田松陰♦
♦シーズン2 スパルタ♦
♦シーズン3 コミュニケーション史♦
♦シーズン4 天皇♦
♦シーズン5 キングダムSP 秦の始皇帝♦
♦シーズン6 諸葛孔明♦
♦シーズン7 世界三大宗教♦
♦シーズン8 ヒトラー♦
♦シーズン10 ガンディー♦
♦シーズン11 アレクサンドロス大王♦
♦シーズン12 お金♦
♦シーズン13 三蔵法師・玄奘♦
♦シーズン14 高杉晋作♦

今回のテーマは「フランス革命」です。
学校で習った人もいるかと思うけれど、実際のところ「何がどうなって革命が起きたのか?」「革命が起きたから何だ?」言葉は聞いたことあるけれど知らない人は多いと思います。

端的に言えば「人権・自由・平等」これらを僕たちが当たり前に享受しているのは、この革命のおかげです。
フランス革命以前は当たり前では無かった「人権・自由・平等」に目覚めた延長線上に今の僕たちの世界がある。

そして、既存の大きなモノが崩れ去る時、世界が大きく変わる様子が学べる良い実例になるだろう。
変化の激しい今の時代に照らし合わせ、旧体制が限界を迎えた時の世界の動きも学べるかも。

※シーズン9は登場人物や勢力がたくさんあり、それぞれの思惑や結び付きが複雑に動く複合要因がフランス革命への進行の過程においてみられます。
非常に複雑な動きとなるので本記事を参考にどうぞお楽しみ下さい。

#47 フランス革命-Want you! 市民のハートに☆レボリューション!(約18分)

ポイント

  • フランス革命は歴史のターニングポイント、世界史の重大事件トップ10に入るであろう出来事だった
  • フランス革命はイデオロギー(理念)ベースによる社会変革活動であり、社会システム(仕組み)ベースとは異なる特徴がある
  • 革命の主役は理念だけに燃えまくる若者達だった
  • 良くも悪くもフランス革命に対して色々な評価ができる

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フランス革命について全体的な概要エピソード#になります。

フランス革命を知る意味、学び

まず始めに今回のテーマ「フランス革命」を取り上げた理由から、どういう学びが得られるのか簡単にまとめました。

以下、確認しておきましょう。

  • 僕たちの今のこの世界の当たり前を作った近代の革命である。
  • 旧体制が限界を迎える時に世界がどう動くのかが学びやすく、既存の大きなモノが崩れ去る様子を学ぶ際の1番良い実例になるのがフランス革命。
  • フランス革命はイデオロギー(理念)ベースの社会変革活動であり、それがどういうものなのかを知って貰いたい。

歴史の現象は複数の尺度で理解することで分かる事がたくさんあります。
後に述べますが、特に今回のテーマは若者達が理念に燃えているからこそ極端な事をしたり様々な事が起き、良いとも悪いとも様々な評価ができる非常に面白いテーマです。

あなたはこれをどう評価し、何を思うのか。
最期までご覧いただきぜひ考えてみて下さい。

「人権・自由・平等」への目覚めと延長線上にある今

フランス革命は、1789年の出来事になります。
これは、端的にいえば「人権・自由・平等」といった僕たちが当り前に享受できているのはこの革命のおかげと言えるような出来事です。

例えば、僕たちは教育を受ける権利を持っていたり、他人が自分の持ち物を取ったら犯罪になったりする。これに疑問を持つ人は殆どいないだろう。
しかし、これら僕たちが当り前に享受しているモノはフランス革命前の世界では当り前では無かった。人間さえも人の所有物でした。

  • 金持ちの所有物で奴隷がいたり。
  • 平民には権利が無く、貴族しか持っていない特権で好き勝手する
  • 裁判もまともに行われない。貴族が優遇され、平民は裁判で負ける。
  • 貧乏に生まれ、生まれが悪ければその人が幸福になる権利すらない。

国だって人の所有物は王様の所有物だったので、国って王様のモノだよねと思われていたのが当然の時代だったわけです。
ヨーロッパだけではありません。日本だって殿様が居て土地も殿様のモノだった。

上記が当然とされる世界で、フランス革命以後に世界がいきなり「人権・自由・平等」に目覚め、その延長線上に僕たちの今の世界があるわけです。
要は、今の世界の出発点であるともいえる。

この日、フランス革命で平民達が中心となり、その人達が「平等・自由」な世界を実現するという理念と熱意に燃えて、命がけで権力と戦い打倒して行くというのが主な流れです。
当然、単純な話ではないので各エピソード#でこれらを紹介していきます。

イデオロギー(理念)ベースの社会変革活動とは

以前に始皇帝の時代に、法家という法律を作る人が出て来て、これにより国の統治システムを根本から変えたという話がありました。(シーズン5 キングダムSP 秦の始皇帝 参照)
これは、単純にどうやったら上手く治められるかというHOW toの話から始まっており、イデオロギー(理念)ベースでは無い。

一方で、フランス革命は考え方が全然違う。
自分達はこういうことを信じている。こういう社会にしたいんだ。これを実現する為にメリットデメリットに関係なく命をかけて突っ込むというお話です。
これによって世界が変わりました。

要は、人間の持つ熱量(エネルギー)が世界に何をもたらすかということが分かります。
以下、古代中国の法家がまず言わないことを、革命家のサンジェストが演説しているので紹介します。

サンジェスト

フランス国家の中に1人も不幸な人、貧しい人がいるのを放置してはいけない。そしてフランス革命政府の皆がそういう風に思っている事をフランスだけでは無くて全ヨーロッパに伝えていく必要がある。徳や愛、幸福などが地球上全部に行き渡るように、僕たちは努力していこう。

こうした事を本気で言って、理想に燃えた人達が政権をとって国を作って行く。そして派手に失敗する。これが面白い!!

現代から見ても立派だと思える様な素晴らしい考え方を持った人達が正義を持って国を変えていこうとして失敗し、あらゆる人が色々な痛みを伴い誰も想像していなかった着地に終結していく。そして今の世界に繋がっていくという、複雑なお話になるわけです。

以下、もう少し具体的に見ておきましょう。

理念だけに燃える若者たちの着地点

革命の状況を現代で例えると、今の50~60歳の人が大半の政権で、このベテランの人達を全員排斥し20~30歳が一気に政権をとってしまったような状態です。

革命によって旧体制が壊れます。しかし、新しく何を作れば良いか皆わからなかった。
皆で何とか頑張るのですが、若い人達ばかりなので知識や経験といった能力が無いわけです。
これによって、大混乱が起きてしまい大変なことになる。

要は、エネルギーはあるけれど経験と知識が無い。
そして、理想に燃えているからこそ極端な事をしてしまうわけです。

だからこそ、フランス革命は「良いとも、悪いとも」色々な評価が出来る面白いテーマです。

また、理念で動く人がとても多く死ぬ覚悟をしている人が多く取り乱す人が少ない。
命がかかっている時の人間がどういう挙動をするのかという所も注目です。

#48 フランス革命が勃発した3つの理由(約20分)

ポイント

  • フランス革命が起きる原因の1つは「財政破綻」
  • 財政破綻の要因は、大航海時代の植民地化の流れによる多額の戦費と産業革命による経済格差
  • フランス革命が起きる原因の2つは「啓蒙思想」の発達
  • 大航海時代の新大陸発見により、既存の思想と体制の相対化や解釈の再定義を獲得していく。
  • フランス革命が起きる原因の3つは資本主義経済の進行に既存の封建体制がマッチしなくなっていった
  • フランス革命は「王様・貴族・金持ち・貧乏」の4プレイヤーが複雑な動きをする複合要因によって起る。

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フランス革命に至った経緯(時代背景)についてのエピソード#になります。本編に入る前のセットアップ(前提条件)になるので確認しておきましょう。

経済格差

フランス革命の始まりは、一言でいうと「お金の問題」です。フランスの財政破綻が事の発端となっているので以下、詳しく見ていきましょう。

まず始めに、大航海時代というのがありました。
そこで、ヨーロッパは新大陸を発見しアジアへ向かって動きます。

そして新大陸の発見とそこを植民地化する流れになります。なぜなら、植民地化することで経済が良く周りメリットが大きいからですよね。
結果ヨーロッパ中で新しい植民地の取り合いが起きて戦争しまくり、多額の戦費を使います。

最終的にはイギリスとフランスの2強状態になるのですが、18世紀の産業革命でイギリス有位・フランス劣勢となり経済格差が生まれてきます。

これが、後に述べる出来事と繋がっていきます。

新大陸の発見と相対化

新大陸の発見まで、人々はユーラシア大陸とアフリカ大陸しか知らず、それが世界だと認識していた。
そのため、基本概念だったキリスト教の聖書の中でも大陸を世界として認識し説明されていたので、アメリカ大陸の発見によりそれが崩壊してしまう。
要はコロンブス達が新大陸を見つけ、そこには自分達が全く知らない文化や世界が広がっており、今までの説明ではこれを説明できなくなるわけです。

新大陸発見

喋る言葉も習慣もちがうぞ。この人達は果たしてアダムとイブの子孫なのだろか?でも人間は全員アダムとイブの子孫のはずだ。どうなってんだ?これどうゆうこと?

上記のように、彼らは宇宙人を見つけたみたいになった時、初めて自分達を相対化して見ることが出来るようになる。
要は、彼らと自分達を比較する事で初めて自分達が何かを考え始めるわけです。

それまで、全部神様という文脈から世界を説明していたモノが外れたことで、いわゆる人間科学が発達します。
要は、もっと科学的に「人間って何だっけ?そもそも宗教って何だっけ?そもそも王様って何だっけ?」とそういうことに芽生え、考え始める。そういう人達がたくさん出て来ます。

啓蒙思想と百科全書

人間科学の発達により新しい思考が出て来てキリスト教の思考から大分外れてい、その思考がフランス革命の大本の思考に繋がっていきます。
要は、王政は不平等であるとかそういう概念が当り前すぎて元々無かったけれど、新しい世界を見た事によって自分達を相対化して見始めた。

新しい思考

絶対王政でフランスでは王権めっちゃ強いけど、調べてみたらそもそも数百年前ってこんなに王様強く無いじゃん。じゃあおかしいよね

こういう人達がたくさん出てくるようになったわけです。有名なのがルソーやモンテスキューです。こうした啓蒙思想はフランス革命の1番のエンジンとして機能した思想になります。

また、百科全書(百科事典)が出て来くるようになるのですが、この価値が大きい

百科全書には、色々なモノの事が書かれているのだけれど、それまでは世界について客観的に記述してはいけなかった。
具体的には、権力者の意向に沿った形でしか世界の記述が出来なかった。
要は、権力者とキリストが世界の全てを認識する唯一のフレームワークだったわけです。

  • これまではダメだったけれど、啓蒙思想時代に「キリスト教はこうだけど他はこうだよね」「キリスト教ってこうなんだ」という人達が増えちゃう。
  • 百科全書ができたことによってヨーロッパの人々が日本の事などを知り始め相対化できる環境がどんどん広がった。

資本主義の進行と既存の封建体制

技術の向上で農業の生産量が増えたことにより、これまで少なかったブルジョワジーと呼ばれるお金持ち(民衆だけど貴族じゃない)が出てきます。

要は、農業技術が上がって生産量が増えた=(自分達が食べる分、納税する分)以外の余剰分生まれた。じゃあ余剰分をどうするかというと商品として売りに行く。これにより金持ち層が生まれてくるわけです。

今の僕たちには分かりづらいけれど生まれながらにして人間の格が違う「明確な身分差」が当時にはあった。以下、図解にしてまとめたので確認して起きましょう。

身分差の図解

ここから既に述べた「啓蒙思想」に繋がり、ブルジョワジーが疑問を抱く。

ブルジョワ

何で僕たちこんなに我慢しないといけないんだっけ?何でこんなに稼ぎを取られるんだ?同じ人間なのに、なんなら僕たちの方が稼いでいるのにおかしくね?

そしてこれら感情が「財政破綻」の時に爆発するわけです。

ブルジョワ

ふざけんな(怒)!!

適度なガス抜き、大切なのはマッチング

実は、フランス革命が他の国では無くフランスで起ったのには理由はあります。以下、他国との比較を票にまとめたので確認しておきましょう。

フランス
  • ブルジョワから儲かった人が貴族の官位を買って貴族になった人がいるなど、昇格システムがある
  • 貴族の中にも啓蒙思想に理解のある人はいる。
  • 貴族の中には旧体制の王政絶対派やビジネスをしている人など色々な人がいる。
  • 金持ちが貴族になる昇格システムがあることで、中途半端な金持ちは反発するが、一線を越えると貴族になれるので貴族に迎合する者がいる。
  • 上記によりブルジョワジーが反発せず、貴族が吸収することになり、結果フランスでは極限状態まで革命が起らず、代わりに極限状態になった時に起きた革命で一気に振り切れた。
  • 他国では起らないレベルで完全に振り切れ、徹底的な革命を成し遂げた事により世界が変わった。
  • 戦争などで貧乏になる財政破綻という外敵要因と、啓蒙思想の外的要因によって、フランス革命では内部で抱えていた矛盾が一気に振り切れた構図
イギリス
  • 身分が分離している
  • 実はフランスより先に王権が弱くなっていた。
  • 王様を倒して議会を作り、議会の方が王様より権力の強い状態になったのはイギリスの方が圧倒的に早かった
  • 上記を立憲君主制と呼び、その状態で産業革命を成し遂げる。
日本(江戸幕府)
  • 不満を貯めて爆発させないような、適度なガス抜きがめちゃくちゃ上手い
  • 身分差を付けつつ、サムライは貧乏で商人は金持ち、だけど商人に威張って良い、技術差者は税金が安いなど
  • 上記不満のガス抜きを上手くすることで長く続き保っていた。
  • 内部システムは良かったが、黒船が来て外圧でダメになった(シーズン1 吉田松陰 参照)

以下の2点が、資本主義の成長にとって大切です。

  • 自由に商品を売れる(自分で値段を付けて欲しい人に好きに売っていいいよ)ということ
  • 儲けたお金は自分のモノであると保証される

しかし、フランス革命以前の世界はそうじゃなかった。

  • 特権にで売って良いものなど制限がかけられ
  • 自分で頑張った稼ぎは税金で殆ど取り上げられる

経済的自由が大切だけれどそれが無い。
しかしブルジョワ(お金持ち)は増え、全員は貴族になれないので、貴族になれない金持ち層が溜まっていく。
これらが既にに述べた、啓蒙思想と繋がり財政破綻で一気に不満が爆発するわけです。

4プレイヤーによる複合的な革命

ここまで述べた時代背景について簡単に振り返ると、
フランス革命が起き原因として【財政破綻】・【啓蒙思想の発達】・【資本主義に貴族の特権体制が対応できていない】という主に3つがあると理解できました。

フランス革命は、以下に紹介する4つの勢力それぞれの思惑が革命の進行ステップによって複雑に結び付き色々なベクトルを形成する。
その結果、ナポレオンの登場という着地により収束して行くという複雑な4つの複合要因的な革命です。

以下、4つの勢力とそれぞれの思惑を票にまとめたので確認しておきましょう。

王様自分の権力をそのまま守りたい
貴族、聖職者(特権階級)王様の権力が強すぎるので、もっと下げろ!
ブルジョワジー(金持ちだけど貴族になれてない層)経済的自由を獲得する為に革命を起こしたい。ふざけんな!
民衆(貧乏)人口の90%はそもそも財産を持ってないので、経済的自由とかどうでも良い。パンをくれ!

#49 天才思想家にして変態紳士・ルソー(約17分)

ポイント

  • ルソーの『社会契約論』はフランス革命の聖書(バイブル)となり、今の僕たちの生存権を保障してくれる出発点となった書物である
  • ルソーは町中でち●ち●を出し、ドMで、マザコンで、自伝に書き記している。まさに変態だった。
  • ルソーのようなアンバランスな変態人間から生まれた思想が、人類社会の変革をもたらしたという事実
  • 功績や悪行など人間の一側面だけを捉えて評価する事にはあまり意味は無く、複数の尺度で捉える事で見えてくるモノがある

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フランス革命の1番のエンジンになった啓蒙思想の人(ルソー)についてのエピソード#になります。

ルソーの人生譚

まず始めにルソーとは何者かというと、定職についていないニートです。肩書きでいうと思想家になります。
これまでのシーズンに出てきた特に何もしていないけど影響力の凄い人、仏陀やヒトラーと同じで社会活動というより思想であらゆる人間を動かした人です。

この人が書いた『社会契約論』がフランス革命では聖書(バイブル)となり人々に影響を与えているので、この人のおかげで今の僕たちは人権を持っているといっても過言ではない素晴らしい人です。

以下、彼がどんな人物だったのか、どんな人生を歩み『社会契約論』を書いたのかについて票にまとめたのでご覧下さい。

幼少期
  • ルソーは職人の家庭で生まれており、父は時計職人だった。
  • 身分は高くないけれど低くも無い
  • 生後9日で母を亡くしている。
  • 父か教育を受けており、小説やギリシャ神話を読むなど理性や論理より感性で物事を考えるような教育を受けてきた。
親戚に預けられ孤児状態
  • 父が貴族と喧嘩して夜逃げする必要がでてきたため、幼いながらに親戚の家へ預けられる(孤児状態)
  • 10歳位の頃に親戚で40歳の未婚女性からDVを受けマゾに目覚める。
  • DVの経験から不当不合理な権力や力に対する反抗心も芽生えた。
  • 街を歩く若い女性の前でち●ち●を露出し、その時の気持などを自伝に書き記すという変態行為をしている。
  • 読書など勉強するけれど、恥ずかしげも無く自伝を書く変態的性格なので苦労する
  • 不良少年で騒ぎも起こしていたらしい
  • 頭は良いけれど社会に馴染めないような男だった。
バランス婦人との出会い
  • 年上美人の人妻バランス婦人との運命的な出会いを果す。
  • 旦那と中が悪く別居状態だったところに転がり込んでヒモ状態になる。
  • 優しい婦人は教育も受けさせてくれるし、ご飯もくれるので継続する内に親子のような関係になる
  • ルソー自身も幼くして母を亡くしており、非行を重ねるなど愛に飢えていたのかもしれない。
  • その内に婦人の事をママンと呼ぶ様になり、家を出入りする内に親子の関係から愛人関係へ移っていく
  • 年齢差があるものの、お互いに恋愛感情を抱くようになるがイケメンだったルソーは色々な世代の女性に言い寄られはじめモテモテだった。
  • 女性関係を心配したバランス婦人は手ほどきするため、ルソーの童貞を奪った。
  • 近親相姦の感じが最高でしたと、その体験をルソーはまた自伝に書き記す
  • 社会になじんで働けず、欲望に忠実で、悪気も無くそれを発信し続けている。
宿屋のメイドと結婚
  • バランス婦人の元を離れ、宿屋の年下メイドと結婚する
  • 結婚後10年間で5人の子どもを授かる
  • お金が無かったのだろう、子どもは皆孤児院に送られている。
  • また堂々と自伝に記し女性に嫌われたりしている。
  • 『社会契約論』を書いたのは40代の頃、その時期に瞬間的に集中して書物を書いていった
  • ルソーは変態で私生活も大変な人生を送っていた。

変態から生まれた思想が人類社会の変革をもたらしたという事実

『社会契約論』など今の僕たちの人権や生存権を保障してくれるような出発点となるような時代を変えた人が、子どもを5人孤児院に送り、自伝に変態行為を記しているという事実。
このアンバランスな人からとても良いモノが出てきて、今の自分達の生活に影響を与えているという事実は、生々しい人間の不完全さを感じられ非常に面白く、歴史のロマンを感じるのではないだろうか。

日常生活の中でも、僕たちは「相手に完璧さを求めてしまったりだとか」「高潔なモノを出している人は人格も高潔であると期待しがちだったりとか」してしまうだろう。
しかし、ルソーについて知ったことで、人間は清濁合せ持った不完全な存在であり1面性では決して語れないのだと理解できた。

当時は親がいないと大変だったので、彼の子どもは孤児院に送られ不幸になったかもしれない。
しかし、彼の思想によって世界中でたくさんの子ども達の人権が守られている。

孤児院に送ったという事実1つを持って彼がクズだとか、『社会契約論』を書いた事1つを持って彼は素晴らしいだとか。
このような評価がいかに無意味かが分かるので、良い学びや気づきになれば面白い。

複数の尺度で考える複雑さと面白さ

ルソーを評価する。これは、複数の尺度で考えることの重要性が分かる良い例になります。

例えば、彼が社会契約論を書いてなければおそらく只の変態で終わっていただろう。
そしてもしかすると、功績を残した背景にはめちゃくちゃな生活や人生を送ったからこそ気付いたモノが何かあったのかもしれない。
要は、どこかを不幸にしている人が全部を不幸にしているわけではないし、どこかを幸せにしている人が全部を幸せにしているわけでもないということ。

また、時間軸を短期でみるか長期でみるかによっても大きく評価が変わる
例えば、今でこそルソーは教科書に載るレベルになっているけれど、生きて鋳る間は誰にも評価されていない。
むしろ、町中でち●ち●出していた時は評価としてはマイナスだったし、出された方もまさかそいつが教科書に載るなんて思ってないわけです。

このように、複数の尺度で捉えどう解釈するかは大切だと気付いただろう。
とはいえ、実は僕たちは知らない内に既存の人間観を作ってしまいがちである

例えば、「皆の為に頑張る無私の人はいいよね」と言われたりする。
しかし、実はヒトラーって無私でしたよね。(シーズン8 参照)。彼は完全に無私の心で人を殺しまくっていたし、世界のために良くするためにユダヤ人を虐殺していた。
要は、同じ無私だけど偉人ではないということ。

「自分がやっていることが正義だと思っている人だからこそできること」というのがあるので、その場その瞬間で善悪を判断して決めつけ過ぎるのも良く無いよというようなお話。
「じゃあ結局どうすればいいんだよ」という話になるわけですが、

生き方のスタンスによって出せる価値は千差万別で、そのメリットデメリットも千差万別。
全てが表裏一体で、良いことだけ悪いことだけではないのだよということがよく分かるのが、以下やっと本編に入るフランス革命だよというようなお話でした。

#50 フランス革命ー民衆、最初の反抗!球戯場の誓い(約25分)

ポイント

  • 何度も財政改革を計画するが、既得権益の特権階級に阻まれる
  • 特権階級たちが自分たちの権益を守るために提案した「三部会」がフランス革命の火蓋となる皮肉
  • 国政での意見主張の機会と社会変革への期待感が裏切られた反動がフランス革命への第1歩となった
  • 期待値の爆上がりやその後の理論武装など、啓蒙思想による変化と影響力はあまりにも大きかった

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時代背景(前庭条件)を理解しておきたい人は#47~49をどうぞ。
ここから本編です。どのように革命が進行するのか時系列に沿って見ていくエピソード#になります。

既にフランス財政はガタガタだった

フランス革命は財政破綻から始まると述べましたが、当時ルイ16世という王様が即位した時には既にフランス財政はガタガタでにっちもさっちも行かないレベルで財政が傾いている。
一方で、イギリスは産業革命を果し高品質な商品を大量に作っている。

イギリスはそれらを色々な国に売りたいので、フランスに貿易で輸出を自由にしても良いという条約を結んでもらうよう(戦争するぞと半分脅しながら)話をします。
フランスがこれにokを出してしまったことで、安くて高品質な工業製品が大量に入ってきて、フランス国内の工業が全滅していき、皆の生活が苦しくなりパンも買えなくなっていくという状況が起っていきます。

財政改革と既得権益の抵抗

上記状況に対して、当時のフランス財務大臣でフィルゴーという人は財政改革しようとします。(※ちなみに、当時のフランス財務大臣は今の日本の総理大臣レベルのかなり高い権力を持っています。)

フィルゴー

経済をより自由化することで資本主義に沿った形に変えて、それにより財政基盤を固くしていきましょう。

貴族

自分達の特権があるので自由化しなくて良いです。特権のまま保ったままにして欲しい。

経済を自由にするという事は、ある意味で自分達の持つ特権を撤廃してもう少し誰でも参入できるよという状態を作ることになるので、既得権益をもっている貴族たち特権階級からしたらやって欲しく無いわけです。

フェルゴーの財政改革に貴族からブロックが入り、フェルゴー財務大臣は失脚させられ、その後も同じようなことが連続で続きます。

要は、旧体制において自分のことしか考えていない。自分の利害しか考えていない(貴族と聖職者=特権階級という)人達がフランスの事を考えずに施策を潰していくということが起ります。

失脚のさせかた
ルイ16性のお后でオーストリアから来たマリーアントワネットという人が利用されます。
彼女は、世間知らずで考えも浅い感じの人で、フランスが金無いのに金を使う浪費家で後に嫌われる人です。
貴族がマリーアントワネットに色々言って、彼女からルイ16世に色々言わせ、それにルイ16世も「そうだね」みたいな感じです。
要は、マリーアントワネット経由で自由化の動きを潰して行くという事をします。

ルイ16世の謎行動、財政破綻コースへ突入

フランスが上記の様な事をしている時、別軸では独立戦争(アメリカVSイギリス)をしている。
既に述べているが、植民地戦争で皆が貧乏だったのでイギリスがアメリカに重税を課しアメリカが怒って独立運動をする。

この時、アメリカ人のベンジャミンフランクリンという人が、ルイ16世にアメリカの独立を支援して下さいという話をする。
要は、「お金と軍隊を送ってくれ」というわけです。

しかし、フランスはルイ16世が即位した時点で既に借金だらけで国家予算の半分を利子で払っているレベルです。当然、当時の財務大臣ネッケルは反対します。
結果、ルイ16世はなぜかアメリカへ資金援助します。

こうして、フランスの借金は増えて完全に財政破綻コースへ突入します。

名士会でビックリ!?

民衆からは税金を90%取っており、最終的に空気税というモノが出て来て呼吸するだけで税金が取られるような状態になる。

  • アメリカへの資金援助で財政破綻して終わる
  • 既に民衆からは空気税など90%課税しすぎており、これ以上は無理

「さすがに、免税権を持っている特権階級(貴族、聖職者)に課税しないと国家が終わるぞ」となる。
しかしこれにまた貴族のブロックが入り、財務大臣ネッケルが失脚させられ頓挫する。

そして、次の財務大臣カロンヌも「どうしようも無いです。貴族に課税しないと国家が終わるぞ」となり、ついに名士会を開くことになる。

「名士会」とは
伝統的な会議で、昔はイエスマンだけを集めた会議を開いて、そこでYESを言ってもらい「ほら皆さん同意したでしょ」という体裁を作って王権を維持するという機関があった。

ルイ16世とカロンヌは、自分で選んだイエスマンを集めているので当然「ok」を貰えると思っていた。しかし、まさかの貴族達は「NO」「嫌だ」と言った。

要は、これまでは絶対王政で王様が圧倒的に権力を持っていたけれど、財政破綻してしまった国で王様の権力が相対的に下がっていた。貴族達がこれに対して「もうこんなダメな王様のことを何で言うこと聞かなくてはいけないのか」となっている事にルイ16世たちは気付かなかったわけです。

三部会の開催

名士会で断わられ、ルイ16世は困る。しかし、何とかしたい。
これに対して、貴族が「三部会を開いて、その会議ので決まったら従います」と提案する。

「三部会」とは
これも伝統的な会議で、「聖職者=第一身分」「貴族=第二身分」「平民=第三身分」3つの階級の人を集めて行われるので三部会と呼ばれている。
この3つの身分の全員が集り、各身分1票ずつ持っていてこの票による多数決で決めるという会議。

貴族がなぜ提案したかというと、特権階級の「聖職者」「貴族」が各1票ずつで既に2票持っている。人口90%の平民が1票しか持っていないので、反対したとしても絶対に2票で意見を通せることが分かているわけです。

要は、王様に「もし、これで決まったら従う」と迫っており、貴族は平民を上手く使って自分達の思い通りにしようとしているわけです。
これに王様も王権が下がっていて抵抗できないので財務大臣と共に「YES」と言うしかなくなっている。

こうして三部会の開催が決定していくのですが、実はこれが革命の火蓋になります。
要は、革命の火蓋を落としたのは最期、身分制を廃止される貴族だったということ。
貴族が自分達の権利のために平民を利用しようとして三部会の開催を提案した事によって、その後に平民が政治的覚醒することで抑えきれなくなって最終的に自分達の特権を全部失うという皮肉な結果を迎えます。

貴族と聖職者は利害が一致しており、平民は1票しかない。
以下では、なぜその貴族が倒されるのか、どのように打ち壊すのかをみていきましょう。

期待値が爆上がりの民衆

遂に三部会が承認され開催するわけですが、実は170年ぶりの開催です。
これまでは王権が圧倒的に強かったので、システム自体はあったけれど使われていなかった。
つまり、三部会の開催は王様が独断で決められなくなっているということを示すわけです。

この時、第三身分の平民(特にブルジョワジー)の人達はめちゃくちゃ喜びます。
なぜなら、この世界では自分達には実力があるのに特権身分に好き勝手されて何も出来ない。
そして啓蒙思想によって本当は平等だと学んでしまい、この状況を何とかしたいけどどうしようもないような状態にあるわけです。

この状況で三部会を開くということは、平民達にも自分達が出席する権利を与えるということになるので、「意見を言って良いんだ」となって喜ぶわけです。

平民達

国家の中枢で発言できる機会があるぞマジすげー。そんなことして良いの?嬉しー!!

こうして、三部会の開催によって第三身分の平民たちがめちゃくちゃ沸き立ち、期待値が爆上がりして、この凄まじいエネルギーがフランス革命になるのだけれど、貴族はこれを予想でき無かった。

そもそも、三部会の開催が170年ぶりで、これまで平民たちは虐げられてきてるので民衆はよく分かって無かった。
要は、第三身分で1票しかないことを知らず、いざ開催したらそこで初めて気付くわけです。

平民達

あれっ、おかしくね。全然発言権ないじゃん。
貴族と聖職者の利害一致してるし、僕たちの意見通るわけ無いじゃん。
僕たち空気税まで課税されて、貴族らに課税して欲しいのに1票しか持ってないとかどうしようも無いじゃん。

こうして、期待値が爆上がりしていたので激怒するわけです。

民衆の怒り、啓蒙思想の力

これまでの世界であれば民衆が激怒して終わるのだけれど、今回は啓蒙思想の理論があることによって理論武装している。
要は、なぜこういう風に間違っているのか、自分達は本来どうあるべきかという話をできるようになっている。
さらに金持ちは頭も良いので演説も出来るし、民衆を先導することもできる。
だから議論で戦い始めます。

平民達

僕たち第三身分は人口の90%いるのに1票はおかしい。僕らは平等だ。
むしろ国家は民衆のモノだから、むしろ僕たちが優先されるべきだ。

これまでは、議論が無かったから言えなかった事が言えるようになっていた。
これが、変態ルソーの啓蒙思想による力です。

40日揉めた末に、球戯場の誓い

40日間に渡って揉め続けた結果、第三身分(民衆)達がクーデター(反乱)を起こします。

平民達

分かった!もう知らねーからな、僕たち勝手に決議しちゃうから!

貴族

そんなのまかり通るわけないじゃん。そんな制度ないよ。君たちで勝手に決めてもそんなの通らないから。
王様、もうあいつら変なこと言いだしてるから1回議会を止めてくれ

平民達

何を議会止めてんだオラー!もうわかっった、そもそもこんな会議なんてどこでも出来る。議会で議決する必要ない。

民衆の中でエネルギーが盛り上がり過ぎて、彼らの中ではもう思想に沿って命をかけて自由と平等のために国家と戦うのがかっこいい、となっている状態です。
なので、議会が止められたことで、また激怒する。
こうして、議事場の近くにあるスポーツセンターのような場所に集まって、皆で勝手に議会を始め、第三身分だけで勝手に憲法を作ったりしてしまう。
これを「球戯場の誓い」と呼ぶ。

まさかのオルレアン公が合流

「球戯場の誓い」の結果どうなったかというと、貴族と聖職者の一部がそこに混じり始めます。
なぜなら、啓蒙思想の力が圧倒的に強く、理念に燃えている貴族や聖職者もいたといういこと。彼らには全く得が無いが、理念に燃える外れ者がいたわけです。

  • 平民から聖職者になった人もいて、貧しい聖職者も特権を持っていた。金持ちじゃない聖職者の中には特権身分に対する反抗的な気持ちを持つ者もいて、啓蒙思想に偏っていたり、
  • 貴族の中で純粋に啓蒙思想に偏っている人
  • 王権が強すぎるので、その王権を相対的に下げる為に啓蒙思想に偏っている人

理由はそれぞれ違うけれど、啓蒙思想に偏っている人達が第三身分に合流する

この中に、オルレアン公という貴族のめちゃくちゃ偉い人もいました。

彼はオルレアンという土地を治めている王室ナンバー2の立場にある人です。王様だけが強い権力を持っているのが気に入らないので、民衆の関心を引こうとして第三身分に合流するのですが、彼の合流により貴族側が総崩れして第三身分にどんどん合流する流れになります。

当然、ルイ16世もそれに対抗します。

ルイ16世

「議事堂も封鎖してテニスコートで勝手に誓いたてて憲法作って立憲君主性にするまで解散しない」とか言ってるけど、そもそも僕が全部権力を持ってるんだから、これ以上そんな所で決めようとするなら、そもそも三部会自治無くして全部僕が決まるぞ。

平民達

やれるもんならやってみろ、軍隊でもなんでもかかってこい!

これまでだったら、殺されるのが怖いので逆ギレしてそんなこと言わないけれど、この時点でイデオロギー(理念)が発達してエネルギーが上がり過ぎていて全員死んでも良いと思っている。文字道理「命がけ」なわけです。

一線を超えてそこまでイデオロギーが高くなってしまうと、もう普通に抑え込むことが出来ない。相手を殺すしかないので、自分達も痛手を負い、ただでは済まない。
要は、覚悟がある人間と真っ向から戦おうとすると、お互いに凄く痛い思いをしながら戦わなくてはならないわけです。

しかも、人口90%が平民なので、その人達がこのモードに入ったら、いかに貴族や特権身分があろうが完全に抑え込むのは難しい。

貴族

数もエネルギーもやばい。抑えきれない。しかもオルレアン公が合流したぞ。
これはもう仕方が無い、こんな状態では僕たちも第三身分側に合流するしかない
(※まだ楽観視している。まさか自分達が殺されるとまでは思っていない)

ルイ16世

しょうがない。第三身分側に合流して、あなたたちの方法でやるしかないようだ。
(※気持ちでは承認していないけれど、「いいよ」と言わないと大暴動が起るので言うしかない。抑え込むコスtを払いたくない)

既存の枠組みに風穴が空いた

これまで、税金もめちゃくちゃ課して好き勝手して飼い慣らしていた。
しかし、民衆が逆ギレしたことによって、これまで貴族達が上手く使おうとしていた、たかが外れてコントロール出来なくなっていく。

要は、民衆がイデオロギー(理念)を持ったことによって言うことを聞かなくなってしまった。
そして、そのイデオロギーが爆発するチャンス(きっかけ)を作ったのも貴族自身だった。

命を賭けている人間の圧倒的な強さが理解できます。どれだけ権力をもっていようが簡単には勝てません。
人の持つ思い、覚悟の強さを考えさせらるエピソード#だったのではないだろうか。

以下、続きます。

#51 フランス革命ーついにキレた民衆の大暴動・バスティーユ牢獄陥落!(約30分)

ポイント

  • 難攻不落のバスティーユ牢獄が民衆によって陥落する。
  • バスティーユ牢獄陥落は誰1人予想出来ない衝撃的な大事件
  • 旧体制を壊す方向に革命自体が変転していき、「フランス人権宣言」「封権的特権の廃止宣言」という2つの重要な宣言がなされる
  • パリジェンヌ達がルイ16世とマリーアントワネットをヴェルサイユ宮殿からパリへ拉致する大事件が起る
  • イデオロギーで戦う民衆の力は世界を確実に変えているが、パンが欲しい民衆の欲求が満たされ改善されているわけではない

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前回からの続きで、フランスが立憲君主制に向かって動いていくエピソード#になります。

民衆によるバスティーユ牢獄への襲撃

球戯場の誓いから、勝手に作った議会が承認されるレベルになってきた。この時点で実は既に大変革です。
要は、これまで貴族が作った仕組みの中で皆が動いていたのに対して、これは民衆が作った機関に承認を与えているわけです。
これにより、フランスは立憲君主制に動いていくことになります。

この時、ルイ16世が承認与えているのに軍隊を集め出します。
なぜかというと、貴族の中で「承認を与えた方が良い」「軍隊を送りこんで押さえつけるべき」色々な意見があり、優柔不断なルイ16世は両方の意見を聞いてどっちもするんです。

財務大臣のネッケル(※1度失脚させられているけど、この時また財務大臣になっています。)
彼は、第三身分出身の人なので民衆から人気があり気持ちを理解できるので、橋渡しのような立場にいた。

しかし軍隊が集まったタイミングで責任を財務大臣ネッケルのせいにして、貴族たちが再度マリーアントワネット経由でネッケルを解任させます。

これにまた民衆が反応してしまいます。

平民達

ネッケル解任したぞ、軍隊集めてるぞ。これはどういうことだ?
もしかして、王様の周りで貴族が王様に余計なことを言って、せっかく作って承認を得たこの議会を軍隊で解散させてパリにいる僕たちを襲撃するんじゃないだろうか。
どうしよう、怖いよ

実際にはそんな陰謀は無いけれど、貴族の陰謀を恐れた民衆がヒステリー状態になってしまいます。

この状態でデムーランという議会の人が声を上げてしまう。

デムーラン

市民諸君よ武器を持って立ち上がれ!やられる前にやりにいくぞ!

実際に民衆がこれで集まって放棄しようとする。家族がいて、子どもや妻や夫がいる人達が命を賭けて突っ込み始めるわけです。
これはもう完全に後が無い人じゃないと出来ない行動です。なぜなら、自分達は武器が無くて農具しか持ってない。一方、相手(国)は軍隊を持っている。
訓練を受けて銃を持った軍隊が糾合している所に対して、家族を持った人達が突っ込む時のこの追い込まれ方とその吹っ切れ方を想像できますか?

彼らはここでこれを逃したら、自分達は餓死するか殺されると思っているし、どうせ死んでしまうと思っているわけです。
イギリスが経済的に有位で自分達はご飯を食べられない。重税を課されていて、貴族は好き勝手に思い通りにする。しかも軍隊を集めて自分たちは殺されそうだ。
もうやられるならやりに行くしか無い。後が無い人間のモードで、しかも自分達にはイデオロギーがあって正義があると思っている人達の文字通り命を賭けた行動。

これが、バスティーユ牢獄襲撃です。
教科書などでは1行で書かれているかもしてないが、これだけのドラマがある、後が無い人達の王道なわけです。

難攻不落のはずのバスティーユ牢獄が陥落

まず始めに、怪我をした兵士を養うアンヴァリッドという施設に武器を取りに行きます。
武器(銃)を揃えた次に、火薬が無いのでそれを取りに行く場所がバスティーユになります。

バスティーユは何十mの堀と高さが30mある石の塀でできた要塞です。登るだけでもまず無理、ましてや武器を持ったとしても火薬が無い民衆がその牢獄に突っ込みます。
元々は軍事要塞として使われていたが、当時は牢獄とsてい使われており10人程度の囚人もいたようです。

そこに火薬を取るために突っ込んで、長官のドローネーに民衆が詰め寄る。
ドローネーも大砲を使ったり普通に守っていれば陥落しない、どれだけ民衆が頑張っても火薬を持っていない人達では絶対に落とせない城です。

民衆側の議会では、このバスティーユ襲撃行動にビビっていた。どういうことかというと、民衆の中で「金持ち」「貧乏」で2分化していた。
この時、バスティーユを襲撃しているのはご飯も食べられない貧乏たちです。
金持ちたちは、貧乏たちを先導して自分達が利権を握りたい。しかし、同じ民衆(貧乏)たちがバスティーユ襲撃など自分達の動きとは別に動き始めてしまいコントロール出来ないので戦々恐々としているわけです。

金持ち

バスティーユ落とせるわけないじゃん。これを鎮圧されたらヤバイ。また解散させられるかもしれない。

金持ちの不安とは裏腹にバスティーユは陥落し、難攻不落の城が陥落したのでヨーロッパ中に衝撃が走ります。

以下、どのような経緯でバスティーユが陥落したのか方法について見ていきましょう。

結論からいうとドローネーが自分で開けます。

実は兵士たちは平民出身だったので、イデオロギーを持って攻めてきた民衆を攻撃したくない。要は、王様や貴族の命令を聞きたくないわけです。

ドローネー

僕たちを殺さないと約束するなら君たちと話し合っても良いよ

兵士側が説得を試みて提案し、代表者を1人だけ中に入れて話合います。
しかし、外で待っている人たちは話合いから中々出てこないので段々と不安になってきます。

民衆

中々出てこないぞ。はめられて殺されたんじゃないのか?

段々と兵士の事が怖くなっていき、兵士も殺されそうだと思って撃ってしまう。
これにより、現場は一気にパニックになり、一気に攻め込んで行き、話合いの為に少し開いた門から人が一気に押し寄せる。
そして遂にドローネーの首をとって皆が歓喜してしまう。

要は、殺す選択肢もあったのにそれをしなかったドローネーがやられた。ヒステリックな集団心理で打ち破られてバスティーユが陥落するわけです。

旧体制を壊す方向に革命自体が変転していく

バスティーユが陥落した後、さらに民衆の発言権が増すことになります。

  • バスティーユが陥落した事で、自分たちにも放棄できるという前例を見てしまった。
  • バスティーユ陥落で貴族たちが怒って貴族たちに報復されるのではないか

ヒステリー状態から上記の様な心理が働き、また「やられる前にやれ」となってしまい。
以下のような、フランス中で放棄、農民一揆が起きてしまう。

  • 貴族の邸宅を襲撃して倒したり
  • 借金をかかえている所に襲撃してその人の借金の台帳を燃やしたり
  • 役所を襲撃して市長を襲撃したり

貴族が兵隊を組織しているとか、組織で自分達を襲おうとしているとか、噂の部分もあっただろうけれど民衆には真偽が分からないし、ヒステリー状態になっているから「もうやられる前にやるしかない」となるわけです。

結果、ブルジョワ(お金持ち)の思惑が代わり勢力図が変わります。

これまでのブルジョワは、「貴族たちと上手く結んで、自由経済を実現したかった」
しかしそのままいってしまうとヤバイ「これ以上いくと民衆がブルジョワの財産も壊される流れになってきた」
そこでブルジョワは民衆(貧乏)と結ぶ方へ作戦を切り替えます。

  • 「貧乏&金持ちVS貴族&王様(権力を保ちたい)」
  • 「貴族(王権が強すぎ)VS王様(保ちたい)」

要は、三国志のようになり、それぞれの思惑や勢力図が変わってきたわけです。

ちなみにこの時点の議会ではブルジョワが大多数です。人数別議決に変えることができているので、人数では多い状態です。
「聖職者300議席:貴族300議席:民衆600議席」なので充分に戦えるので、この状態においてアンシャンレジーム(旧体制)を壊すという方向に革命自体が動いていきます。

2つの重要な宣言「フランス人権宣言」「封権的特権の廃止宣言」

どうやってこの大混乱を治めたのか、以下見ていきましょう。
既に述べた球戯場の誓いで、いろいろな理由から啓蒙思想に偏った貴族たちが合流しており、その中にオルレアン公とは別で、デギオン公爵という人がいました。

デギオン公爵とは、たくさの土地を所有し特権の恩恵を最も預かっている先進的な人でした。
この人に「貴族の特権を全部廃止する」という宣言をさせます。これを「封権的権利の廃止宣言」と呼ぶ。
要は、これまでの貴族の特権を貴族自らが廃止するという宣言をさせる。

そしてもう1つの宣言「フランス人権宣言」がここで申しだされる。

【封権的権利の廃止宣言】

  • 貴族の特権を貴族自らが廃しすると宣言する

【フランス人権宣言】

  • 人間は生まれながらにして自由で平等である。
  • 自由所有権安全圧政へ抵抗して良い(人間が持っている元々の権利なので、自分達が今放棄しているのは当り前である)
  • あらゆる主権の根源は国民にある
  • 法の前に皆平等である
  • 司法、立法、行政は三権分立しているべきである
  • 所有権は神聖であり不可侵な権利である

これによって、議会が2つの重要な宣言を行います。

これは民衆に寄り添った部分になるが、しかし最期の「所有権の不可侵の権利」についてはブルジョワ(金持ち)を意識している条文となっている。
要は、貧しい農民たちはそもそも財産を所有していないので彼らにとってはあまり意味が無かった。

三部会の時に民衆が勝手に作って承認された議会で宣言を出す(=「自分たちはこう考えている」)という話をする。つまり2つの宣言をしているという事なので、誰が誰に宣言したかというよりフランス全体に対して宣言しているという事。

これまでは明文化してはっきり言ってこなかったので、この人権宣言は歴史的に大きな出来事であるといえる。

注目点
これは思想でありイデオロギーなので、制度の話をしていない。哲学なんです。
哲学を宣言して僕たちの哲学はこうなんだという話をしている。つまり、今の世界を作っている大本がここで発せられているわけです。
権利がどうとか、ルールがどうとかでは無く、そう思うと言っているわけです。

当然、王様たちは認めるわけにはいかない。いかに民衆を抑える為とはいえ、認めてしまうと損するので王様はこの2つの宣言を却下します。許可しません。

この却下したことに直接では無く、却下したという一連のアクションに対してまた民衆の放棄が起るので以下、具体的に見ていきましょう。

歴史的快挙、パリジェンヌ達がルイ16世をパリへ拉致する

王様が却下したというアクションに民衆が放棄するわけですが、この時に放棄したのが実はパリジェンヌ(女性だけ)でした。

パリジェンヌたちは、自分達はご飯食べれなくて餓死しそう。財政悪化している。そんな中で出した人権宣言を王様が認めない。
実際には王様が認めていないのだけれど、この時はまだ王様が信頼されていたので貴族たちが悪者と思われています。

要は、パリジェンヌたちは王様が何とかしてくれると思っており、貴族が横から変なことを言うからこうなっているという印象を持っていて、貴族たちに怒っているわけです。

では何をしたかというと、王様の所(ベルサイユ宮殿)まで行って王様をパリまで拉致して連れてきます。

  • ヴェルサイユ宮殿にいたら王様の周りの貴族たちが良いように言うので、自分たちの本拠地であるパリにつれて来ることで王様と直接コミュニケーションを取りたい
  • 王様を貴族から離して監視したい
  • パンをくれという約束を取り付ける

これにより、2つの宣言を王様に認可させるという歴史的な快挙を果します。
(※この時点で王様の権力がだいぶ落ちてきていることが分かる出来事です)

これまでは、ティリュイー宮殿がパリにあり民衆が勝手に作った議会を王様が一応良いよと言っている状態。
しかし、王様はヴェルサイユ宮殿にいるので正当派っぽくなかった。

これが拉致により、本当に王様がそばにいて議会がある状態を作れたので、これが正当な政府だというような箔がつく。
これによって政治の中枢も移って行くわけです。

聖職者の土地没収

この時、フランスはまだ財政破綻している状態なのでこの借金地獄を何とかするため遂に強行手段にでます。
具体的には、第一身分である聖職者が土地をたくさん持っているのでそれを全て没収する。要は教会が持つたくさんの土地財産を財源にして公債を発行しようということになるわけです。

既に述べた球戯場の誓いで、三部会から独立した議会が出来た時に一部の第一身分の人達が合流した話をしました。
この人達は自主的に合流したのに自分達の特権を完全に取り上げられるという事がこの時点で起きるわけです。

民衆と聖職者は以下のような関係性なので、教会で金持ちの人には私腹を肥やしているよねというような感覚を民衆は抱いていたようです。

  • 圧倒的に権力を持っているということ
  • 当時の教会は地域行政に関わっていて、カトリック宗教といって福祉制度をやっていたりする。

当然、この強硬手段に聖職者たちは反発します。

聖職者

人権宣言の中に所有権が確保されるという話があるので、僕たちの土地を取り上げるのは、おかしい。宣言に反している。

この議論に対して、天才外交官と言われていて口の上手なパレイランという人が凄まじい論理で抑え込みます・

パレイラン

そもそも教会の土地は君たちの土地では無い。
教会は法的なものであり神様の為の土地である。その皆の土地をあなたたちが管理しているだけである。
あなたたちの所有物ではない、それは勘違いだ。おこがましい。

教会がこれに反論できず、押し込められてしまう。

そしてもう1つは、議会が公開投票だった。

そのため、誰がどこに投票したか分かるので民衆の思惑と違う所に徒票すると身の危険があった。ここまで見て来て分かるように民衆が暴力的過ぎるわけです。

こうして、聖職者たちは猛反発するけれど押し込められて土地を没収されます。これで、聖職者の勢力が終わる。

人類の為に戦っている。イデオロギーの強さ。

ここまで一連の流れを一見すると、民衆の番狂わせによって彼らの思い通りになっているように見えるが、実はそうでもない。
なぜならこの時点で民衆はパンが欲しいと言っているのに暴動が成功した結果、生活が豊かに回復していないので皆が植えている状態は改善されていない。

しかし、民衆の暴力的な力によって世界は確実に変わっていて、民衆も盛り上がっている。
当時の彼らは、自分達の為ではなく人類のために集り戦っている感覚だった。

もちろんパンの為に戦った人もいただろうけれど、イデオロギー(理念)で集り戦っている人達だからこそ命がけで極端な事ができている。
だから強いし、イデオロギーの無い自分の権利を守ろうとする人達では勝てない。

これまでのフランス革命以前でも放棄はたくさんあったが、やっぱり怖くて止めたり懐柔されたりしている。
ここで面白いのは、所々で民衆が死んでも良いから絶対に言うことを聞かないというモードになっている所です。
これがあるかどうかで、途中で権力に押さえつけられるかどうかが決まってくるわけです。

#52 フランス革命ー地に墜ちた王室への信頼(約21分)

ポイント

  • ルイ16世とマリーアントワネットは国外逃亡を計画するが失敗して民衆よってパリに連れて戻される。このヴァレンヌ逃亡事件をきかっけに王に対する民衆からの信用は失われた
  • 外交経験の無い若者たちの勘違いと、自分のために革命政府を倒したい王の思惑によってオーストリアとの戦争に突入する

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王権が停止し共和制に移っていくエピソード#になります。

ミラボーの死

パリジェンヌの暴動によって2つの宣言を受け入れ、教会の土地が没収され財政難に当てられる。そして王様はティリュイー宮殿に連れて行かれるというこれら事件が起ったことで、国民議会と呼ばれる当時の議会議員は暴力的で抑えきれない民衆が怖くなって亡命します。

そしてもう1つ王室で事件が起きるのですが、王室と民衆の橋渡し役みたいなことをしていたミラボーという人が亡くなります。
彼は立場としては魏会議員で革命初期を先導した人です。貴族出身の第三身分の人なのでどちらの属性も持つ変わった人です。
橋渡し役として「民衆の暴動は私が抑え込みます」など、王室に都合の良い事を言って、一方で民衆にも都合の良いことを言っているというようなことをしていた。

ミラボーが亡くなったことによって、王室でマリーアントワネットが不安になって実家(オーストリア)の兄で皇帝のレオポルト2世に手紙を送り助けを求める。

マリー

ミラボーがいないとヤバイ、そろそろ本当にやられる。
お兄さん、助けて。

レオポルト

かわいい妹だけど、今はフランスに関わると危ない、メリットも無いしそっとしておこう。
しかし、助けを求められた以上はメンツもあるし何かしないといけないだろうし、切り抜き宣言しとくか。

「切り抜き宣言」とは
一言でいうなら脅し文句です。
強い言葉で絶対に揃わない条件を言って攻めると宣言する。しかし当時の外交の常識では絶対に条件が揃わないなど色々な書き方の中で本気で攻めてこない事が分かるようになっている。
要は、守る為に攻めるよと牽制のようなことをする感じ。

これまでの外交官なら皆わかるけれど、この時のフランス議員は経験の乏しい若者だったのでお互いの暗黙の了解やら常識が分からず、本気で宣戦布告されたと思って怖くなってしまいます。

ヴァレンヌ逃亡事件

切り抜き宣言により助けてもらえないことが分かったルイ16世とマリーアントワネットはパリからの逃亡を企てます。
実際に逃げようとしたけれど、途中で見つかって捕まりパリに連れ戻される。これをヴァレンヌ逃亡事件と呼ぶ。

ヴァレンヌ逃亡事件が起るまでは、民衆は王様に対してとても友好的だった。
なぜなら、王様には歴史があり一種の宗教的な後光が差している状態だったからです。

だから、王様が変なことをしても貴族が横から何かしているのではないかと貴族のせいにされ、一方で良いことをすれば王様のおかげにしてくれる状態だった

しかし、この時2つの宣言をもとに立憲君主制を作ろうとしている時に王様が逃げたので、民衆が失望し激怒するわけです。

要は、立憲君主制という王様がいるけど法律有位の状態で憲法や法律を作ってという国を作りましょうとなっている。王様がいないと成り立たないのに王様が逃げた。じゃあ作っているこれはどうすれば良いか分からなくなってしまう。

せっかく新しい制度に変えてやっていこうとしているのに無責任に王が逃げたら僕たちはどうしたら良いんだよと、失望し愛想を尽かされるわけです。

3つの派閥、立憲君主的に

ヴァレンヌ逃亡事件で、パリまで連れ戻した後これまで比較的1枚岩だった革命派(ブルジョワジー)の中で3つの派閥に分かれてきます。

  • A王様を大事にしよう派閥
  • B王様を大事にして王様が居てもいいけれどイギリスっぽく議会の方が圧倒的に優位の国を作りたい派閥(立憲君主派ともいう)
  • C王様はいらないので殺してしまおう過激派閥(共和派ともいう)

この時点では、AとCが劣勢でBが優勢になっていきます。

以下、エピソードによって革命全体が立憲君主的になっていくので紹介します。

エピソード
ある日、Cの過激派閥が集会を開きそこで署名活動を行った。これは自分達の意見に賛同した人の署名を集めるという比較的平和な女子どもが多いような活動だった。
しかし、この様子を見たBの立憲君主派の人達が過激な考えを持つ人達が何か危ないことをしていると勘違いする。
この恐怖の勘違いから軍隊を送ってこの人達を虐殺する。軍隊を送られた方も何で来たか分からないので逃げるんだけどやられてしまう。

1791年憲法

これらと同時進行で、オーストリアの皇帝は戦争する気など全くないけど形式上の切り抜き宣言をフランスにしています。
これに、若く経験の浅いフランス議員たちは本気で宣戦布告されたと勘違いしています。

フランス

ヤバいぞ、憲法作ってる途中だけどそんな場合じゃない。
早く完成させて戦争に絶えられる体制を作るぞ。
よし速攻で完成させたこの立憲君主的な憲法の下で新しい国を作っていくぞ。

こうして出来たのを1791年憲法という言い、これが立憲君主性でこれまでとは全然違う特徴を持っている。

  • まず特権が無くなっていて、王様の権力がだいぶ制限されるようになっていて議会がある。
  • 議会に対して王様は拒否権を使っても良い。ただし、拒否してから半年後に再び議会が承認した場合にはそれはもう通ります。
  • 王様は議会の監視下に置かれます。
  • これまで民衆には無かった選挙権がひられてくる。だたし、権利はお金を持っていて納税している人にある。まだ女性と貧乏には選挙権が無い状態。
  • 内閣を作る時、大臣を誰にするかは王様が選んでも良い。与野党関係なく任命権を持っている。
  • 封権的特権(貴族の特権)廃止。貴族やお金持ちの土地の権利に対して25年分位の家賃(払えるわけがないような多額の金額)を支払えば自分の土地にして良い。(=貴族など以外の民衆にも土地を持つ権利がある事を意味するが、かなり限定的だった)

フランスでは戦闘準備してそのための憲法も急いで準備していたけれど、元々オーストリアには攻める気が無いので、特に何も起きません。

しかし、また自分たちのことしか考えていない勢力が余計なことをして、フランスは戦争の開戦へと向かって動きます。

以下、それぞれの勢力の行動と思惑を表にしたので確認しましょう。

与党
  • このまま戦わなくて済むならそれで良い。戦争なんてしたくない。
野党
  • 戦いたいので、開戦を唱える。
  • ブルジョワジーの中でトップになれず、真ん中くらいの商人たち
  • 野党の支持基盤は中産階級の人達なので、戦争が起きることでお金が稼げるメリットのある人達だった
  • 自分達がお金持ちになる為、支持基盤も戦争のメリットがあるので支持基盤も戦争したい
王様
  • 戦争したい。
  • 戦争でフランスに攻めて来てもらうことで革命政府を潰したい
  • 革命政府を潰して、オーストリアはマリーアントワネットの実家なので自分は助けて貰って、もう1回王権を回復させたい
  • 1791年憲法を使って、大臣を戦争賛成派に入替えていくことで、戦争に反対の与党を野党にすげ替える。

こうして、それぞれの思惑によりフランスは戦争の開戦へと動き出します。
そして、この戦争が終わらず続く中で戦争末期にナポレオンがでてくる。

オーストリアとの戦争ルートへ突入

フランスが戦争ルートに突優している時、皆が自分の利害で動き出している中で野党の中に1人ロベスピエールという人が1人国の事を考えていて、無私の精神で戦争に反対します。

ロベスピエル

今は戦争してはいけない。まだ革命したばかりだから、基盤が整っていないうちから外に戦争しに行ってはいけない。このままじゃ勝てないぞ。

しかし、みんな戦争に傾いてしまって始まってしまう。
そして結果、ロベスピエールの言った通りになって負けます。

以下、敗因などまとめているので確認しましょう。

  • 経験豊富だった将軍や将校が亡命していていない
  • 残っていた将校たちは元々は対政派なので革命に反対しており、勝ちたくない
  • 王様もこの戦争で負けて欲しい人なので、敵国にどんどん情報を流しており国之トップがスパイ状態だった
  • 王様は負けて欲しいので、1791年憲法の拒否権を連発する(6ヶ月後の審議で通るけど戦争中なので6ヶ月も待ってられない)

この状態で、攻めて来られるのでこのまま自分たちは蹂躙されると民衆が思った時に、やっと「逃亡した」「拒否権を連発する」王様に対して怒りが向きます。

民衆の怒りがやっと王様に向く

この時の与党は立憲君主制に賛成しているので王様が居て欲しい人達だった。
そして、これまでの革命は【特権階級が始めて】→【ブルジョワジーの金持ちがそれを引き継ぎ先導して】→【民衆が放棄するけど、一応まだブルジョワがコントロールしていた】

それが、この段階になってブルジョワジーの中でも民衆寄りの本当に貧乏層と一緒に戦っている人達に革命の主導権が移って行く。

こうして主導権がどんどん降りてきた結果、ロベスピエールが出て来てくる。
彼が民衆を先導してエネルギーをまとめた結果、遂に王政を廃止することになり民衆が武装してテュイリュリー宮殿に進軍する。

王様は逃亡によって信頼を完全に失ってしまっているので、タンプル塔という所に幽閉されて王様としては扱われず、ここで権利を把握脱されてしまう。
こうして、数百年続いたブルボン王朝という王朝がなくなります。

ここで、王権が停止し共和制に移っていって、王様がいない状態の政府を作りましょうということになるわけです。

#53 ルイ16世とマリー・アントワネット、ギロチンに散る(約15分)

ポイント

  • 若者らしく感情ベースの勢いで決まってしまうなど法律による運営がうまくできていない
  • 人権を大切にしている人達がそれを大事にできていないなど、未熟なイデオロギーしかない場面も見られた
  • たった1票の僅差でルイ16世の死刑が確定した

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タイトル通りルイ16世が処刑されるまでのエピソード#になります。
マリーアントワネットの人間ドラマやトリビアなど気になる方は本編動画でどうぞ

オーストリア最強の将軍ブラウンシュバイク公

前回、フランス革命で王様の王権がついに停止した所までいきました。
この時、並行してオーストリアとの戦争が起きています。

オーストリア最強の将軍ブラウンシュバイク公という人が、どんどん要塞を落としてパリに迫ってきます。
フランスも全国から義勇軍を募ったりして対抗しますが、ここを超えられたらパリが墜ちるぞという所まで攻め込まれます。

ここでブラウンシュバイク公は戦う気が無いので穏便に着地させたい思いから、また形式上の脅し文句をかまします。

当然と言えば当然ですが、フランス側がこれをまた真に受けてしまう。

しかしここから、フランス側が追い込まれ過ぎて「窮鼠猫を噛む」のような状態になり軍隊が強くなっていくという奇跡の巻き返しが起る。

フランス

共和制になり優秀な人は身分を問わず出世できる体制が整い、全国からイデオロギーベースで集まった人達が崖っぷちの背水の陣で戦っている状態

シュバイク公

僕は強いけどやる気が無いよ。
ヤバイ、こいつら何か突っ込んで来るし目が行っちゃってるよ。(どん引き)
こんな野蛮なやつらと戦ったら犠牲がでてしまう。
僕のキャリアもそろそろ最期だし失敗したくないぞ。
長期戦になったら不利だから1回戦略的撤退しとこう。

フランス

やったー、ちょっと脅したら逃げやがったぜ!
これが俺たちの力だ、びびってんじゃねーよ!
(自己肯定感で自信がついてさらに強くなる)

こうして、攻めて来た人を追い返した状況が作られ王権も廃止した。
しかしまだ、悪の根源であるルイ16世は生きている。 次に「この人をどうしようか」となります。

未熟なイデオロギー、感情ベースと勢い

タンプル塔に幽閉しているルイ16世をどうするか、皆で議会で議論する。

この時、ロベスピエールやその右腕にあたるサンジェストなどが王様の死刑に賛成すしています。

王を守りたい

憲法では王様というのは神聖であって不可侵であるみたいなことが書いてあるから憲法から言ったら王様を処刑するなんて当然できないはずだ

サンジェスト

王様である時点で死刑だ!
王様であるということ自体が僕たちの平等だという考え方に反していて、王様の存在自体が犯罪なのでこの人は裁判も必要なく普通に死刑だ。

なぜ王様を死刑にしなくてはいけないのかを話し合う場で、完全に感情論をぶちかますわけです。

感情で既に決まってしまっており、若者らしく感情ベースの勢いで決まってしまうので法律で運営できていない状態です。
なので、人権を1番大事にしている人達がそれを全然大事に出来ていないというおかしな状態になって、未熟なイデオロギーしかないような状態になります。

僅差の1票、ちょっとした違いで歴史が変わる瞬間

最終的には投票が行われるのですが、1回目が同率で2回行われており、361:360の1票差でルイ16世の死刑が確定します。

フランス革命は王様を倒す所まで行ったので極端な所まで動いている。
もし16世が生きていたら、その後に王政復活は簡単にできていたかもしれないし、王政はまだ続いていたのかもしれない。

たられば話だけれど、ちょっとした違いで歴史が変わる可能性を秘めているわけです。

トリビア

実は、ギロチンを斜めにする発明をしたのはルイ16世だそうです。
ルイ16世は頭が良くて勉強しており、人道的な処刑法を推奨していた人だったため、なるべく苦しまないようにスパッと切るには斜めにした方が良いと、プロダクト会議で発言して採用されたそうです。

自分で発明したギロチンで最期を迎える際、「自分は死ぬけれど、この死が皆にとって良い結果になることを望んでいます」とめっちゃ良いことを言ったらしい。

そして処刑前日は普通に熟睡する。何事にも取り乱さない男だったとか

#54 正義の化身!ロベスピエールによる恐怖政治・テルミドール9日のクーデター(約26分)

ポイント

  • 理想的な共和国憲法を作り直した1793年憲法は、施行直後に無期限延期となってしまう。
  • 民衆による王様の処刑により、自分達の存在意義を否定される恐怖を感じたヨーロッパ中の君主国は対仏大同盟を組みフランスを潰しに動いた
  • フランスは外圧に対抗するため一時的に強権を認めるが、これが後にロベスピエールの恐怖政治に繋がる
  • ロベスピエールは正義感の塊のような人で、貧しい民衆の味方をして王政を徹底的に破壊し尽くした人。
  • ロベスピエールのぶれない正義はある種ヒトラーと似ていて、政敵をギロチンにかけまくる恐怖政治に至り、最期は自分がギロチンにかけられた

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フランス革命終盤に向けてのエピソード#になります。
ロベスピエールの業績と正義感についてどう評価するのか考えられます。

革命の主導権が下の者へ移っていく

戦争と並行して、民衆が作った議会(政府)が色々な政策をして行くのだけれど、まだまだ未熟なので失策が続き反感を買います。
これにより、革命の主導権が下の者たちへ移っていくという事がここでも起きます。
その結果、1番下の民衆たちで山岳派と呼ばれる人達が政権を握って行く。

この山岳派の権力者(ロベスピエール・ダントン・マーラー)の3人が憲法を作り直します。
(※3人はヴァレンヌ逃亡事件の時の「王様はいらないので殺してしまおう過激派閥」の人達)

1793年憲法

これまで、王様ありきの君主制の憲法だったので共和制の憲法を新しく作る必要がある。
そのため、ロベスピエールの右腕であるサンジェストに大急ぎで作らせました。
これを1793年憲法と呼び、1791年憲法からさらに今の世界に近づいていきます。

以下、1793年憲法についてまとめているので確認しておきましょう。

  • 1791年憲法では限定的だった土地を持つ権利。これを1793年憲法では法律として所有しても良いとなった。(ただし、耕す農具も種も無い貧しい農民が土地を貰ってもしょうがないので、実際にどれほどの実効性があったのかについては疑問視されている)
  • 1791年憲法では金持ちだけが選挙権をもっていたのに対して、1793年憲法では21歳以上の男子全員に拡大された。(まだ、女性には選挙権が無かった)
  • 政府がダメな時はクーデターを起こしても良いということをわざわざ書いている
  • 奴隷制の廃止。(植民地を広げて廃止を唄うが実行されず結局続くので、本当に廃止されるのは後の世界だった。)(しかし、ここで初めて政府が公式に宣言し憲法に定めて出した事はイデオロギー的には大きな意味があった)

ロベスピエール達は、自分達で作ったこの理想的な憲法を出した瞬間に無期限延期にします。

なぜならこの時、フランスはヨーロッパ中の君主個億から宣戦布告されていたので、それに対抗するため一時的に臨時革命政府を作り強権活動をするからです。

以下、もう少し具体的に見ていきましょう。

フランスが君主国に宣戦布告されている理由は、民衆によって王様が処刑されたからです。
要は、反抗したわけでも、権力を奪うためでもなく「「民衆はイデオロギーを持って、王様がいてはダメだといって処刑している」わけです。
もしこの考えが広がり有位になってしまうと自分たちの存在意義が否定されることになるので、その恐怖からイギリスやスペイン、ロシアなどあらゆる君主国が対仏大同盟を組んでフランスに攻め込むとするわけです。

この状況に対して普通の政府では戦えないので、これら外圧に対抗するため臨時革命政府を作り一時的に強権活動を認めることで色々な事を勝手に決めてどんどん対応できる様にするわけです。
そして、これが後の恐怖政治に繋がっていきます。

構造はヒトラーと同じ展開

構図としては、ヒトラーの時と同じです。
要は、追い込まれた人たちが反抗したり対抗するために強権を発動し、その結果いろいろな人が殺される。
その独裁政治をしている大元となる人の正義感がめちゃくちゃ強い。

ヒトラーと違いロべスピエールは人権派なので人種差別しない分は立派といえば立派ですが、戦時体制になって自分たちの国をまとめて行かなければならないという力学が働き、政敵をギロチンにかけまくります。

要は、まとめる際にはやはり合意が必要になってくるので「とりあえず、俺の意見に反対するお前はギロチンな」という流れになるわけです。

ロベスピエールの人生と特徴

ではロベスピエールとはどんな人物だったのか、以下の表に簡単にまとめたので確認しておきましょう。

幼い頃
  • 幼い頃に両親が死去してしまい、親戚の家に預けられている。
  • 9歳頃には弟と妹を養うという感覚を既に持っている。
  • 努力家で優秀で頭も良い
  • 11歳でパリの名門校に入学して、そこで勉強を頑張り弁護士になる。
志高く弁護士になる
  • 弁護士になる時の考え方がとても立派で正義感から来ている
  • 「弁護士とは自分が人権を守る立場になれる崇高な職業だ。これで虐げられている人達をたくさん救う事ができる。」
  • 私利私欲が無く、勉強も頑張る。女遊びもせず、ちゃんとした自分の家すら持たない。
弁護士になった後も活躍して有名になる
  • 弁護士になった後も活躍して地元では有名人になる
  • 金持ちだけでなく、貧乏な人の弁護もしていて、金を貰わずに実費で弁護して助けたりしている
若い頃の弁護エピソード
  • 特権階級の聖職者級の人がある女性にアプローチするが拒否され、それに逆ギレして自分が着服して横領しているお金を拒否した女性の兄に罪を着せて訴えるということをする。
  • こうした女性の弁護をする経験の中で彼は激怒し、特権の乱用に対する怒りを蓄積させていく。
正義感を高め、どんどん信頼を獲得していく
  • 世界を正さなくてはいけないという思いを胸に、ち●ち●のルソーの所へ会いに行き、ルソーの考えを取り入れてさらに活躍していく。
  • 切り抜き宣の勘違いと開戦の際、唯一反対していて実際にロベスピエールの言う通りに連敗する様子をみて信頼を獲得していく

ロベスピエールの特徴はヒトラーとそっくりです。
以下、まとめたので確認しておきましょう。

  • 自分の意見を曲げず、全然妥協しない。
  • 一貫性のある人で芯があり嘘が無い(人権、弱い者を守る、人間の尊厳、こういうモノに対して終始一貫して言い続けている)
  • 弁護士なので議論も上手い
  • 陰謀という言葉をよく使い、善と悪の2つに分けて話をする。
  • 倫理観で生きており(自分は正義、それ以外は悪)グレーゾーンが無い。
  • 正義感が強くイデオロギーベースで許容心が無い。ある意味で周りが見えていない。

ロベスピエールによる恐怖政治が始まる

臨時の革命政府が出来て強権を宣言する。

  • 対仏大同盟であらゆる君主国に攻められる非常事態だし
  • ロベスピエールはすdごく潔白な人だから彼らが政権を握るなら渡してもいいや

こうして民衆からの信頼のあるロベスピエールが主導権を握り、恐怖政治が始まります。
その結果、裁判を簡略化して死刑か死刑じゃ無いかの2択になり、彼は正義感が強すぎて政敵をどんどんギロチンにかけるという事が起きます。

以下、彼の正義感が強すぎるエピソードを紹介します。

エピソード
ロベスピエールは正義感が強すぎて意見が合わないとすぐギロチンに送っていく。
仲間のダントンという人がいて、16歳位の若い奥さんを貰ってから革命がどうでも良くなりずっと奥さんといちゃいちゃするようになる。
ロベスピエールはイデオロギーベースの正義感で行動しているので、中途半端が許せない。しかし仲間だからギロチンに送りたくない。
そこで、最期に「革命で俺はこう思っているが、お前はどう思う?」とダントンを試したら「どうでも良い」と返事が来てギロチンに送る。

正義の力を使う人は強い反面で許容量が狭かったりする。
何事も表裏一体でイデオロギーベースだとこうなりやすいわけです。

ちなみに、ヒトラーも思想でこうなれば良いと言っている人、メリットデメリットでは動いていないイデオロギーベースの人でした。
例えば、宗教戦争のそうです。イデオロギーベースで考えるとある意味で周りが見えなくなる。
こうした現象が起きやすいわけです。

  • 努力もしていて人を大事にして今の世界にも役に立ち
  • この人が王様を処刑する所まで振り切り
  • 王政(これまでの社会)を徹底的に破壊した
  • 1793年憲法は施行されなかったけれど、その中には生存権の概念があり奴隷廃止を唱えている
  • 民衆に演説してそれが浸透していくことだとか
  • ロベスピエールがいたことで今の世界があるともいえる

これらはルソーと同じで、今の社会に影響を与えている彼の業績です。

一方で恐怖政治によって反対意見を出すとギロチンに送られるから誰も意見できなくなり、彼の弊害もまたルソーのち●ち●とは比べものにならないほど大きかったわけです。

これをどう評価するかは難しく、どれか1側面だけで簡単にロベスピエールは良い悪いとは言えないわけです。

テルミドール9日間のクーデターにより収束

ロベスピエールが恐怖政治をする状況で、当然みんな自分がいつ処刑されるか分からないので反乱分子が出て来ます。
この反乱分子が結託してロベスピエールこそ処刑だと、当り前の事が起きて革命が収束していく。これをテルミドール9日のクーデターと呼びます。

以下、もう少し具体的に解説します。

ロベスピエールによって処刑される人がリストになっており、その人達死ぬ前に一気に反乱する。
その方法は、いきなり壇上に上がってロベスピエールを批判するというものだった。

これまでは、批判したら処刑されるので誰も何も言えなかったけれどここで批判する。
これに対して当然ロベスピエールも反論しようとするけれど、議長も裏切っていてロベスピエールには発言させないような進行をする。

こうして、ロベスピエールとその一派がギロチンに送られるというお話

ナポレオンの登場と揺り戻し

対仏同盟でフランスは滅ぼされるかもしれない危機感を抱えており、恐怖政治の処刑により誰もいなくなるという危険な状態になる。

そしてここで遂にナポレオンという天才が出て来ます。

  • 人類史上と婦レベルの強さ、潜在能力を持つ
  • 命がけの決断を一瞬でできる決断力を持っている
  • 頭が良くて迷いの無い行動力がある。
  • 行動だけでなく成功結果も出すので信頼も高く、信頼に応える実力と結果を見せつけてを繰り返すことができる。

この人は共和制(実力主義)だったから出て来た人です。
アンシャンレジーム(旧体制)ではこの人は出てこれ無かった人です。

要は、共和制になったから周辺諸国に攻められているが、一方で共和制になったからナポレオンが出て来てフランスが攻め返す事でヨーロッパを統一するわけです。

ちなみに、ナポレオンは後に皇帝になるので共和制はまた無くなり王様が出てきて、さらに共和制になりを繰り返します。
要は、この時に人類は初めてイデオロギーベースの民主主義を実現したという事(※今の民主主義とは全然違う)

具体的には、これまでのギリシャ(シーズン2 スパルタ参照)で行われていた民主主義はシステムとしてのモノだったが、この新しい僕たちが享受している民主主魏はイデオロギーベースだという事。

このイデオロギーベースの民主主義に慣れていない民衆は使いこなせず何度か揺り戻しが起って王政に戻るけれど、最期はこの時に植えられた種が開花して今の僕たちの世界がある。

概念の違い「革命」と「Revolution」について

システムやルールだけでは変えられない何かを、ずっと変え続けたのはイデオロギー(理念)と人権に対する感覚だった。

今の選挙などに対する考え方の違いを見ると、日本ではまだRevolutionという概念を本当の意味で理解出来ていないのかもしれない。

フランス革命のRevolutionという概念自体を理解している人は少ないのではないだろうか。
僕たちの人権は獲得したものではなく与えられたモノであり「Revolution」と「革命」とでは概念として違いがある。血みどろの経験を経て獲得してきた「Revolution」というモノは人類にとって大転換だった。

どういうことか以下、もう少し詳しく見ていきましょう

例えば、明治維新フランス革命の違いを端的に説明すると、フランス革命はブルジョワジー(民衆)が動かしているのに対して明治維新では特権階級が動かしている。

武士が自分たちで壊している。要は、下級武士が上級武士を壊し、その後は武士という制度自体を廃止して近代国家に持ち上げたが天皇がいる。

この天皇がいる状態フランス革命で成し遂げたことではイデオロギーの人権の考え方や意味が全然違う。

日本では戦後第二次世界大戦までは親民と言っており、これは天皇陛下の家臣(民)であるという考え方。
一方でフランス革命はこの時点でイデオロギーベースでこんなことは言っていない。というこの違いがある。
そして、日本は戦争に負けて決断を迫られた時に国体保持と言って、天皇をトップにした国家の形を大事にしている。近代化していても大事にしたのはそこだった。

要は、1人1人の人権を持っているという自覚の意識に差があるという事

#55 戦争の天才・ナポレオン!敵は全欧州。(約23分)

ポイント

  • 政権の移り変わりで政治の合意形成が感情や衝動になった事、対仏大同による外圧によって軍隊の存在意義が強まった。
  • 軍の存在意義が高まった背景と国内外の恐怖を克服してくれる人に対する期待とニーズからナポレオンが出てくる。
  • ナポレオンは内政が上手く戦争も強いカリスマだった。もし彼がいなければフランスは地図から消えていたかもしれない。
  • ナポレオンは戦争に勝ち続ける事で活躍したが、危機が去りニーズが変化したことで権力が維持出来ず最期を迎える

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フランス革命終盤、遂に英雄ナポレオンの登場するエピソード#になります。
あくまでも今シーズンのテーマは「フランス革命」です。ナポレオンだけで1本のシーズンになってしまう人物なのでかいつまんだ内容になっています。

ナポレオン出現の背景

ここまでの流れとして、政権の中心が【貴族→ブルジョア→平民→ロベスピエール】と原理主義のような人達に移り変わってきた。
中心人物(主人公たち)がどんどん若くなってきており、冷静な議論よりも勢いのある感情や衝動による合意形成がなされるようになってきたことで、軍隊による実力行使を使おうとする流れになります。

要は、民衆達の代表だったロベスピエールを処刑したことで、自分達(ブルジョワや彼らの支持基盤)では民衆の力が使え無かった。そのため、軍隊を議場に入れて鎮めさせるなどということが行われるので、軍隊の存在意義が上がっていったという背景がある。

さらにフランスは対仏大同盟により君主国に攻められている現状があるので、単純に強い人がいなければ国が滅ぶ危機から能力に対する需要が上がってきた。

要は、これまでイデオロギーベースでみんあ政権になってきたが全員ダメだった。結果、外圧に囲まれて戦争になり、財政もよく無い。
この着地点不明の困った状況の中でナポレオンが出て来て戦争で勝ちまくるというお話。

ナポレオンの業績と評価

ナポレオンは、内政が上手く戦争に強かった。また武力で勝利を収めるが脳筋では無く、フランス文化や建築と理系科学者を保護している点は今も評価されている。
結果、彼は全7回結成される対仏大同盟に失敗もあるけれど勝ちます。もし彼がいなければフランスは地図から消えていたかもしれない。

しかし彼のキャリアの中ではこれほどの能力を培う要素が特に無いため、なぜ出来たのかは不明です。

  • 特に権力の無い田舎の貴族出身
  • そもそもフランス人では無い
  • ジェノバ共和国の属国(イタリアの先っぽの島)で生まれた
  • 彼が生まれる直前にフランスの領土になっているのでイタリア語で育っている
  • フランス語に訛りがあり、フランス人やフランス貴族にバカにされコンプレックスもあった

ナポレオンが出て来て、フランス軍を率いてヨーロッパ中を駆け巡り戦争しまくる。最終的に彼は皇帝になり退位して終わるという流れになる。

始皇帝やヒトラーと似ている所

戦争に勝ちまくることで皇帝になる。この権力獲得までの経緯はヒトラーと似ています。
要は、外敵に対する恐怖を克服してくれる人に対して民衆がカリスマを求め期待しているわけです。

ヒトラーと違い彼には高い能力(実力)があった。
以下、彼は始皇帝と似ている所もあるのでエピソードを紹介します。

エピソード
ナポレオンは記憶力も良く目の前の状況を全て自分で記憶して的確な判断をその場で出せるような、世界史上でも相当能力が高い人物でした。
そしてショートスリーパーで睡眠時間3時間の働き者だったと言われています。
彼は外で戦争中も国内の政治家に手紙を送り、法律や補修工事についての進捗など細かく管理マネジメントします。
優秀なので全部自分でやってしまう当りは始皇帝と似ています。

ナポレオンの最期

最終的にナポレオンは皇帝になりタレイランという人によって退位させられる。
外交を担う人材がナポレオンの周りに居なかったことは彼が墜ちていく1つの原因であった。
要は、ナポレオンは軍人であり、戦争に勝ち続ける事で民衆の政治史上活躍している。なので勝った後の統治の仕方が大事だったわけです。

もう少し、具体的に解説すると1度の大失敗によって政治的に負ける。
以下、エピソードを見ていきましょう。

彼はロシア遠征で大失敗します。国中から兵隊を集めて役45万人でロシアに攻めていきますが、遠くて途中の悪天候により兵士を殆ど全滅させてしまい、フランスに戻る際には1割程度のギリギリだった。45万人の兵はフランス国内だけでなく統治している海外からも呼んでおり、言語の違いにより意思疎通あまり出来ず、規模が大きいので流石に管理しきれなかったのかもしれない。

何年間もヨーロッパからフランスっを守ってきてたった1回の失敗で落ちていく。
これは、危機が去り何か違うものに対するニーズが出て来たのだろう、戦争の強さから次の段階に突入した時点でナポレオンの権力は維持出来なかったわけです。

エンディング

パーソナリティ3人によるフランス革命について全体的な振り返り及び感想。
そして、ラジオ内では客観的な視点でフラットかつディープに解説して頂いている楊睿之さん、深井さん2人があえて主観的にそれぞれの思いを語って頂いています。

歴史のロマンや面白さや、フランス革命がもたらした民主主魏という結果に対する善し悪しについて、登場人物たちをどのように捉え理解しているのかなどを聞く事ができます。

是非、本編YouTubeでどうぞ

感想

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過去シーズン(5・8)など)の始皇帝やヒトラーについて学び知識を得た状態だからこそ、より理解が深まったり面白さを感じる部分があり非常に面白く楽しむこ事ができました。

複数の尺度による評価の大切さと難しさについて理解していたつもりだったが、改めて考えた時に自分の価値観や解釈によるフィルターを通して見てしまっている部分もあるのではないかと思う所もあり学びになった。そして、この学びは歴史だけで無く日常生活の中においても見られる現象であり、あらゆる場面において結果に対するその評価や解釈の仕方次第であるのではないだろうかと考える事ができた。

ルソーやロベスピエールの弊害や極端な事をしてしまう民衆たちから、人間が抱える自己矛盾や清濁合せ持つ生々しい姿が見られ考えさせられる面白いシーズンだったのではないだろか。

シーズン9は登場人物も多く複雑な動きをみせるので、内容の理解に途中から混乱した人や何度もリピートしたという人がいたのではないだろうか。視覚的に理解できるようにテキストでまとめている本記事を活用して頂き、ぜひ学びや理解を深めると共にまだまだ続くコテンラジオを一緒に楽しんで貰えれば幸いです。

参考文献

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<ビジュアル版>世界の歴史14ヨーロッパの革命

フランス革命小史』(岩波新書)

世界史劇場駆け抜けるナポレオン

世界史劇場フランス革命の激流

世界の歴史 15 フランス革命』(河出文庫)

フランス革命:歴史における劇薬』(岩波ジュニア新書)

啓蒙の世紀と文明観』(世界史リブレット)

ルソー』(岩波現代文庫)

ルイ16世』(ガリマ-ル新評伝シリ-ズ世界の傑物)

1789-フランス革命序論』(岩波文庫)

フランス革命はなぜ起こったのか

ナポレオンの生涯:ヨーロッパをわが手に』(「知の再発見」双書)

ナポレオン 上 人心掌握の天才

ナポレオン 下 覇者専橫の末路』(文春文庫)

シャルロット・ロベスピエールの回想録をひもとく

ヴァレンヌ逃亡-マリ-・アントワネット運命の24時間』(文春文庫

アンシャン・レジーム』(ヨーロッパ史入門)

参照先へhttps://www.valuebooks.jp/shelf-items/folder/e962c227bf544d8

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本記事を補助的に使って頂き、ぜひ本編を楽しんで頂ければ幸いです。

シーズン毎にテキストでまとめているので気になる方はコチラをどうぞ

♦シーズン1 吉田松陰♦
♦シーズン2 スパルタ♦
♦シーズン3 コミュニケーション史♦
♦シーズン4 天皇♦
♦シーズン5 キングダムSP 秦の始皇帝♦
♦シーズン6 諸葛孔明♦
♦シーズン7 世界三大宗教♦
♦シーズン8 ヒトラー♦
♦シーズン10 ガンディー♦
♦シーズン11 アレクサンドロス大王♦
♦シーズン12 お金♦
♦シーズン13 三蔵法師・玄奘♦
♦シーズン14 高杉晋作♦

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♦コテンラジオ参考文献、おすすめ書籍の紹介♦

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